実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 163 | テクノファ

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このコーナーは、活躍している「キャリアコンサルタント」からの近況や情報などを発信いたします。今回はキャリアコンサルタントのT.Fさんの便りです。

(過労自殺について)
就労支援の現場では、キャリアコンサルタントとして精神疾患に罹りながら就労を目指す方との面談を頻繁に行いますが、精神疾患に悩まされている方の多さに驚かされます。最近、社員が過労から自殺したニュースが報道されることが時々あります。”うつ病”の発症による自殺とみられています。亡くなられた方は新入社が多いのですが、将来に夢を持たれて社会人をスタートされたことを思うと言葉がありません。日本を代表する企業において、このような自殺が繰り返されていることが残念でならないのと同時に”うつ病”の恐ろしさを再認識させられます。せめて、”うつ病”に対して職場の管理者を含め働く人達が正しい認識をもっていたら、自殺は未然に防げたのではないでしょうか。

話は変わりますが、日本における自殺者はどのような状況なのかご存知でしょうか。平成10年に3万人を超えた自殺者はその後14年間多少の増減をしながら3万人台で推移します。そして、様々な対策が効を奏してか平成24年に2万人台に減少し昨年は2万4千人余りとなっています。自殺者は確実に減少してきましたが、企業の中でも労災として認定される自殺は減少しているのでしょうか。

調べてみると、平成27年の精神障害による自殺者(未遂を含む)は労災請求199人に対し、93人が支給決定され、10年前に比べて倍以上に増加していました。行政によりメンタルへルス対策の指針が出されたりワークライフバランスが叫ばれ、今般企業に義務付けられたストレスチェックの実施などが進められても、企業では未だ問題は解決していないのが実態のようです。コスト削減で社員が少ない、グローバル化で企業競争が一層厳しい、全ての仕事にスピードを要求される、IT含め技術革新の進展・・・、人を大切に育成する余裕もなく、業績を上げることに主眼が置かれ社員に目が届いていないのかもしれません。

もし、企業に所属する方がいましたら自分の職場をチェックしてみてください。働く人達の”うつ病”に対する認識はどうでしょう。”うつ病”は心の病気ではなく脳の病気であり、過剰なストレスにより脳内の神経伝達物質の減少が原因です。そして、この病気は誰にでも罹る可能性があると言われています。”うつ病”に罹りやすい人は真面目、几帳面、責任感が強い等の性格傾向があり、総じて”頑張りやさん”と言ってよいでしょう。私は今まで沢山の”うつ病”に罹った人に接してきましたが、怠け者でいい加減な人に会ったことがありません。企業は、そもそも、”頑張りやさん”を好んで採用しているはずです。誰でも”うつ病”を発症する可能性があると言われるのはこのような理由からです。

そして、恐ろしいのは、そんな性格の人が仕事を任され頑張りすぎてメンタル不全に陥った時です。皆さんは”うつ病”に罹った人に対してどのようなイメージをお持ちですか。この病気に罹る人は、「弱い人」「仕事ができない」…と、かつてはネガティブなものばかりでした。最近は研修などで正しく認識されるようになりましたが、誤った知識で “うつ病”に罹った人に接している人が多いのも現実です。

そのために、不幸にも”うつ病”に罹った人は、「弱い」「仕事ができない」といった烙印を押されたくない一心でこの病気を隠し深刻化してしまう傾向があります。その対策に客観的に把握できるツールを活用し病気に気付いて専門医を受診できる仕組みをつくったり、周囲の人が気づいてあげて”うつ病”の渦から引っぱり出してあげる必要があります。

企業で亡くなる新入社員が高学歴の人が多いようですが、不安を抱えながらも周囲の期待に応えようと一生懸命仕事に向かい、ヘルプを出したくても出せなかったのではないでしょうか。”うつ病”は心のカゼと言われますが、決して軽視できる病気ではなく、意欲や興味を失わせ自殺をも想起させる危険な病気です。「病気について知ったところで仕事が減るわけでもないだろう」という方もいると思いますが、ヘルプを出せば打つ手はあるかもしれません。

我々キャリアコンサルタントはその支援者として、身動きが取れず悩みもがいている人を渦の中から助け出す役割も担っており、今後この役割は更に重要度を増すことでしょう。真に命を賭してやらねばならない仕事ってどんな仕事でしょう?
皆さんの目の前にそのような仕事は存在しますか?
(つづく)K.I

-実践編・応用編

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