実践編・応用編

キャリヤコンサルタント実践の要領 165 | テクノファ

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新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

2.障害者の職場定着等に向けて事業主のニーズ等に寄り添った支援の充実
上記の「企業向けチーム支援」や、障害者の職場適応を容易にするための職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を実施したほか、職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成を行いました(2020年度の職場適応援助者(ジョブコーチ)養成数497人)。
障害者雇用を進める上で労務管理等に課題を抱える企業に対し、企業のニーズに応じ て、障害者雇用に知見のある企業OBや特例子会社の経営経験者等の障害者雇用管理サ ポーター(2021年4月1日現在の障害者雇用管理サポーター登録者数317人)を紹介・ 派遣し、具体的な改善実施の提言・援助等を行ってきました。

雇用する障害者の職場定着のために、障害特性に配慮した雇用管理の雇用形態の見直し等の措置についての計画を作成し、当該計画に基づく措置を講じた事業主に対して助成(2019(令和元)年度助成件数1,137件、助成額約918百万円)を実施しました。また、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を実施する事業主への助成(2019年度助成件数 1,279件、助成額約452百万円)を実施しました。

3.障害者就業・生活支援センターの体制強化
就業面と生活面の支援を一体的に実施する「障害者就業・生活支援センター」(2021年 4月1日現在336箇所)において、新型コロナウイルス感染症の影響下においても支援の継続を図るため、リモート面談等に必要なポータブル機器やWi-Fi環境の導入等設備面の整備を行いました。

(3)精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援の強化
1.精神障害者等に対する就労支援の充実
精神障害のある人等が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮等を支援機関とともに整理し、就職や職場定着に向け、企業や支援機関と必要な支援について話し合う際に活用できる情報共有ツール「就労パスポート」を2019(令和元)年11月に作成し、障害者本人の障害理解促進や、支援機関・企業の間の情報連携等を進めるとともに、企業の採用選考時の本人理解や就職後の職場環境整備の促進に向け、普及に取り組んでいます。

精神障害者の安定した雇用を実現するための就職及び雇用継続に向けた総合的な支援の強化の観点から、ハローワークに、精神保健福祉士等の資格を有する「精神障害者雇用 トータルサポーター」(2021(令和3)年度229人)を配置し、精神障害者に対するカウンセリング、企業に対する精神障害者等の雇用に係る課題解決のための相談援助等の支援を行っています。また、精神障害者の安定した雇用を実現するため、地域の精神科医療機関とハローワークの連携による就労支援モデル事業を全労働局(東京2か所、その他1か所ずつ)で実施するとともに、取組状況について普及・啓発を図り、地域における医療機関との連携を推進しました。

企業内の一般労働者を対象として、精神・発達障害の特性を正しく理解し、職場での応援者となる「精神・発達障害者しごとサポーター」の養成講座(2020(令和2)年度実施回数651回、養成者数11,795人)を開催し、就労の場面で、精神・発達障害者がより活躍しやすい環境づくりを推進しています。

ハローワーク等の紹介により障害者を試行的に雇用(原則3か月。週所定労働時間10 ~20時間の短時間労働者や精神障害者については最大12か月。)する事業主に対して助成(2019年度助成件数7,139件、助成額約1,451百万円)し、障害者の雇用の促進と安定を図っています。

短時間であれば就労可能な障害者等の雇用機会を確保するため、2020年4月に創設した所定労働時間が週20時間未満の障害者を雇用する事業主に対する納付金制度に基づく特例給付金の運用を着実に実施することとしています。

2.発達障害者・難病患者に対する就労支援
近年、新規求職者が著しく増加している発達障害者の雇用の促進に向けて、個別性に対応した専門的支援を強化するため、ハローワークに、発達障害者の就労支援等の十分な経験を有する「発達障害者雇用トータルサポーター」(2021年度71人)を配置し、発達障害者に対するカウンセリングや就職に向けた準備プログラム、企業や支援担当者に対する発達障害者の雇用や定着に必要なノウハウの提供等を推進しています。また、就職支援ナビゲーターを配置して発達障害等の要因によりコミュニケーション能力に課題を抱えている者に対して特性に配慮した支援(若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム)を実施しました。

