実践編・応用編

国民健康保険料等の均等割額の減額措置|テクノファ

投稿日:2022年7月12日 更新日:

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。

(5)子どもに係る国民健康保険料等の均等割額の減額措置の導入
国民健康保険制度の保険料(税)は、応益(均等割・平等割)と応能(所得割・資産割)に応じて設定されていますが、子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、国・地方の取組みとして、未就学児に係る均等割保険料を半分に軽減します。

(6)生涯現役で活躍出来る社会づくりの推進(予防・健康づくりの強化)
現在、40歳以上の者を対象とする特定健診については、労働安全衛生法に基づく事業主健診等の結果の活用が可能である一方、40歳未満の者については、同様の仕組みがありません。
このため、生涯を通じた予防・健康づくりに向けて、健診情報等の活用による効率的・効果的な保健事業を推進していくため、40歳未満の者に係る事業主健診等の結果を保険者が事業者等に求めることを可能とします。併せて、被用者保険者等が保存する特定健診等の情報を後期高齢者医療広域連合へ引き継ぐこと等を可能とします。

(7)国民健康保険制度の取組強化
1 財政安定化基金
国民健康保険の財政安定化基金は、国民健康保険の財政運営の安定化を図るため、各都道府県に設置されています。都道府県の財政調整機能の更なる強化の観点から、財政安定化基金に積み立てた剰余金等を、安定的な財政運営のために必要な場合に取り崩し、都道府県の国民健康保険の特別会計に繰り入れることができることとします。

2 都道府県国民健康保険運営方針
都道府県は、安定的な財政運営並びに当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の広域的及び効率的な運営の推進を図るため、都道府県国民健康保険運営方針を定めることとされています。都道府県内の市町村における保険料水準の平準化や、一般会計からの法定外繰入等の解消について、都道府県と市町村における議論を促進し、取組みを進めるため、都道府県国民健康保険運営方針の記載事項として位置付けます。
また、「全世代型社会保障改革の方針」に基づき下記(8)及び(9)の対応を行います。

(8)不妊治療の保険適用
不妊治療については、現在、原因が不明な不妊症に対して行われる体外受精や顕微授精等については、保険適用の対象としていませんが、子どもを持ちたいという方々の気持ちに寄り添い、保険適用を早急に実現することとしています。具体的には2021(令和3)年度中に詳細を決定し、2022(令和4)年度当初から保険適用を実現することとし、工程表 (図表7-3-1)に基づき、保険適用までの作業を進めていきます。

(9)大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大
患者が安心して必要な医療機関を受診できる環境を作るためには、患者自身が医療機関の選択などを適切に理解して医療にかかること(上手な医療のかかり方)が必要であります。日常行う診療はかかりつけ医機能を担う身近な医療機関で受け、必要に応じて紹介を受けて、患者自身の状態にあった他の医療機関を受診し、さらに逆紹介によって身近な医療機関に戻るという流れをより円滑にするために、紹介状を持たない患者が大病院を外来受診した場合に定額負担を求める制度(現行:初診時5,000円・再診時2,500円以上(医科の場合))について、見直しを行うこととしています。

具体的には、対象範囲について、2021(令和3)年の医療法改正により地域の実情に応じて明確化される「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関(紹介患者への外来を基本とする医療機関)のうち一般病床200床以上の病院に拡大するとともに、かかりつけ医機能を担う地域の医療機関を受診せず、あえて紹介状なしで大病院を受診する患者の初・再診については、保険給付の範囲から一定額を控除し、それと同額以上の定額負担を追加的に求めるよう仕組みを拡充することとしており、引き続き検討を進めていきます。

