実践編・応用編

医療・介護の連携の推進 | テクノファ

投稿日:2022年7月14日 更新日:

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。

(3)医療・介護の連携の推進
今後、要介護認定率や認知症の発生率等が高い75歳以上の高齢者の増加に伴い、医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ高齢者の増加が見込まれることから、在宅医療・介護を一体的に提供できる体制の構築とその連携がますます必要となります。
このため、在宅医療・介護連携推進事業を地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市区町村が主体となって、以下のア~クの8つの事業項目を実施しています。さらに、地域包括ケア強化法により、都道府県による市町村支援を明記し、取組みを強化しています。
ア 地域の医療・介護の資源の把握
イ 在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討
ウ 切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進
エ 医療・介護関係者の情報共有の支援
オ 在宅医療・介護連携に関する相談支援
カ 医療・介護関係者の研修
キ 地域住民への普及啓発
ク 在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携
また、2021(令和3)年4月から在宅医療・介護が円滑に切れ目なく提供される仕組みを構築できるよう省令改正を行うとともに、「在宅医療・介護連携推進事業の手引き(ver.3)」 を公開しました。
また、地域包括ケアシステムを推進する観点から、医療処置等が必要であるものの、入院する程ではないが自宅や特別養護老人ホーム等での生活が困難な高齢者にも対応可能な受け皿を確保することは重要です。
このため、地域包括ケア強化法において、「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナルケア」等の機能と、「生活施設」としての機能とを兼ね備えた新たな介護保険施設を「介護医療院」として2018(平成30)年4月に創設しました。2020(令和2)年12月末現在、介護医療院は562施設(35,005療養床)となっています。

(4)高齢者の虐待防止
2006(平成18)年4月に施行された「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」等に基づき、高齢者虐待の未然防止、早期発見、迅速かつ適切な対応を図るため、自治体等と連携して、虐待を受けた高齢者に対する保護、養護者への支援等に係る措置を講じています。
2019(令和元)年度における対応状況は、養介護施設従事者等による虐待の相談・通報件数が2,267件、虐待判断件数が644件であり、養護者による虐待の相談・通報件数が34,0571件、虐待判断件数が16,928件です。
高齢者虐待の件数は増加傾向にあり、より一層の対策が求められる中で、とりわけ市町村等の体制整備の強化が喫緊の課題であることから、都道府県の指導監督部局や市町村の虐待対応部局の実務者等で構成される会議の設置を支援し、虐待における連絡・対応体制の構築や個別の虐待事案に関する定期的な情報共有などについて、都道府県と市町村の連携の強化を推進します。

3 認知症施策の推進
我が国では、高齢者の4人に1人が認知症又はその予備群と言われており、認知症は、今や誰もが関わる可能性のある身近なものとなっています。
厚生労働省では、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現すべく、2015(平成27)年1月に「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)(2017(平成29)年7月改訂)」(以下「新オレンジプラン」といいます。)を関係省庁と共同して策定しました。政府全体で認知症施策を更に強力に推進するため、2018(平成30)年12月、認知症施策推進関係閣僚会議が設置され、認知症に関する有識者からの意見聴取に加え、認知症の人や家族などの関係者からの意見聴取等や関係省庁との協議を行いながら議論を深め、2019(令和元)年6月18日、認知症施策推進大綱がとりまとめられました。
この大綱では、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」を車の両輪とした施策を推進していくことを基本的な考え方としています。なお、大綱上の「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味です。
こうした考え方のもと、①普及啓発・本人発信支援、②予防、③医療・ケア・介護サービス・介護者への支援、④認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援、⑤研究開発・産業促進・国際展開、の5つの柱に沿って施策を推進していくこととしています。対象期間は2025(令和7)年までとして、施策ごとにKPI/目標を設定しているところです。
具体的には、「共生」の取組みとして、認知症サポーターなどが支援チームを作り、認知症の人や家族の支援ニーズに合った支援につなげる仕組みである「チームオレンジ」の取組推進や、認知症の人ご本人による「希望大使」等の普及啓発活動の推進などを進めるとともに、「予防」の取組みとして、高齢者が身近に参加できる「通いの場」の拡充や認知症に関する研究開発等を推進しています。2020(令和2)年12月に、施策ごとの進捗確認を行い、実施状況を首相官邸ホームページに掲載しました。
また、認知症施策推進大綱等を踏まえて、2020年の介護保険法の改正において、地域社会における認知症施策の総合的な推進に向けて、国及び地方公共団体の努力義務として、地域における認知症の人への支援体制の整備等を定めたほか、関連分野と連携して総合的な取組みを進めていく必要があることから、市町村介護保険事業計画の記載事項として、教育等の関連分野との連携など認知症施策の総合的な推進に関する事項を追加しました。

4 介護現場革新
(1)生産性向上
介護事業所における生産性向上については、「経済財政運営と改革の基本方針2018」 (2018(平成30)年6月15日閣議決定)において「人手不足の中でのサービス確保に向けた医療・介護等の分野における生産性向上を図るための取組みを進める」とされていることから、介護サービスにおける生産性向上のガイドラインを作成しました。また、介護現場の革新に資する取組みを研究し、横展開することを趣旨とする「介護現場革新会議」を開催し、2019(平成31)年3月に基本方針を取りまとめました。これらを踏まえて、2019(令和元)年度は全国7か所で「介護現場革新会議 基本方針」及びガイドラインを活用したパイロット事業を実施しました。2020(令和2)年度においては、これまでの取組みを全国に普及するため、介護現場の生産性向上に関する全国セミナーを開催するとともに、地域 医療介護総合確保基金を活用し、都道府県が開催する「介護現場革新会議」の取組みに必要な経費の補助を行い、介護現場革新の取組みの普及・展開を図りました。
(つづく)I.K

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