ハローワークに「難病患者就職サポーター」(2021年度51人)を配置し、難病相談支 援センター等と連携して、就職を希望する難病患者に対して、その症状の特性を踏まえたきめ細かな就労支援を行っています。発達障害者又は難病患者を雇い入れ、適切な雇用管理等を行った事業主に対する助成 (2019年度助成件数2,390件、助成額約564百万円)を実施しています。

3.職業能力開発校(一般校)における精神障害者等の受入体制の整備
精神障害者等の受入体制を整備するため、職業能力開発校(一般校)において精神保健福祉士等の相談体制(配置頻度週1~2回)を強化するとともに、精神障害者を対象とした職業訓練をモデル的に実施(2019年度は6校×訓練定員10人)しました。

(4)障害者の雇用の質の向上を図るための就労環境の整備等の推進
(障害者差別禁止と合理的配慮の提供)
雇用分野において、障害があることを理由とした差別を禁止し、過重な負担とならない限り合理的な配慮を提供することを、事業主に義務付けています。全国の都道府県労働局・ハローワークにおいて、事業主・障害者からの相談に応じ、必要な場合は事業主に助言・指導等を行っているほか、都道府県労働局長や障害者雇用調停会議における紛争解決の援助を行っています(2019(令和元)年度実績:相談件数254件、助言件数76件、指導件数 0件、勧告件数0件、紛争解決援助申立受理件数3件、調停申請受理件数13件)。

障害者雇用に関する専門窓口(7か所)を設置し、障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供について、個々の企業の実情に応じた対応への相談支援(2020(令和2)年度相談件数1,689件)を行うとともに、障害者雇用に課題を持つ事業主に対する講習会等(2020年度実施回数5回)を開催しました。

(障害者の多様な希望や特性等に対応した働き方の選択肢の拡大)
障害者のテレワーク勤務を推進するため、特に地方の障害者を雇用した事例をまとめた好事例集を2020年3月に作成し、ハローワーク等で企業や支援機関、障害者等に対して周知しました。

4.障害者の職業能力開発支援の充実
(1)障害者の職業能力開発校における職業訓練の推進
一般の公共職業能力開発施設において職業訓練を受けることが困難な、重度の障害のある方に対しては、障害者職業能力開発校を全国19か所設置し、職業訓練を実施しています。

(「工賃倍増5か年計画」と「工賃向上計画」について)
障害者職業能力開発校においては、「職業訓練上特別な支援を要する障害者」に重点を置いた支援をしており、入校者の障害の重度化・多様化が進んでいることを踏まえ、個々の訓練生の障害の態様を十分に考慮し、きめ細かい支援を行うとともに、職業訓練内容の充実を図ることにより、障害のある方の雇用の促進に資する職業訓練の実施に努めています。

(2)一般の公共職業能力開発施設における受入れの推進
一般の公共職業能力開発施設において、知的障害や発達障害等のある方を対象とした訓練コースを設置することにより、受講機会の拡充を図っています。

(3)障害者の多様なニーズに対応した委託訓練(障害者委託訓練)
雇用・就業を希望する障害のある方の増加に対応し、障害のある方が居住する地域で障害特性や企業の人材ニーズに応じた職業訓練を受講できるよう、企業、社会福祉法人、特定非営利活動法人、民間教育訓練機関等を活用した障害者委託訓練を各都道府県において実施し、障害のある方の職業訓練を推進しています。

(4)障害のある方の職業能力開発に関する啓発
障害のある方が日ごろ培った技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々が障害のある方に対する理解と認識を深め、その雇用の促進等を図ることを目的として、アビリンピックの愛称の下、全国障害者技能競技大会を1972(昭和47)年から実施しています。

2020(令和2)年度の全国大会(第40回)は2020年11月に(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の主催で愛知県常滑市において、全国技能五輪大会と同時期に開催された。 また、第9回国際アビリンピックがフランス共和国ボルドー市において2016(平成 28)年3月に開催され、日本から、第35回全国大会での成績優秀者31名の選手が参加しました。
次回はロシア連邦モスクワ市での開催を予定しています。