2 予防・健康づくり
(1)保険者による予防・健康づくり支援の取組み
1 取組みの横展開・見える化
保険者の予防・健康づくりの取組みを横展開し、その取組み状況の「見える化」をすることで、健康寿命の延伸とともに医療費の適正化を図るために、2015(平成27)年7月に、民間主導の日本健康会議が発足し、2020(令和2)年までの予防・健康づくりに関する数値目標を定めた「健康なまち・職場づくり宣言2020」を採択しました。2020年は「健康なまち・職場づくり宣言2020」の目標達成年度であり、「保険者データヘルス全数調査」に基づき、8つの宣言の達成状況に加えて、5年間の活動と成果を報告、共有しました。また、2016(平成28)年3月には、日本医師会、日本糖尿病対策推進会議及び厚生労働省は、糖尿病性腎症重症化予防の連携協定を締結し、同年4月には国レベルでプログラムを策定(平成31年4月改定)するなど、全国展開に向けた糖尿病性腎症の重症化予防の対策の在り方を示すとともに、協力体制の基盤整備を進めています。

2 高齢者の特性を踏まえた保健事業の推進
高齢者に対する保健事業を、加齢に伴い心身機能が低下する等の高齢者の特性を踏まえたものとするためには、市民に身近な市町村が中心となり、介護保険の地域支援事業や国民健康保険の保健事業と後期高齢者の保健事業を一体的に実施することが重要です。

そのため、2020年4月に施行された「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」により、高齢者への保健事業の体制整備等を行いました。具体的には、「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版」に沿い、各市町村の医療専門職が地域の健康課題を整理・分析した上で、高齢者の個別支援や介護予防の通いの場等に関与する取組み等を行うこととしています。
こうした取組みを推進するため、2020年度より、各市町村に①事業全体の企画調整を行う医療専門職、②高齢者の個別支援や通いの場等への関与等を行う医療専門職を配置する費用について、後期高齢者医療の特別調整交付金による支援を開始しました。

3 データ等を活用した予防・健康づくりの効果検証の実施
保険者や地方公共団体等の予防健康事業における活用につなげるために、データ等を活用した予防・健康づくりの健康増進効果等に関するエビデンスを確認・蓄積するための大規模実証2020年度より開始しました。その結果を踏まえ、保険者等による適切な予防・健康づくりのための取組みの実施を促進することとしています。

(2)保険者インセンティブ制度
予防・健康づくりに取り組む保険者に対するインセンティブを強化するため、2018 (平成30)年度から健康保険組合・共済組合の後期高齢者支援金の加算・減算制度について、加算率・減算率の法定上限10%までの段階的引上げや、保険者の取組みを幅広く評価するための総合的な指標の導入を行っています。2021(令和3)年度以降の中間見直し後の加減算では、加算対象範囲の拡大や、総合評価項目において、成果指標の拡大や重点的に評価する項目の配点割合を高めました。また、国民健康保険の保険者努力支援制度については、2018年度から本格実施しており、2020(令和2)年度の評価指標において、予防・健康づくりに関する評価指標の配点割合を引上げて、マイナス点を導入し配点のメリハリを強化するとともに、成果指標の導入を拡大する等の見直しを実施しました。2020年度予算においては、保険者努力支援制度を抜本的に強化して、新たに500億円(事業費200億円、事業費連動300億円)を増額し予防・健康づくりを強力に推進することとしました。

3 医療費適正化
国及び都道府県は、高齢期における適切な医療の確保を図るために、特定健診・保健指導の実施率等の数値目標や目標達成に向けた取組内容を定めた医療費適正化計画を策定しています。2018(平成30)年度からの第3期医療費適正化基本方針には、適正化の取組目標として、特定健診・保健指導の実施率の向上に加えて、新たに糖尿病の重症化予防の取組みや、後発医薬品の使用促進、医薬品の適正使用(重複投薬、多剤投与の適正化)を盛り込みました。これに即して、都道府県は2017(平成29)年度中に第3期都道府県医療費適正化計画(2018年度から2023(令和5)年度までの6年間の計画)を策定しました。第3期においても第2期に引き続き、計画の進捗状況の把握を進めながら、新たな取組目標の達成に向けて、保険者協議会等とも連携しながら、取組みを進めていきます。なお、2018年度から、 都道府県が国保の保険者となり保険者協議会の構成員になったことから、都道府県は従来からの住民の健康増進や、医療費適正化計画の策定主体としての役割に加えて、保険者協議会の事務局を担う、又は国民健康保険団体連合会と共同で事務局を担うなど、保険者協議会において中核的な役割を発揮することが求められています。
(つづく)K.I

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