実践編・応用編

キャリヤコンサルタント実践の要領 167 | テクノファ

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新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

第2節 障害者、難病・がん患者の活躍促進
1.障害者雇用対策の沿革
我が国における障害者施策については、「障害者基本法」(昭和45年法律第84号)、同法に基づく障害者基本計画等に沿って、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進がなされているところであり、その基本的な考え方は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することであります。

このような考え方の下、障害者の雇用施策については、同計画等を踏まえ、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号。以下「法」という。)に基づき、職業を通じての社会参加を進めていけるよう、各般の施策を推進してきました。 2013(平成25)年の法改正では、雇用の分野における障害者に対する差別の禁止及び障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を規定し、2015(平成27)年3月には「障害者に対する差別の禁止に関する指針」及び「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等に関する指針」の策定等を行うことで、障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者の有する能力の有効な発揮を図ってきました。

その結果、この運営期間中においては、障害者の就労意欲の高まりに加え、CSR(企 業の社会的責任)への関心の高まり等を背景として、積極的に障害者雇用に取り組む企業の増加等により、障害者雇用は着実に進展してきました。

また、2013年の法改正により法定雇用率の算定基礎に精神障害者が追加されたことに伴い、2018(平成30)年4月からは公務部門(教育委員会を除く。)の法定雇用率を2.3% から2.5%と、一般事業主の法定雇用率を2.0%から2.2%とする等法定雇用率の引上げが行われました。また、2021(令和3)年3月からは、法定雇用率がそれぞれ0.1%ずつ引き上げ られ、公務部門(教育委員会を除く。)では2.6%、一般事業主では2.3%、となっています。

あわせて、精神障害者の希望に添った働き方を実現し、より一層の職場定着を実現するために、2018年4月から5年間の措置として、精神障害者である短時間労働者であって、 雇入れから3年以内の者である等の要件を満たす場合には、1人をもって1人(精神障害 者以外で同様の要件の場合には、1人をもって0.5人)とみなすこととしています。

このような状況下において、2018年3月には、2018年度から2022(令和4)年度までの5年間を対象とする障害者基本計画(第4次)を策定し、働く意欲のある障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、一般雇用を希望する場合にはできる限り一般雇用に移行できるよう、多様な就業の機会を確保することとしました。

この計画においては、2022年度に43.5人以上規模の企業で雇用される障害者数を58.5万人とすること、2019(令和元)年度から2022年度までの累計で公共職業安定所を通じた障害者就職件数を53.3万件とすること等を目指すこととしており、その目標の達成に努めています。また、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)及び「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)に加え、「労働施策基本方針」(平成30年12月28日閣議決定)においても、障害者等が希望や能力、適性を十分に活かし、障害の特性等に応じて活躍することが普通の社会、障害者と共に働くことが当たり前の社 会を目指していく必要があるとされ、障害者の雇用の量的な拡大とともに雇用の質の向上 等を推進してきました。

2.障害者雇用の現状
(1)民間企業における雇用状況
2020(令和2)年6月1日現在の障害者雇用状況*4については、雇用障害者数が17年連続で過去最高を更新し、578,292.0人(対前年比3.2%増)となるなど、一層進展しています。また、障害者である労働者の実数は479,989人(対前年比3.9%増)となりました。雇用障害者のうち身体障害者は356,069.0人(対前年比0.5%増 )、知的障害者は134,207.0人(対前年比4.5%増)、精神障害者は88,016.0人(対前年比12.7%増)と、いずれの障害種別でも前年より増加し、特に精神障害者の伸び率が大きかったです。

(民間企業における障害者の雇用状況の推移)
また、民間企業が雇用している障害者の割合(以下「実雇用率」という。)は2.15% (対前年比0.04ポイント増)であした。企業規模別に割合をみると、45.5~100人未満規模で1.74%(対前年比0.03ポイント 増)、100~300人未満規模で1.99%(対前年比0.02ポイント増)、300~500人未満規模で2.02%(対前年比0.04ポイント増)、500~1,000人未満規模で2.15%(対前年比0.04ポイント増)、1,000人以上規模で2.36%(対前年比0.05ポイント増)と、いずれの企業規模でも前年より増加しました。

