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職場体験・インターンシップ実施状況|テクノファ

投稿日:2022年7月20日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は前回に続き学校教育制度とキャリア教育に関連する知識、資料として、学校教育に関する統計調査について説明します。

■職場体験・インターンシップ実施状況等結果
先の回で掲載した、国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センターの活動の中で説明しましたが、キャリア教育の推進は重要な教育政策課題の一つとされ中学校での職場体験活動や高等学校でのインターンシップ(就業体験活動)の充実は常に中心的な課題でした。このような職場体験活動・インターンシップの重要性に鑑み、国立教育政策研究所生徒指導研究センターが平成16年度より、「中学校職場体験実施状況等」・「高等学校インターンシップ実施状況等」の全国的な実施状況を取りまとめたものが、「職場体験・インターンシップ実施状況等結果」です。

平成29年度職場体験・インターンシップ実施状況等結果(概要)を国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターの平成29年度職場体験・インターンシップ実施状況等結果(概要)
https://www.nier.go.jp/shido/centerhp/i-ship/h29i-ship.pdf
より引用説明します。

この調査は、全国の国・公・私立の中学校及び高等学校(全日制・定時制・通信制)を対象に、平成29年度の中学校職場体験・高等学校インターンシップの全国的な実施状況を平成31年1月現在で取りまとめたものです。

中学校職場体験
(1) 公立中学校における職場体験の実施状況は、9,449校中9,319校と、昨年度より0.5ポイント上回り、98.6%となった。
(2) 公立中学校において職場体験を実施している主たる学年の実施期間については、「5日」の実施校の割合が、全体の12.0%と、昨年度から0.6ポイント下回った。
(3) 公立中学校における教育課程等への位置付けの状況等については、主たる学年で「総合的な学習の時間で実施」が78.2%、「総合的な学習の時間で実施し特別活動の学校行事としても読み換えている」が8.1%、「特別活動での実施」が7.9%である。また、参加形態は、ほとんどが「原則として全員参加」である。
(4) 公立中学校における事前指導にかける時間については、主たる学年で、「6~10時間」が47.0%と最も割合が高かった。また、事後指導にかける時間については、「1~5時間」が56.3%と最も割合が高かった。
(5) 国・私立中学校における実施率は、国立では、昨年度より2.7%下回り61.3%となった。私立では、昨年度より2.5ポイント上回り32.9%となった。
(6) 公立中学校における都道府県・政令指定都市別実施率が100%であるのは、宮城県、茨城県、富山県、石川県、福井県、山梨県、静岡県、愛知県、滋賀県、兵庫県、岡山県、愛媛県、熊本県、宮崎県、札幌市、仙台市、川崎市、相模原市、静岡市、名古屋市、神戸市、岡山市、北九州市、熊本市の14県10政令指定都市となった。(5日以上の職場体験が域内全校で行われている自治体は、兵庫県、神戸市の1県1政令指定都市)

3 高等学校インターンシップ
(1) 公立高等学校(全日制・定時制)における実施率は、昨年度より1.1ポイント上回り84.8%となった。職業に関する学科(全日制・定時制)全体の実施率は、87.7%となっている。
(2) 公立高等学校(全日制・定時制)における教育課程等への位置付けの状況等については、学科別でカウントし、「現場実習等教科・科目の中で実施」が13.8%、「『学校外における学修』として実施」が10.5%、「総合的な学習の時間で実施」が9.4%であるなど多様である。なお、50.6%は「教育課程には位置付けずに実施」である。
(3) 公立高等学校(全日制・定時制・通信制)における事前指導にかける時間については、「1~5時間」が65.8%と割合が最も高い。また、事後指導にかける時間についても、「1~5時間」が67.0%と割合が最も高い。
(4) 公立高等学校(全日制・定時制・通信制)において、実施している事前指導の内容について最も重視しているものは、「インターンシップの目的を設定・確認させる指導」、「マナー指導(礼儀作法や挨拶の方法、電話のかけ方の指導等)」の割合が高かった。また、実施している事後指導の内容について最も重視しているものは、「報告書やレポートの作成などインターンシップを評価させる指導」の割合が高かった。
(5) 公立高等学校(全日制・定時制)における学科別集計において、「在学中に1回でも体験した生徒の割合」は、昨年度より0.5ポイント上回り、全体で34.9%となった。普通科においては、昨年度より0.3ポイント上回り22.3%、職業に関する学科においては、昨年度よりも1.2ポイント上回り69.2%と、いずれも前年度より上回る結果となった。
(6) 公立高等学校(全日制・定時制)における学年別の体験生徒数は、2年生の割合が高くなっている。また、体験日数については、「2~3日」が50.7%と最も割合が高くなっている。
(7) 公立高等学校(全日制)学科別集計における実施率は、全体で88.5%であった。普通科においては、86.9%で、職業に関する学科では95.5%であった。
(8) 国・公・私立高等学校(全日制・定時制・通信制)における実施率は、国立では15.0%、公立では84.0%、私立では45.9%である。
(9) 公立高等学校(全日制・定時制)における都道府県・政令指定都市別実施率が100%であるのは、福井県、札幌市、千葉市、浜松市、堺市、岡山市、北九州市、福岡市、熊本市、の1県8政令指定都市である。
(つづく)A.K

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