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キャリアコンサルタント国家試験合格 182 | テクノファ

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キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、前回に続きメンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明します。

■労働者の心の健康の保持増進のための指針
厚生労働省独立行政法人労働者健康安全機構の資料
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000153859.pdf
より引用説明します。

〇労働者の心の健康の保持増進のための指針の概要
厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針、平成18年3月策定、平成 27 年 11 月 30 日改正)を定め、職場におけるメンタルヘルス対策を推進しています。

≪趣旨≫
労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあり、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が半数を超える状況にある。また、精神障害等に係る労災補償状況をみると、請求件数、認定件数とも近年増加傾向にある。このような中で、心の健康問題が労働者、その家族、事業場及び社会に与える影響は、今日、ますます大きくなっている。事業場において、より積極的に心の健康の保持増進を図ることは、労働者とその家族の幸せを確保するとともに、我が国社会の健全な発展という観点からも、非常に重要な課題となっている。

本指針は、労働安全衛生法の規定に基づき、同法の措置の適切かつ有効な実施を図るための指針として、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置(メンタルヘルスケア)が適切かつ有効に実施されるよう、メンタルヘルスケアの原則的な実施方法について定めるものです。(指針:1)

メンタルヘルスケアの基本的考え方
事業者は、自らがストレスチェック制度を含めた事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明するとともに、衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」やストレスチェック制度の実施方法等に関する規程を策定する必要があります。また、その実施に当たってはストレスチェック制度の活用や職場環境等の改善を通じて、メンタルヘルス不調を未然に防止する「一次予防」、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う「二次予防」及びメンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援等を行う「三次予防」が円滑に行われるようにする必要があります。これらの取組みにおいては教育研修・情報提供を行い、「4 つのケア」を効果的に推進し、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、休業者の職場復帰のための支援等が円滑に行われるようにする必要があります。

さらに、メンタルヘルスケアを推進するに当たっては、次の事項に留意してください。 (指針:2)
❶心の健康問題の特性
心の健康については、その評価には、本人から心身の状況の情報を取得する必要があり、さらに、心の健康問題の発生過程には個人差が大きいため、そのプロセスの把握が困難です。

また、すべての労働者が心の問題を抱える可能性があるにもかかわらず、心の健康問題を抱える労働者に対して、健康問題以外の観点から評価が行われる傾向が強いという問題があります。 (指針:2−①)
❷労働者の個人情報の保護への配慮
メンタルヘルスケアを進めるに当たっては、健康情報を含む労働者の個人情報の保護及び労働者の意思の尊重に留意することが重要です。心の健康に関する情報の収集及び利用に当たっての、労働者の個人情報の保護への配慮は、労働者が安心してメンタルヘルスケアに参加できること、ひいてはメンタルヘルスケアがより効果的に推進されるための条件です。 (指針:2 −②)

❸人事労務管理との関係
労働者の心の健康は、職場配置、人事異動、職場の組織等の人事労務管理と密接に関係する要因によって、より大きな影響を受けます。メンタルヘルスケアは、人事労務管理と連携しなければ、適切に進まない場合が多くあります。 (指針:2 −③)

❹家庭・個人生活等の職場以外の問題
心の健康問題は、職場のストレス要因のみならず家庭・個人生活等の職場外のストレス要因の影響を受けている場合も多くあります。また、個人の要因等も心の健康問題に影響を与え、これらは複雑に関係し、相互に影響し合う場合が多くあります。 (指針:2 −④)

≪衛生委員会等における調査審議≫
メンタルヘルスケアの推進に当たっては、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組みを行うことが必要です。「心の健康づくり計画」の策定はもとより、その実施体制の整備等の具体的な実施方法や個人情報の保護に関する規程の策定等に当たっては、衛生委員会等において十分調査審議を行うことが重要です。 (指針:3)

さらに、ストレスチェック制度導入により、衛生委員会の付議事項として、ストレスチェック制度の実施体制及び実施方法について、調査審議を行い、ストレスチェック制度の実施に関する規程を定め、これをあらかじめ労働者に対して周知するようにすることが必要であることが示されています。

≪心の健康づくり計画≫
メンタルヘルスケアは、中長期的視野に立って、継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要であり、また、その推進に当たっては、事業者が労働者の意見を聞きつつ事業場の実態に則した取組みを行うことが必要です。このため衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」を策定することが必要です。

心の健康づくり計画に盛り込む事項は、次に掲げるとおりです。 (指針:4)
❶ 事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
❷ 事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
❸ 事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
❹ メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
❺ 労働者の健康情報の保護に関すること
❻ 心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
❼ その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること

なお、ストレスチェック制度は、各事業場で実施される総合的なメンタルヘルス対策の取組みの中に位置づけることが重要であるため、心の健康づくり計画において、ストレスチェック制度の位置づけを明確にしましょう。

