実践編・応用編

キャリヤコンサルタント実践の要領 168 | テクノファ

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新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

第4章 自立した生活の実現と暮らしの安心確保
第1節 地域共生社会の実現の推進
1 地域共生社会の実現について
少子高齢・人口減少、地域社会の脆弱化等、社会構造の変化の中で、人々が様々な生活課題を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域住民等が支え合い、一人一人の暮らしと生きがい、地域をともに創っていくことのできる「地域共生社 会」の実現が求められています。

こうした考え方を具体化するため、2017(平成 29)年の社会福祉法改正を踏まえ、各市町村における地域住民相互の支え合いの体制づくりや、関係機関の連携による包括的支援体制の整備を行うためのモデル事業の実施を進めてきました。このモデル事業の成果等も踏まえつつ、市町村において、既存の相談支援等の取組みを活かし、地域住民の複雑化・複 合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、
・相談支援(属性や世代を問わない相談の受け止め、多機関の協働をコーディネート、アウトリーチの実施)・参加支援(社会生活を円滑に営む上で困難を有する者への社会参加への支援)
・地域づくりに向けた支援(世代や属性を超えて交流できる場や居場所の確保、多様な関係者によるプラットフォーム形成など交流
・参加・学びの機会のコーディネート) を一体的に実施する事業(重層的支援体制整備事業)や、その財政支援の規定の創設等を内容とする「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案」が第201回通常国会に提出され、2020(令和 2)年 6月 5日(令和 2年法律第 52号)に成立しました。本法は 2021(令和 3)年 4月に施行されたところであり、重層的支援体制整備事業に取り組む市町村やこの事業への移行を目指す市町村に対し、今後も必要な支援に取り組むこととしています。

ひきこもり支援については、2018(平成 30)年までに、全都道府県・指定都市にひきこもり地域支援センターを開設しました。また、2018年には、市町村において、ひきこもりの状態にある方等を対象に、アウトリーチ等による早期からの継続的な個別支援の実施や、支援につなげるための拠点(居場所等)づくりを推進するとともに、ひきこもりに特化した相談窓口として都道府県・指定都市に設置されている「ひきこもり地域支援センター」において、市町村のバックアップ機能を強化し、ひきこもり支援の充実を図りました。 2020年度においては、ひきこもり地域支援センターに医療、法律等の多職種から構成されるチームを新たに設置し、自立相談支援機関等を支援するとともに、ひきこもり状態にある方の居場所づくり等を推進しました。

また、「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」により、社会福祉事業に取り組む社会福祉法人やNPO法人等を社員として、相互の業務連携を推進する「社会福祉連携推進法人」制度を創設することとしています。
このほか、東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風(台風第19号)等の影響により、仮設住宅等での避難生活を余儀なくされている被災者に対して、孤立防止のための見守りや日常生活上の相談支援など、安定的な日常生活を確保するための支援を行う「被災者見守り・相談支援事業」を行っています。本事業は、2018年度までは大規模な災害が発生した場合に事業化していたが、2019(令和元)年度以降は特定の災害に限定しない事業として、災害が発生した場合に自治体が速やかに事業を実施できることとしています。

また、東https://www.tfcc.jp/cw/wp-admin/edit-tags.php?taxonomy=category日本大震災をきっかけに、2011(平成 23)年から24時間 365日つながる電話相談窓口を設置し、電話による相談を受けて様々な悩みを傾聴するとともに、必要に応じ面接相談や同行支援を実施して具体的な問題解決につなげる相談支援事業を行っています。

2 消費生活協同組合について
消費生活協同組合(生協)については、1948(昭和 23)年に「消費生活協同組合法」として法制化され、主に組合員に対して、食料品や雑貨などの販売、食堂などの施設の運営、生命共済などの各種共済、医療事業や福祉事業などを行っています。制度の発足以降、生協数や組合員数は大きく増加し、2019(平成31)年4月1日現在で生協数は 912組合、組合員数は延べ 6,767万人に達しています。
*1
2007(平成19)年に、生協を取り巻く環境や国民の要請の変化に対応するべく、共済 事業における契約者保護、経営・責任体制の強化等を内容とした法の改正が行われ、 2008(平成20)年から施行されています。
また、災害時に、生協が避難者に対して物品供給を行うことを可能とする要件を拡大すること等とする「消費生活協同組合法施行規則」の改正が行われ、2013(平成25)年から施行されています。

生協では、組合の支え合い、助け合いの精神のもとで、地域における見守りなど、地域福祉に資する様々な事業や組合員活動に取り組んでいます。
*1 組合数・組合員数は、令和元年度消費生活協同組合(連合会)実態調査に対する回答に基づきます。

3 地域生活定着促進事業の実施について
刑又は保護処分の執行のため矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所及び少年院)に入所している人のうち、高齢又は障害のため退所後直ちに福祉サービス(例えば、障害者手帳の発給や施設への入所等)を受ける必要があるものの釈放後の行き場のない人等は、退所後に必要な福祉サービスを受けることが困難です。

(地域生活定着促進事業の概要)
そのため、厚生労働省では、2009(平成 21)年度から「地域生活定着支援事業(現在は地域生活定着促進事業)」を開始しました。
本事業では、各都道府県の地域生活定着支援センター(全国 48か所)が、矯正施設入所中から、矯正施設や保護観察所、既存の福祉の関係者と連携して、支援の対象となる人が退所後から福祉サービスを受けられるよう取り組んでいます。

