基礎編・理論編

キャリアコンサルタント養成講座 192 | テクノファ

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横山哲夫先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のためのWORKがあるはずであるとキャリアコンサルタント養成講座の中で強調されていました。そして数多くの著書を世の中に送り出しています。

今回はその中からキャリアコンサルタントが知っていると良いと思われる「組織文化とリーダーシップ」を紹介します。

本記事はエトガー・H・シャインの著作「組織文化とリーダーシップ」を横山先生が翻訳されたものです。横山先生の思想の系譜をたどるときには、エドガー・シャインにかならず突き当たるので今回から横山先生の翻訳を紹介しながら彼の思想の系譜を探索したいと思います。

<ここより翻訳:2010年シャイン著>
対話セッションをどのように設定するか、以下に紹介するケースでは参加者を学習する状況に誘っていることがうかがえる。

ケーススタディー
MITの10人のMBAの学生のグループ(様々な国籍を含む)が,その文化の差異を探求したいと願っていた。彼らは全員英語をしゃべっていたが,なお共同作業で協調して仕事を進めることができるほどにお互いを理解し合っていないと感じていた。そこで文化の差異を探求するために,2時間のセッションを持つことに合意した。

段階1:対話のためのルールを設定する
私は教員ファシリテーターとしての対話の考え方と,参加者は「キャンプファイア」に向けてのみ語りかける,お互いの同士語りかけることはないという基本的ルールを説明した。さらに質問に対して必ずしも答えなくてよい,お互い同士決して話を中断してはならない,自分自身について各人が2つの質問に答えることを通じた「チェックイン」を持ってセッションをはじめということも説明した。

段階2:最初のチェックインのための質問:権威にフォーカスする
私は各人に少し時間を取って,彼らの上司,あるいは権威を持った人物が,彼らが取り組もうとしているタスクで,何らか間違ったことをしようとしている状況を思い浮かべてもらった。そのあと各人に順番に,中断や質問をされない形で,キャンプファイアに向けて,彼らが取った行動,あるいは取ったであろう行動をできるだけ詳しく語ってもらった。私は「彼らの文化」について一般的なコメントではなく,彼らの個人的ストーリーを聞きたいのだということを強調した。あくまで個人的な経験を通じて文化を経験したかったからだ。このあと各文化について一般な議論を進めることが可能になった。そこでまず私は,私の右隣の学生に彼/彼女のストーリーを語ってくれるように促した。この人物が話し終わったあと,次の人物にキャンプファイアに向かって語るように求め,すべての出席者がそのストーリーを語り終えるまで作業を続けた。各人が語っている間,質問や中断が起こらないように注意し,すべてのメンバーが順番に語り続けられるようにした。

もし誰かが私の意図を理解できなかったときには,私は,われわれ各メンバーから実際の出来事を聞きたいのだ,また実際の経験を持っていない場合には,もしその上司が間違いや何か間違ったことをしようとしているときに彼らはどのような反応を示したと考えているのかを聞きたいのだ,ということを繰り返し説明した。ここでのゴールは各人の文化に属する誰かがどう行動したかではなく,彼ら自身がどう行動したか,を聞くことであった。つまり各人の文化の仮空の人物ではなく,このセッションに出席している各個人を知りたいのだ,ということも強調した。

段階3:咀しゃくとオープンな議論
各人が自分のストーリーを語り終えたあと,グループに数分間の沈黙の時間を求め,彼らがどのような差異を聞いたか,あるいは各ストーリーの中にどのような共通点を聞いたかを振り返ってもらった。そのあとコメント,観察,質問を求めたけれども,ここでも彼らがキャンプファイアを見つめ,キャンプファイアに語りかけるというルールを守った。グループは最初戸惑ったけれども,しばらくたつとメンバー同士,目と目を合わせて話すよりもこの形のほうが自分の心にあることを発現することが楽だ,ということに気づいた。たとえその発言がグループ内の特定の人物に向けたものであった場合でもだ。もしグループにランクや地位が明らかに異なったメンバーを含んでいたときにも,私はこのグループに対して彼らが聞き取ったことの意味について語ってくれるように求めた。この議論は15分から30分間続いた。そのあと私は第2の質問に移った。

段階4:第2のチェックインの質問,親愛と信頼にフォーカスする。
私は次に,各メンバーがその同僚を信頼できるか否かを決め,さらにどうしてそのような決定をしたかを判断した状況について,順番に語ってくれるように求めた。つまり,その人物が信頼できるか否かを決める際に,その人物にどのような基準を用いたか,さらにそれらの基準はどの程度有効であったかといったポイントだ。ここでもまた,各人は順番に,全く中断を受けずに,上記について自分のストーリーをキャンプファイアに向けて語った。

