キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は学校教育制度とキャリア教育に関連する知識、資料などについて、前回の続きから説明します。
■主体的・対話的で深い学びの実現(「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善)
新学習指導要領の改訂のポイントの1つに知識の理解の質を高め資質・能力を育む「主体的・対話的で深い学び」の実現があります。
文部科学省資料
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/10/04/1325048_3.pdf
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2017/09/28/1396716_1.pdf
より引用説明します。
アクティブ・ラーニングとは教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称です。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法です。
新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」(「アクティブ・ラーニング」)の視点に立った授業改善を行うことで、学校教育における質の高い学びを実現し、学習内容を深く理解し、資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的(アクティブ)に学び続けるようにすることとしています。
ここに書かれている「主体的・対話的で深い学び」についての概要として次のように書かれています。
【主体的な学び】については
学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。
【例】
・ 学ぶことに興味や関心を持ち、毎時間、見通しを持って粘り強く取り組むとともに、自らの学習をまとめ振り返り、次の学習につなげる
・ 「キャリア・パスポート」などを活用し、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったりする
【対話的な学び】については
子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。
【例】
・ 実社会で働く人々が連携・協働して社会に見られる課題を解決している姿を調べたり、実社会の人々の話を聞いたりすることで自らの考えを広める
・ あらかじめ個人で考えたことを、意見交換したり議論したりすることで新たな考え方に気が付いたり、自分の考えをより妥当なものとしたりする
・ 子供同士の対話に加え、子供と教員、子供と地域の人、本を通して本の作者などとの対話を図る
【深い学び】については
習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているか。
【例】
・ 事象の中から自ら問いを見いだし、課題の追究、課題の解決を行う探究の過程に取り組む
・ 精査した情報を基に自分の考えを形成したり、目的や場面、状況等に応じて伝え合ったり、考えを伝え合うことを通して集団としての考えを形成したりしていく
・ 感性を働かせて、思いや考えを基に、豊かに意味や価値を創造していく
■カリキュラム・マネジメント
文部科学省資料
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2020/01/28/20200128_mxt_kouhou02_02.pdf
より引用説明します。
新学習指導要領の改訂のポイントの1つに各学校におけるカリキュラム・マネジメントの確立があります。
カリキュラム・マネジメントとは「社会に開かれた教育課程」の理念の実現に向けて、学校教育に関わる様々な取組を、教育課程を中心に据えながら、組織的かつ計画的に実施し、教育活動の質の向上につなげていくことです。
教科等の目標や内容を見渡し、特に学習の基盤となる資質・能力(言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等)や現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成のためには、教科等横断的な学習を充実することが必要です。また、「主体的・対話的で深い学び」の充実には単元など数コマ程度の授業のまとまりの中で、習得・活用・探究のバランスを工夫することが重要です。そのため、学校全体として、教育内容や時間の適切な配分、必要な人的・物的体制の確保、実施状況に基づく改善などを通して、教育課程に基づく教育活動の質を向上させ、学習の効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントを確立することが求められています。
■キャリア・パスポート
文部科学省資料
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/08/21/1419890_002.pdf
より引用説明します。
新学習指導要領はキャリア教育の推進を求めています。キャリア教育は、ややもすると就業体験や進路指導といった狭いものとして捉えられがちであるが、本来、自らのキャリア形成のために必要な様々な汎用的能力を育てていくものであり、学校の教育活動全体を通して行うものである。
「キャリア・パスポート」とは、児童生徒が、小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる諸活動について、特別活動の学級活動及びホームルーム活動を中心として、各教科等と往還し、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオ(成果物をまとめたもの)のことである。
その記述や自己評価の指導にあたっては、教師が対話的に関わり、児童生徒一人一人の目標修正などの改善を支援し、個性を伸ばす指導へとつなげながら、学校、家庭及び地域における学びを自己のキャリア形成に生かそうとする態度を養うよう努めなければならない。
(つづく)A.K