一方、法定雇用率を達成した企業の割合は、48.6%(対前年比0.6ポイント増)となりました。また、雇用障害者が0人である企業(以下「障害者雇用ゼロ企業」という。)が法定雇用率未達成企業の57.9%(対前年比0.1ポイント増)を占める状況です。
*4  対象障害者を1人以上雇用する義務がある民間企業(常用雇用労働者数45.5人以上。ただし、特殊法人の場合は40.0人以上。)については、毎年6月1日時点の障害者雇用の状況を報告することになっています。障害者雇用状況報告では、重度身体障害者又は重度知的障害者については、その1人の雇用をもって、2人の身体障害者又は知的障害者を雇用しているものとしてカウントされます。また、重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間労働者(1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者)については、1人分として、重度以外の身体障害者及び知的障害者並びに精神障害者である短時間労働者については、0.5人分としてカウントされます。ただし、精神障害者である短時間労働者については、雇入れ又は精神障害者保健福祉手帳の取得が報告年の3年前の6月2日以降である場合、1人分としてカウントされます。

(2)国・地方公共団体における雇用状況
2020(令和2)年6月1日現在の障害者任免状況*5については、国の機関(法定雇用率 2.5%)に勤務している障害者数及び実雇用率が9,336.0人(対前年比23.2%増)及び2.83%(対前年差0.52ポイント増)です。また、都道府県の機関(法定雇用率2.5%)が9,699.5人(対前年比7.4%増)及び 2.73%(対前年差0.12ポイント増)であり、市町村の機関(法定雇用率2.5%)が 31,424.0人(対前年比8.4%増)及び2.41%(対前年同)でありました。 さらに、都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.4%)が14,956.0人(対前年比 11.0%増)及び2.05%(対前年差0.16ポイント増)でありました。
*5 対象障害者を1人以上雇用する義務がある機関(常時勤務する職員が40.0人以上。ただし、都道府県等の教育委員会の場合は42.0人以上。)については、毎年6月1日時点の障害者の任免状況を通報することになっている。雇用率カウントの取扱いは、民間企業と同様である。

(3)ハローワークにおける職業紹介状況
2019(令和元)年度のハローワークを通じた障害者の就職件数は、103,163件(対前 年度比0.8%増)でありました。このうち、身体障害者は25,484件(対前年度比5.1%減)、 知的障害者は21,899件(対前年度比1.5%減)、精神障害者は49,612件(対前年度比 3.3%増)、その他の障害者(発達障害、難病、高次脳機能障害などのある人)は6,168件 (対前年度比18.5%増)となりました。

また、新規求職申込件数は223,229件(前年度比5.7%増)でありました。このうち、身体障害者は62,024件(前年度比1.3%増)、知的障害者は36,853件(前年度比2.9%増)、 精神障害者は107,495件(前年度比6.1%増)、その他の障害者は16,857件(前年度比 30.8%増)でありました。こうした中で、就職率は46.2%(対前年度差2.2ポイント減)でありました。このうち、身体障害者は41.1%(対前年度差2.7ポイント減)、知的障害者は59.4%(対前年度差2.7ポイント減)、精神障害者は46.2%(対前年度差1.2ポイント減)、その他の障害者は 36.6%(対前年度差3.8ポイント減)でありました。

3.障害者に対する就労支援の推進
(1)公務部門における障害者雇用の推進国及び地方公共団体の機関については、民間企業に率先垂範して障害のある人の雇入れを行うべき立場にあります。加えて、2018(平成30)年の公務部門における障害者雇用の不適切計上事案が明らかになったことを踏まえ、障害者雇用推進者、障害者職業生活相談員の選任義務等に加え、障害者活躍推進計画の作成・公表義務を課しています。

1.障害者雇用に関する理解の促進
人事院において、一般職国家公務員における合理的配慮の考え方等を定めた「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針(国家公務員の合理的配慮指針)」を2018年12月に策定するとともに、各府省における障害者に対する合理的配慮の提供の参考となるよう、各府省において提供された合理的配慮の事例を把握し、厚生労働省とも連携してとりまとめ、2020(令和2)年1月に各府省に提供しました。

