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教育制度の仕組み | テクノファ

投稿日:2022年6月16日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、前回までは労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識について説明してきました。今回から学校教育制度とキャリア教育に関連する知識、資料などについて説明します。

<教育制度>
内閣府のホームページのリンク先資料
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/h19-2/html/4_1_6.html
より引用説明します。

■教育制度の仕組み
わが国の教育制度は、下記の⑴学校教育と⑵社会教育に大別される。
(1)学校教育制度
教育制度は、わが国においては学校教育と社会教育に大別されるが、いずれも法律によって制度化されています。最も基本的な法律は憲法で、その第26条において、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」と、教育の機会均等と義務教育について規定し、具体的なことは教育基本法と学校教育法において規定している。

■教育基本法
教育基本法は、戦後の我が国の教育の基本を確立するために、昭和22年に施行されたものです。教育の基本理念、義務教育の無償、教育の機会均等などについて定められており、学校教育法や社会教育法などすべての教育法規の根本法となるものであるが、制定から 60年近く経過し、教育を取り巻く環境が大きく変化し、様々な問題が生じてきたことに伴い、平成18年12 月に改正教育基本法が交付・施行された。

<改正教育基本法の概要>
文部科学省のホームページ
https://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/1354049.htm
のリンク先資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/__icsFiles/afieldfile/2014/12/17/1354049_1_1_1.pdf
より引用説明します。

〇教育基本法
前文
日本国民が願う理想として、「民主的で文化的な国家」の発展と「世界の平和と人類の福祉の向上」への貢献を掲げ、その理想を実現するために、改正前の教育基本法に引き続き、「個人の尊厳」を重んずることを宣言するとともに、新たに「公共の精神」の尊重、「豊かな人間性と創造性」や「伝統の継承」を規定しています。

教育の目的
何を目指して教育を行い、どのような人間を育てることを根本的な目的とすべきかという「教育の目的」を引き続き規定しています。(第1条)

教育の目標
本条を新設し、第1条の「教育の目的」を実現するための、今日重要と考えられる事柄を5つに整理して「教育の目標」として規定しています。(第2条)

生涯学習の理念
本条を新設し、「生涯学習の理念」を教育に関する基本的な理念として規定しています。(第3条)

教育の機会均等
教育の機会均等について引き続き規定するとともに、障害のある者が十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講ずべきことを新たに規定しています。(第4条)

義務教育
改正前の教育基本法に規定されていた9年の義務教育の年限について、将来の延長の可能性も考慮し、他法に委ねることとするとともに、義務教育の目的、義務教育の実施についての国と地方公共団体の責務などについて新たに規定しています。(第5条)

学校教育
学校教育は、体系的・組織的に行われるべきこと、また、学校教育においては、児童・生徒が、規律を重んずるとともに、学習意欲を高めることを重視すべきことを新たに規定しています。(第6条)

大学
本条を新設し、大学の役割や、自主性・自律性などの大学の特性が尊重されるべきことを規定しています。(第7条)

私立学校
本条を新設し、私立学校の自主性を尊重しつつ、国・地方公共団体が私学助成などの振興に努めるべきことを規定しています。(第8条)

教員
教員の使命と職責の重要性を踏まえ、教員は研究と修養に励み、養成と研修の充実が図られるべきことを新たに規定しています。(第9条)

家庭教育
本条を新設し、保護者が子どもの教育について第一義的責任を有すること、及び、国や地方公共団体が家庭教育支援に努めるべきことを規定しています。
(第10条)

幼児期の教育
本条を新設し、幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国や地方公共団体がその振興に努めるべきことを規定しています。(第11条)

社会教育
社会教育が、国や地方公共団体により奨励・振興されるべきことを引き続き規定しています。(第12条)

学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力
本条を新設し、学校、家庭、地域住民など社会を構成する全ての者が、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚し、相互に連携協力に努めるべきことを規定しています。(第13条)

政治教育
政治的教養は教育上尊重されるとともに、党派的政治教育その他政治的活動を行ってはならないことを引き続き規定しています。(第14条)

宗教教育
宗教に関する一般的な教養は教育上尊重されるべきことを新たに規定するとともに、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動を行ってはならないことを引き続き規定しています。(第15条)

教育行政
教育は、不当な支配に服することなく、法律の定めるところにより行われるべきことを規定するとともに、国、地方公共団体の役割分担や必要な財政措置について新たに規定しています。(第16条)

教育振興基本計画
本条を新設し、国・地方公共団体が総合的かつ計画的に教育施策を推進するための基本計画を定めることについて規定しています。(第17条)
(つづく)A.K

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