実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 178 | テクノファ

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新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

3 看護職員の確保
我が国の看護を取り巻く状況は、医療ニーズの増大・高度化などにより大きく変化してきています。こうした中、看護職員の確保対策として、看護職員の資質向上、養成促進、再就業支援等を推進してきたことにより、その就業者数は毎年着実に増加(2016年には約166万人が就業)していますが、団塊の世代が75歳以上となる2025(令和7)年を展望すると、 看護職員の確保対策の強化が求められています。 看護職員の人材確保に関しては、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき、 国、地方自治体、国の指定する中央ナースセンター、各都道府県の指定する都道府県ナースセンターが連携して、①新規養成、②定着促進、③復職支援を柱とした取組みを進めています。具体的には、看護師等養成所の整備や運営に対する補助や、医療勤務環境改善支援センターの総合的・専門的な助言、院内保育所への支援等による勤務環境の改善、看護師等免許保持者の届出制度などによるナースセンターの機能強化などです。

地域における看護職員の確保については、2014年度に各都道府県に設置された「地域医療介護総合確保基金」を活用し、地域の実情に応じた看護職員の養成・確保の取組みに対する支援を行っています。また、2019年度において、看護職員確保対策特別事業として、 訪問看護師の不足やへき地であることなど、地域における看護職員確保等の課題につきまして、都道府県ナースセンター、地方自治体、病院団体等が連携して取り組む「地域に必要な看護職の確保推進事業」に対し支援を行っています。

4 女性医師等の離職防止・復職支援
近年、医師国家試験の合格者に占める女性の割合が約3分の1に高まってきていて、医療現場における女性の進出が進んでいます。このため、出産や育児といった様々なライフステージに対応して、女性医師等の方々が安心して業務に従事していただける環境の整備が重要です。具体的には、
①病院内保育所の運営等に対する財政支援
②出産や育児等により離職している女性医師等の復職支援のため、都道府県に受付・相談窓口を設置し、研修受入れ医療機関の紹介や復職後の勤務形態に応じた研修の実施
③ライフステージに応じて働くことのできる柔軟な勤務形態の促進を図るため、女性医師バンクで就業斡旋等の再就業支援などの取組みを行ってきました。

なお、①・②については、2014年度から地域医療介護総合確保基金の対象とし、③については、女性医師支援センター事業として継続しています。
また、2014年度には、医療や医学の分野の様々な現場において活躍されている女性医師等から構成される「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」を開催しました。同検討会では、女性医師がライフステージに応じて活躍することができる環境整備の在り方について検討を行い、その検討結果を報告書として取りまとめました。報告書については、医療現場等で活用していただけるよう、都道府県、関係団体等を通じて広く周知しています。さらに、2015年度から、女性医師支援の先進的取組みを行う医療機関をモデルとして選定して、モデルの普及啓発を図る事業(女性医師キャリア支援モデル普及推進事業)を実施し、それまで女性医師支援の取組み実績がない施設に新たな支援チームが立ち上がるなどの成果がありました。2019年度からは、女性医師等をはじめとした医療職のキャリア支援を医療機関により一層普及させるため、女性医師等支援で中核的な役割を担う拠点医療機関の構築に向けた財政支援を実施している。こうした取組みを病院勤務医等の勤務環境の改善対策と併せて実施することで、女性医師等の方々が安心して就業の継続や復職ができ、さらに活躍していただくための環境の整備を行うこととしています。

(2)医療を担う人材の質の向上
1 新たな専門医の養成の仕組み
厚生労働省では、医師の質の一層の向上等を目的として、「専門医の在り方に関する検討会」を開催し、2013(平成25)年4月に報告書を取りまとめました。報告書では、新たな専門医の仕組みは、プロフェッショナルオートノミー(専門家による自律性)を基盤として設計されるべきであり、また、医療を受ける患者の視点に立ち、医師の地域的偏在の解消に向けて寄与するなど地域医療に十分配慮すべきであるとされています。

これを受けて、2017(平成29)年度の養成開始に向けて、日本専門医機構及び学会において準備が進められてきたところでありますが、新たな仕組みの導入により、医師及び研修医の地域偏在が更に拡大するのではないかとの懸念が地域医療関係者から示されたため、養成開始を1年延期し、2018(平成30)年度から養成が開始されています。