4 成年後見制度の利用促進について
成年後見制度は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより、財産の管 理又は日常生活等に支障がある者を支える重要な手段であります。成年後見利用制度の利用促 進に関する施策を総合的・計画的に推進するため、2016(平成28)年 4月に「成年後見 制度の利用の促進に関する法律(平成 28年法律第 29号)」(以下「成年後見制度利用促進法」という。)が成立し、本法律に基づき、2017(平成 29)年 3月に「成年後見制度利用促進基本計画」を閣議決定しました。基本計画には、利用者がメリットを実感できる制度、運用の改善、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり、不正防止の徹底と利用しやすさとの調和などの観点からの施策目標を盛り込んでいます。また、成年後見制度利用促進法において、市町村は国の基本計画を勘案して、市町村計画の策定に努めることとされています。

2018(平成30)年4月、利用促進とりまとめ等の業務が内閣府から厚生労働省に移管されるにあたり、厚生労働省は、社会・援護局に成年後見制度利用促進室を設置しました。基本計画の中間年度に当たる2019(令和元)年度においては、基本計画に係る成果指標(KPI)を設定するとともに、各施策の進捗状況や個別課題の整理・検討を行う中間検証を実施したところであります(2020(令和 2年)3月)。こうした KPIや中間検証の結果も踏まえ、地域連携ネットワークの中核機関の整備や市町村計画の策定等の施策を着実に推進していくこととしています。

第2節 社会福祉法人制度改革について
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的とする法人として、長年、福祉サービスの供給確保の中心的な役割を果たしてきましたが、その公益性・非営利性の徹底、国民に対する説明責任の履行及び地域社会への貢献という観点から、「社会福祉法等の一部を改正する法律」(2017(平成 29)年4月本格施行)により、社会福祉法人制度改革が実施されました。改革では、経営組織のガバナンスの強化(評議員会の必置化、一定規模を超える法人に対する会計監査人の導入等)、事業運営の透明性の向上(現況報告書、計算書類、役員報酬基準等の公表等)、財務規律の強化(社会福祉充実財産の明確化及び社会福祉充実財産がある法人の社会福祉充実計画の作成の義務付け等)、地域における公益的な取組みの実施に係る責務規定の創設等が行われました。また、2017年度には財務諸表等電子開示システムが本格稼働し、全国の法人の現況報告書や計算書類等の公表の実施が可能となっています。なお、会計監査人の設置法人数は 2020(令和 2)年度は519法人(うち、会計監査人の設置が義務づけられた収益30億円又は負債60億円を超える法人は396法人)、社会福祉充実計画の策定法人数は、2019(令和元)年度は 2,045法人となっています。社会福祉法人が地域共生社会の実現に向け、その特徴を活かした地域貢献を積極的に行えるよう環境整備を行う等、更なる制度の改善を図っています。

また、「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第52号)に、社会福祉法人等の業務連携を推進する社会福祉連携推進法人制度の創設が盛り込まれており、社会福祉法人の連携・協働に向けた環境整備を進めています。

第3節 生活困窮者の自立・就労支援等の推進及び生活保護の適正化
1 生活困窮者自立支援制度について
「生活困窮者自立支援法」(平成 25年法律第 105号)は、福祉事務所を設置する地方自治体において、複雑かつ多様な課題を背景とする生活困窮者に対し、以下の各種支援等を実施するほか、地域のネットワークを構築し、生活困窮者の早期発見や包括的な支援につなげるものです。

(生活困窮者自立支援制度の概要)
生活困窮者自立支援法が 2015(平成 27)年4月1日に施行されてから 2020(令和 2)年3月末までで、新規相談者は約 116.5万人、自立支援計画の作成による継続的な支援を行った人は約35万人となっています。継続的な支援を行った人のうち、約 16.1万人が就労・増収しており、支援期間1年間で意欲や経済的困窮、就労に関する状況のいずれかでステップアップした人も5割にのぼっているなど、生活困窮状態を改善する効果が着実に現れています。

また、複雑かつ多様な課題を背景とする生活困窮者を包括的な支援につなげていくためには、生活困窮者の自立の支援を行う地域の福祉、就労、教育、住宅などの関係機関等と緊密な連携を図る必要があります。特に 2016(平成 28)年からは、生活や住宅に配慮を要する方々の住まいの確保や生活の安定、自立の促進に係るセーフティネット機能の強化に向けて、厚生労働省と国土交通省の間で情報共有や協議を行うための「福祉・住宅行政の連携強化のための連絡協議会」を開催してきました。2020年度からは、連絡協議会の構成員に法務省を加えた「住まい支援の連携強化のための連絡協議会」を開催しており、矯正施設退所者等で住居に配慮を要する方についても議論するほか、福祉関係団体、住宅・不動産関係団体等を新たに構成員に加え、意見交換を進めながら、福祉分野・住宅分野等のより一層の緊密な連携を図っています。

2018(平成30)年には法改正を行い、任意事業である就労準備支援事業・家計改善支援事業の実施の努力義務化等を行い、特に、2019(令和元)年度から 2021(令和 3)年度までを集中実施期間として、就労準備支援事業等の完全実施(全国の実施率:100%)を目指すこととしており、2020年度より、国による自治体支援を実施する中で、特に、実施自治体の増加に向けた支援の強化が必要な都道府県への厚生労働省による支援を進めています。

また、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする方や、経済的困窮のみならず様々な生活課題を抱える方が顕在化していることを踏まえ、自立相談支援や就労支援の機能強化等として、アウトリーチなど自立相談支援機関における機能強化や、広域での就労体験・就労訓練先の開拓・マッチングの推進を通じて、一人ひとりの状況をきめ細かく対応する包括的支援体制の強化に取り組んでいます。
(つづく)K.I

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