キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は学校教育制度とキャリア教育に関連する知識、資料などについて、前回の続きから説明します。
■新学習指導要領
学習指導要領とは何か
文部科学省のホームページ
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/idea/1304372.htm
より引用説明します。
全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めています。これを「学習指導要領」といいます。
学習指導要領では、小学校、中学校、高等学校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めています。またこれとは別に、学校教育法施行規則で、例えば小・中学校の教科等の年間の標準授業時数等が定められています。各学校では、この「学習指導要領」や年間の標準授業時数等を踏まえ、地域や学校の実態に応じて、教育課程(カリキュラム)を編成しています。
学習指導要領は、戦後すぐに試案として作られましたが、現在のような大臣告示の形で定められたのは昭和33年のことであり、それ以来、ほぼ10年毎に改訂されてきました。
それぞれの改訂における、主なねらいと特徴は、以下のとおりです。
○ 昭和33~35年改訂 教育課程の基準としての性格の明確化(道徳の時間の新設、系統的な学習を重視、基礎学力の充実、科学技術教育の向上等)
○ 昭和43~45年改訂 教育内容の一層の向上(「教育内容の現代化」)(時代の進展に対応した教育内容の導入(算数における集合の導入等))
○ 昭和52~53年改訂 ゆとりのある充実した学校生活の実現=学習負担の適正化(各教科等の目標・内容を中核的事項にしぼる)
○ 平成元年改訂 社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成(生活科の新設、道徳教育の充実等)
○ 平成10~11年改訂 基礎・基本を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」の育成(教育内容の厳選、「総合的な学習の時間」の新設等
〇平成20~21年改訂 「生きる力」という理念は継承、「確かな学力」を確立するため授業時数の増加、基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力等の育成、言語活動、理数教育、伝統や文化に関する教育、道徳教育、体験活動の充実、小学校高学年で「外国語活動」を新設
平成20年改訂の小・中・高等学校の新学習指導要領「生きる力」は、小学校は平成23年4月から、中学校は平成24年4月から、高等学校は平成25年度の入学生からすべての教科等で実施。
〇平成29・30・31年改訂
文部科学省ホームページ資料
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/02/14/1413516_001_1.pdf
より引用説明します。
目指すのは「社会に開かれた教育課程」の実現。
主体的・対話的で深い学びの視点から「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」も重視して授業を改善。
カリキュラム・マネジメントを確立して教育活動の質を向上させ、学習の効果の最大化を図る。
改訂された新学習指導要領「生きる力 学びの、その先へ」は、平成29年3月に公開され小学校は令和2年4月から、中学校は令和3年4月から適用、高等学校は令和4年度から適用になります。
■新学習指導要領におけるキャリア教育の充実
文部科学省ホームページ資料
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/11/04/1312817_02.pdf
より引用説明します。
キャリア教育の推進・充実の重要性が認識される中、平成 20 年3月に小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領が改訂された。新学習指導要領の中では、キャリア教育という言葉は使われていないものの随所にキャリア教育が目指す目標や内容が盛り込まれている。その後、平成21年3月に改訂された高等学校学習指導要領では、総則において「学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行い、キャリア教育を推進すること」と定め、学習指導要領として初めてキャリア教育という言葉を使ってすべての高等学校に対してキャリア教育の推進を明示的に求めている。
平成29・30・31年改訂の新学習指導要領ではキャリア教育の充実について小学校、中学校、高等学校について以下のように明示されている。
文部科学省資料
https://www.mext.go.jp/apollon/mod/pdf/mext_propulsion_20180223.pdf
より引用説明します。
学習指導要領(キャリア教育関連部分 抜粋)
○小・中学校新学習指導要領(平成29年3月公示)
第1章 総則 第4 児童の発達の支援
1 児童の発達を支える指導の充実(小学校)
(3) 児童が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。
第1章 総則 第4 生徒の発達の支援
1 生徒の発達を支える指導の充実(中学校)
(3) 生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。その中で、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。
○高等学校新学習指導要領(平成30年告示)
第1款 高等学校教育の基本と教育課程の役割
4 学校においては、地域や学校の実態等に応じて、就業やボランティアに関わる体験的な学習の指導を適切に行うようにし、勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ、望ましい勤労観、職業観の育成や社会奉仕の精神の涵養に資するものとする。
第2款 教育課程の編成
3 教育課程の編成における共通的事項
(7) キャリア教育及び職業教育に関して配慮すべき事項
ア 学校においては、第5款の1に示すキャリア教育及び職業教育を推進するために、生徒の特性や進路、学校や地域の実態等を考慮し、地域や産業界等との連携を図り、産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験活動の機会を積極的に設けるとともに、地域や産業界等の人々の協力を積極的に得るよう配慮するものとする。
第5款 生徒の発達の支援
1 生徒の発達を支える指導の充実
(3) 生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科・科目等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。その中で、生徒が自己の在り方生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。
平成29・30・31年改訂の新学習指導要領では、各教科・総合的学習以外の特別活動についても、キャリア教育について次のように記述している。
(つづく)A.K