≪4つのメンタルヘルスケアの推進≫
メンタルヘルスケアは、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の「4つのケア」が継続的かつ計画的に行われることが重要です。

4つのケアとは下記のものです。
❶セルフケア
事業者は労働者に対して、次に示すセルフケアが行えるように教育研修、情報提供を行うなどの支援をすることが重要です。また、管理監督者にとってもセルフケアは重要であり、事業者はセルフケアの対象として管理監督者も含めましょう。
・ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
・ストレスチェックなどを活用したストレスへの気付き
・ストレスへの対処

❷ラインによるケア
・職場環境等の把握と改善
・労働者からの相談対応
・職場復帰における支援、など

❸事業場内産業保健スタッフ等によるケア
事業場内産業保健スタッフ等は、セルフケア及びラインによるケアが効果的に実施されるよう、労働者及び管理監督者に対する支援を行うとともに、次に示す心の健康づくり計画の実施に当たり、中心的な役割を担うことになります。
・具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
・個人の健康情報の取扱い
・事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口
・職場復帰における支援など

❹事業場外資源によるケア
・情報提供や助言を受けるなど、サービスの活用
・ネットワークの形成
・職場復帰における支援など

事業者は、①心の健康計画の策定、②関係者への事業場の方針の明示、③労働者の相談に応ずる体制の整備、④関係者に対する教育研修の機会の提供等、⑤事業場外資源とのネットワーク形成、などを行いましょう。

≪メンタルヘルスケアの具体的進め方≫
上記5の4つのケアが適切に実施されるよう、事業場内の関係者が相互に連携し、以下の取組みを積極的に推進することが効果的です。
❶メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供
労働者、管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等に対し、それぞれの職務に応じた教育研修・情報提供を実施してください。なお事業場内に教育研修担当者を計画的に養成することも有効です。 (指針:6 −(1))

❷職場環境等の把握と改善
労働者の心の健康には以下のとおり様々な要因が影響を与えることから、日常の職場管理や労働者からの意見聴取の結果、ストレスチェック制度を活用し、職場環境等を評価して問題点を把握するとともに、その改善を図ってください。 (指針:6 −(2))

❸メンタルヘルス不調への気付きと対応
メンタルヘルスケアにおいては、ストレス要因の除去又は軽減などの予防策が重要ですが、万一、メンタルヘルス不調に陥る労働者が発生した場合に、その早期発見と適切な対応を図ることが必要です。このため、次の 3 項目に関する体制を整備してください。その際には、労働者の個人情報の保護に十分留意しましょう。 (指針:6 −(3))
・労働者による自発的な相談とセルフチェック
事業場の実態に応じて、労働者の相談に応ずる体制を整備するとともに、事業場外の相談機関の活用を図るなど、労働者が自ら相談を受けられるよう必要な環境整備を行いましょう。この相談体制については、ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者に対して、相談の窓口を広げ、相談のしやすい環境を作るために重要であり、また、ストレスの気付きのために、随時、セルフチェックを行うことができる機会を提供することも効果的です。
・管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等による相談対応
管理監督者は、日常的に、労働者からの自発的な相談に対応するよう努めましょう。特に、長時間労働等により疲労の蓄積が認められる労働者などからは、話をよく聴き、適切な情報を提供し、必要に応じ事業場内産業保健スタッフ等や事業場外資源への相談や受診を促しましょう。
事業場内産業保健スタッフ等は、管理監督者と協力して、労働者の気付きを促すよう、保健指導、健康相談等を行うとともに、必要に応じて事業場外の医療機関への相談や受診を促しましょう。
・労働者の家族による気付きや支援等
労働者の家族に対して、ストレスやメンタルヘルスケアの基礎知識、事業場のメンタルヘルス相談窓口などの情報を提供しましょう。

メンタルヘルスケアの具体的進め方としては、早期に対応することでメンタルヘルス不調を深刻化させないことが必要です。労働者がメンタルヘルス不調となり、十分に働けなくなる状況となると本人にとってつらいばかりか、職場にとっても大きな損失となります。ストレスが高まるとうつ病などの疾病につながって、休職することになったり、さらに自殺のリスクが高まることもあります。そのような深刻な事態となる前に、早期に気付き、専門家につなぐことが何より大切です。

上司が部下の「いつもとの違い」に注意をはらい、労働時間管理など職場の環境調整に留意するとともに、必要に応じて、セルフチェックの実施を促し相談対応をしたり、問題が感じられた場合には、専門家へつなぐ等適切な対応が行われるようにしましょう。

❹職場復帰における支援
メンタルヘルス不調により休業した労働者が円滑に職場復帰し、就業を継続できるようにするため、衛生委員会等において調査審議し、職場復帰支援プログラムを策定するとともに、その実施に関する体制整備やプログラムの組織的かつ継続的な実施により、労働者に対する支援を実施しましょう。 (指針:6 −(4))
(つづく)A.K

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