また、厚生労働省においても、2017年4月に「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」を立ち上げ、地域医療関係者の参画のもと、地域医療に求められる専門医制度の在り方について検討を進め、日本専門医機構に対して地域医療への配慮を求めました。その結果、日本専門医機構においては、地域医療従事者等に配慮したカリキュラム制の導入や、地域の中核病院等であっても基幹病院となれる基準の設定など専門医制度新整備指針の見直しが行われました。

新専門医制度開始後も良質な医療を提供する体制に責任を有する国の立場から、医師のキャリアや地域医療に対する配慮が継続的になされるような、安定した仕組みの構築が求められたことから、「医療法及び医師法の一部を改正する法律(平成30年法律第79号)」 に基づく医師法(昭和23年法律第201号)の一部改正によって、厚生労働大臣が、医師の研修を行う団体に対して、医療提供体制の確保の観点から意見及び研修機会の確保の観点から意見・要請を行うこととされました。本改正法に基づき、医道審議会医師分科会の下に医師専門研修部会を設置し、同部会の審議結果を踏まえ、厚生労働大臣から日本専門医機構等に対し、専攻医の都市への集中抑制や柔軟なカリキュラム制などを内容とする意見・要請を定期的に通知しています。特に、専攻医の採用数の上限設定(シーリング)については、令和2年度の専攻医募集から、より実態に即したシーリングの設定を行うため、厚生労働省が公表した都道府県別診療科別の必要医師数を基に、日本専門医機構が足下の医師数が必要医師数を上回る都道府県・診療科に一定のシーリングを設定しています。

また、今後、高齢化に伴い、特定の臓器や疾患を超えた多様な問題を抱える患者が増えることから、総合的な診療能力を有する医師の専門性を評価し、「総合診療専門医」として新たに位置付け、他の領域分野とともに2018年度から養成が開始されています。

2 医師の働き方改革
「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)において、医師については、医療界の参加の下で検討の場を設け、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討して、結論を得ることとされたことに伴い、2017年8月より「医師の働き方改革に関する検討会」を開催し、時間外労働規制の具体的な在り方、労働時間短縮策等について、2018年度末を目途に最終報告をとりまとめるべく検討を進めています。同検討会では2018年2月27日に、「中間的な論点整理」及び医師の勤務実態の改善のため、個々の医療機関がすぐに取り組むべき事項等を示した「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」をとりまとめました。その後、2019(平成31)年3月28日に報告書を取りまとめた。

報告書におきましては、医師の時間外労働規制等の医師の働き方に関する制度上の論点について整理されているほか、働き方改革の議論を契機としました。今後目指していく医療提供の姿として、労働時間管理の適正化に加え、労働時間短縮を強力に進めていくための具体的方向性として、
①医療機関内のマネジメント改革(管理者・医師の意識改革、医療従事者の合意形成のもとでの業務の移管や共同化(タスク・シフティング、タスク・シェアリング)、ICT等の技術を活用した効率化や勤務環境改善)
②地域医療提供体制における機能分化・連携、プライマリ・ケアの充実、集約化・重点化の推進(これを促進するための医療情報の整理・共有化を含む)、医師偏在対策の推進
③上手な医療のかかり方の周知、
があげられています。

また、当該報告書において引き続き検討することとされ、医師の時間外労働規制に関して、医事法制・医療政策における措置を要する事項等について、2019(令和元)年7月により、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」を開催し、具体的検討を行い、2020(令和2)年12月22日に、「中間とりまとめ」を公表して、以下の長時間労働の医師の労働時間短縮及び健康確保のための措置を盛り込んだ医療法改正法案を2021(令和3)年2月2日に第204回通常国会へ提出し、5月21日に成立しました(令和3年法律第49号)。
①勤務する医師が長時間労働となる医療機関における医師労働時間短縮計画の作成をする。
②地域医療の確保や集中的な研修実施の観点から、やむを得ず高い上限時間を適用する医療機関を都道府県知事が指定する制度の創設をする。
③当該医療機関における健康確保措置(面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制等)の実施等
(つづく)K.I

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