段階5:親愛と信頼についての洞察に対するオープン討議
ここでも私は,メンバーが聞き取った差異と共通点を話し合う際に,キャンプファイアに向かって語るというルールを強調した。またこのグループが協調して仕事を進めるための能力として,彼らが聞き取ったことの意味を考えてくれるように求めた。そして適切と判断した時点で次の話題に移った。

段階6:この対話の形式がメンバーの自分自身および他のメンバーの理解にどのような影響を及ぼしたかについての討議
ここでの学習のゴールは,メンバーに対して,異文化間の理解はこの対話プロセスを通して達成可能であり,さらに彼らが将来問題に出会ったときにこのようなプロセスを設定できることを示すことであった。私はここで,権威と親密に関する具体的な課題を,各人の文化のなかでどのように処理するかについて,各人からその経験を聞きだすことの重要性を強調した。たしかにマクロカルチャーに伴うほかの側面も討議の対象となり得るけれども,グループが協調して仕事を進めるためのもっとも重要な課題は権威と親愛の課題なのだ。

この対話の形式に伴うロジックは,この多元的文化グループの各メンバーが,権威と親愛の問題をどのようにとらえ,どのように処理するかについての信頼できる個人の情報を引きだすことに求められる。何故ならこのグループにタスクを達成するために必要とされる,仕事上のコンセンサスを実現するためにこの権威と親愛が不可欠の領域を占めているからだ。ここでのゴールは総体的に文化を学ぶことではなく,ティームメンバーが協調して仕事を進めることができるようにお互いを十分に知り合うことができるようにすることなのだ。

える。ここで同様なプロセスを多元的に文化タスクフォースや外科手術ティームに設定するためにどのようにすべきかは,その実際の状況とリーダーが達成しようとしているゴールによって変わってくる。理想的には,グループが文化の島の雰囲気を簡単に生みだせるように,職場から物理的に離れた場所が選ばれることが望ましい。しかし対話の形式は,もしその原則的なルールが守られているのであれば,どこにでも文化の島の雰囲気を生み出すことは可能だ。事実,対話の形式に備わるパワーは,もしそれが職場で実施されたとしてもそのプロセスを通じて文化の島の規範を促すことを可能にする。表21-2には,あなたが独自の対話セッションを運用したいときに活用できるプロセスを表示した。持ち新しい組織が多元的文化グループ,または協調的組織(collaboration)である場合,同様なプロセスが活用可能だ。しかしチェックインに当たっての最初の質問はより具体的に,タスクに関連した文化の差異に着目するものになるだろう。しかしそこではつねに権威と親密の課題に取り組むことが求められる。例えばそのグループがシュランバーガー者のような多国籍企業における

表21-2 いかに対話(dialogue)を促すか
1.多文化間の関係を探るニーズを持つグループを選びだす
2.出席者に円型か,それに近い形で座ってもらう
3.対話の目的を明らかにする。「自分自身,またお互い同士より効果的に傾聴できるようになる。また自分たちの文化に見い出せる共通点と差異に理解を深める」といったゴール
4.参加したメンバーが順番に,まず自分が誰であるかを紹介し,さらに各人が権威との関係における,次のような質問に対して適切な答えを発表することによって会話をスタートさせる。たとえば「あなたの上司が間違ったことをはじめようとしているときに,あなたはどのような行動を取りますか」といった質問だ。参加者各人にあたかもキャンプファイアに語りかけるように語ることを求める。ここでは誰とも目を合わせることなく語り,また各人が話し終えるまでほかの人たちからの質問やコメントは認めない
5.すべての参加者が語り終えたら,次のような一般的な質問を投げる。たとえば,「どのような共通点,また差異を見つけましたか」といった質問だ。この際に特定のメンバーの発言に対するコメントであっても,なおキャンプファイアに語りかけるように各人に求める。また順番を守るように制約したり,質問やコメントを控えさせることのない状態で,各人がたったいま聞いたことをオープンに発表することを促す
6.話題が尽きたり,グループのエネルギーが停滞した場合には,次の質問,「あなたの同僚を信頼している,していないはどのように判断していますか」といった質問を投げる。ここでも全体討論に移るまえに各人から順番に発言を求める
7.そのあと差異と共通点を自然な形で導きだす。このセッションの目的は相互理解と共感を生むことであり,必ずしも明確な説明や結論をだすことではないので,ファシリテーターからの一般的な説明は避けるべきだ
8.2番目の話題に対する議論も尽きたら,グループに対して,メンバー各人に順番に,各人の文化,また対話中に聞き取ったほかの文化に対する,ひとつかふたつの洞察を述べ合ってもらうことを促す
9.次にグループに,共通点,あるいは一緒に働いていくうえで彼らが発見した問題点を発見し,整理するように求める。とくに権威/パワー,さらに親密/信頼について彼らが聞き取った点について検討する
10.さらにグループに対して,協調して仕事を進めるために必要となると感じている次のステップを明確にしてもらう
(つづき)K.I

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