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性による差別の禁止 | テクノファ

投稿日:2022年5月20日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は労働者の雇用、労働契約に関連する知識、資料などについて、前回の続きから説明します。

3 労働安全衛生
職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的として、労働基準法の特別法である労働安全衛生法が定められています。労働安全衛生法は、事業者に、仕事が原因で労働者が事故に遭ったり、病気になったりしないように措置する義務を定めるとともに、労働者に対しては、労働災害を防止するために必要な事項を守り、事業者が行う措置に協力するように定めています。

例えば、事業者は、労働者を雇い入れた際とその後年1回、医師による健康診断を行わなければならず、労働者はその健康診断を受ける必要があります(労働安全衛生法第66条)。また、最近では仕事上のストレスによるうつ病など、労働者のメンタルヘルスも大きな問題となっており、快適な職場環境形成のためには、事業者が、作業方法の改善や疲労回復のための措置だけでなく、メンタルヘルス対策を行うことも重要となっています。

・仕事で病気やけがをした場合
労働者が仕事や通勤が原因で病気やけがをした場合には、労災保険給付の対象になります。
労災保険給付を受けるためには、各種の請求書を提出する必要がありますので、被災労働者から災害の原因など必要な証明を求められたときは、速やかに証明をする必要があります。
また、被災労働者みずから保険給付の請求を行うことが困難な場合には、請求を行うことができるようにする必要があります。
なお、仕事が原因の病気には、長期間にわたる長時間の業務による脳・心臓疾患や人の生命にかかわる事故への遭遇などを原因とする精神障害なども含まれますので、留意が必要です。

・職場のパワーハラスメント
職場のパワ―ハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」を指します。パワハラは内容によっては刑法などに触れる犯罪となります(名誉毀損、傷害罪等)。また、会社には快適な職場環境を整える義務があることから、会社も責任を問われる場合があります。

4 性別による差別の禁止
男性と女性がともにいきいきと働き続けることができるように、法律上さまざまな制度が設けられています。
(1)性別による差別の禁止
事業主は、労働者の募集・採用において性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされています(男女雇用機会均等法第5条)。
また、事業主は、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新において、労働者の性別を理由として差別的な取り扱いをしてはいけません(男女雇用機会均等法第6条)。
労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをすることも禁止されています(男女同一賃金の原則、労働基準法第4条)。

(2)間接差別の禁止(男女雇用機会均等法第7条)
事業主が以下の3つの措置を行うことは、実質的に一方の性に不利益となって、性別を理由とする差別となるおそれがあるため、合理的な理由がない限り、間接差別として禁止されています。
[1]募集・採用にあたり身長、体重または体力を要件とすること
[2]コース別雇用管理における総合職の募集・採用にあたり転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること
[3]昇進にあたり、転勤経験があることを要件とすること

(3)セクシュアルハラスメント対策(男女雇用機会均等法第11条)
職場におけるセクシュアルハラスメントとは、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否・抵抗などしたことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型セクシュアルハラスメント)」及び「性的な言動が行われることで就業環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること(環境型セクシュアルハラスメント)」をいい、女性、男性ともに対策の対象となります。
男女雇用機会均等法第11条により、事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメント対策として雇用管理上必要な措置を講ずる義務があります。

(4)ポジティブ・アクション
過去の女性労働者に対する取り扱いなどが原因で職場に事実上生じている男女間格差を解消する目的で、女性のみを対象としたり女性を有利に取扱う措置については法違反とはなりません(男女雇用機会均等法第8条)。また、このような格差の解消を目指して雇用管理の改善について企業が自主的かつ積極的に取り組みを行う場合、国が援助できる旨の規定が設けられています(男女雇用機会均等法第14条)。

5 仕事と家庭の両立のために
仕事と家庭の両立を図りながら、充実した職業生活を送れるように、妊娠・出産、育児、介護をサポートし、働く男性、女性とも仕事を継続できるような制度が設けられています。
(つづく)A.K

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