内閣人事局を中心として厚生労働省、人事院の協力のもと、公務部門において障害者を雇用する際に必要となる基礎知識や支援策等を整理した「公務部門における障害者雇用マニュアル」を2019(平成31)年3月に作成した(障害者雇用促進法の改正内容を踏まえ、2020年3月に改正)。
厚生労働省において、国の機関における障害者雇用に関する理解の促進を図るため、以下の取組みを実施した。
・障害者雇用の際に必要となる設備改善・機器導入に関する情報について、国の機関 人事担当者等を対象に、独立行政法人高齢
・障害・求職者雇用支援機構に蓄積されたノウハウ・情報の提供
・国の機関等の人事担当者等を対象に、障害者の働きやすい職場環境づくりや障害特性に応じた雇用管理を内容とする「障害者雇用セミナー」の開催
・障害者とともに働く国の機関及び地方自治体等の職員を対象に、精神・発達障害の特性を正しく理解し、職場でこれら障害者を温かく見守り、支援する応援者となるための講座(あわせて同講座のe-ラーニング版を提供)を実施内閣人事局において、障害特性を理解した上での雇用・配置や業務のコーディネートを行う障害者雇用のキーパーソンとなる職員を養成するための「障害者雇用キーパーソン養 成講習会」を実施しました。

2,職場実習の実施
厚生労働省において、各府省における障害者の採用に向けた着実な取組みを推進するため、各府省等の人事担当者等を対象に、各府省が行う特別支援学校等と連携した職場実習の実施に向けた支援を行いました。また、内閣人事局において、障害者就労支援機関との連携により、障害者(実習生)とその支援者を各府省の職場へ一定期間派遣し、各府省における職場実習を支援する「障害者ワーク・サポート・ステーション事業」を実施しました。

3 職場定着支援の推進
厚生労働省において、ハローワーク等に各府省から障害者の職場定着に関する相談を受け付ける窓口を設置して、各府省において働く障害者やその上司・同僚からの相談に応じたほか、ハローワーク等に障害者の職場適応に係る支援経験や専門知識を有する専門の支援者を配置し、各府省からの要請等に応じて職場適応支援を実施しました。また、各府省が自ら職場適応に係る支援を適切に行えるようにするため、職員の中から選任した支援者に必要な支援スキル等を付与する支援者向けセミナーを実施しました。

(2)法定雇用率の引上げに対応した、障害者雇用ゼロ企業を含む中小企業に対する支援の推進
1.ハローワークにおける支援の連携・強化
「就職支援コーディネーター」(2021(令和3)年度113人)を配置し、障害者雇用ゼロ企業等に対して、企業ごとのニーズに沿った支援計画を作成し、採用前から採用後の定着支援までを一貫して支援する「企業向けチーム支援」(2020(令和2)年度支援対象企業数1,691件)を実施しています。

また、ハローワークが中心となって、障害者の採用が進まない中小企業等に対し、就労移行支援事業所との面談会や見学会、職場実習(2020年度実施回数延べ779回)を実施しています。 障害者支援向けの就職支援コーディネーター(2021年度300人)を配置し、ハローワークが中心となり、地域の関係支援機関等と連携して、就職から職場定着まで一貫した支援を行う「障害者向けチーム支援」(2020年度支援対象者40,846人)を実施しています。

また、就労支援セミナー(2020年度実施回数延べ927回)、事業所見学会(2020年度実施回数延べ583回)等の機会の充実、ハローワークが中心となった企業と福祉分野の連携促進事業の推進等を図っています。就職準備性を高めることが必要な障害者を対象に、一般雇用に向けた心構え・必要なノウハウ等に関する就職ガイダンスや、管理選考・就職面接会を積極的に実施しました。

加えて、2020年4月に障害者雇用に関する優良な中小事業主(常時雇用労働者数300人以下)に対する認定制度を施行しました。本制度を広く周知し、制度の普及を図るとともに、認定を受けた事業主の社会的認知度を高め、その取組みを障害者雇用の身近なロールモデルとして周知することを通じ、地域全体の障害者雇用の取組みが一層推進されるよう取り組んでいます。
(つづく)Y.H

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