5.就労支援事業所における「工賃向上計画」の推進
障害者が地域で自立した生活を送るための基盤として就労支援は重要であり、働く意欲のある障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、一般就労を希望する方にはできる限り一般就労できるように、一般就労が困難である方には就労継続支援B型事業所等での工賃の水準が向上するように、総合的な支援を推進していくことが必要であります。

就労継続支援B型事業所等での工賃向上に当たっては、2007(平成19)年度から2011(平成23)年度にかけて、「工賃倍増5か年計画」のもと、各地方自治体や産業界等の協力を得ながら官民一体となり取組みを進めたほか、2012(平成24)年度から2017年(平成29)度までは、個々の事業所において各年度の目標工賃や具体的方策を定めた「工賃向上計画」を作成することを求めることにより、事業所責任者の意識向上や積極的な取組みを促してきました。

また、市町村においても、工賃向上への事業所の取組みを積極的に支援していただくよう協力を依頼してきました。2018(平成30)年度以降についても、引き続き、工賃向上計画の作成を求めるとともに、計画に基づく取組みを推進するため、基本的な取組み内容を継続しています。その上で新たに、都道府県及び市町村においては、地域の事業所の取組みや産業状況、地域課題を把握した上で、障害福祉部局だけでなく他 部局とも連携することで、障害者の就労機会の拡大を図ることとし、事業所においては、市町村と連携を図ることとしています。

(「工賃倍増5か年計画」と「工賃向上計画」について)
工賃の向上を図るためには、製品の質を高めるとともに、就労継続支援B型事業所等で提供する製品・役務の情報発信、共同で仕事を受注できる仕組みの整備が必要であることから、経営コンサルタントや各分野の専門家の派遣、情報提供体制の構築、共同化の推進のための支援を行っているところです。

また、農業分野において、高齢化に伴う労働力不足や耕作放棄地の増加という課題がある中で、農業分野での障害者の就労を支援する「農福連携」を進めることは、障害者にとって工賃向上や働く場の拡がりにつながるだけでなく、農業分野の課題の解消にも資するものであり、双方にメリットがあるものです。

このため、就労継続支援B型事業所等 に対し、農業に関する知識・技術の習得や6次産業化の推進に向けた助言・指導を行う専 門家の派遣を支援するとともに、農業に取り組む就労継続支援B型事業所等が参加する農 福連携マルシェ(市場)の開催等を支援しています。

6.障害者優先調達推進法
(国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律の概要)
2013(平成25)年4月から、「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推 進等に関する法律」(障害者優先調達推進法)が施行され、障害者就労施設で就労する障害者や在宅で就労する障害者の自立の促進に資するため、国や地方公共団体などの公的機関が物品やサービスを調達する際、障害者就労施設等から優先的に購入することを進めるために、必要な措置を講じることとなりました。

(2019(令和元)年度 国等における障害者就労施設等からの調達実績)
2019(令和元)年度においては、国及び独立行政法人の調達実績は約25億円、都道府県の調達実績は約29億円、市町村及び地方独立行政法人の調達実績は約139億円となり、合計で約193億円の調達実績であり、施行初年度である2013年度と比較し、70億円の増額となりました(法律の概要については、図表3-2-3、2019年度の調達実績は図表3-2-4)。

7.がんや肝炎などの長期にわたる治療が必要な疾病を抱えた求職者に対する就職支援
近年、医療技術の進歩や医療提供体制の整備などにより、がん患者の5年後の生存率が60%を超える状況などの中、がん、肝炎、糖尿病などの疾病により、長期にわたる治療などを受けながら、生きがいや生活の安定のために就職を希望する者に対する就職支援を推進することが社会的課題となっています。
(長期療養者就職支援事業について)
このため、ハローワークに専門の就職支援ナビゲーターを配置し、がんなどの診療連拠点病院などとの連携の下に、長期にわたる治療などのために離職を余儀なくされた求職者などの個々の希望や治療状況を踏まえた就職支援を行っており、2016(平成28)年度からは、全国で実施しています。
(つづく)Y.H

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