テクノファは、あなた自身が輝いて働く(生きる)ためのトレーニング・講座をご提供しています。何よりも、自分の人生を自分で計画し切り開いていく、そのための自分自身が、何になりたいのか? そもそも自分は何者なのか? どうやったらなりたいものになれるのか。一つ一つを明確にすることで、地面が揺らいだときにも、急に会社の方針が変わったとしても、しっかりと地面をつかむことができ、自分の働き方をつかむことができるのです。常に成長し変化している人の成長を支援することがキャリア開発支援です。
キャリアのカウンセリング・コンサルティング・ガイダンスや、キャリア教育、人材育成など、人の成長にかかわっている方々や、部下を持っている上司、組織の一員として働いている方々や、家族(親、子供、夫婦など)の役割を担っている方々全てにこのメールマガジンをお届けします。
このコーナーは、活躍している「キャリアコンサルタント」からの近況や情報などを発信いたします。今回はキャリアコンサルタントのT.Fさんからです。
しごとのやりがいとキャリコンのしごとについて
就労支援の仕事をしていると”働くこと”や”やりがい”といった就労の根本を考えさせられることがあります。私は心身の不調から仕事に就けない方を対象に3日間のトレーニングを年に数回開催しています。このトレーニングの初日に私は「皆さんの仕事は必ず人の役に立ち、社会は皆さんの仕事を待っているんです。是非、できる範囲でいいので仕事をして下さい」と話します。そして、実際に短時間で働かれている事例を幾つかお話すると、皆さん何か気づくものが有るようです。
いまアドラーがブームだそうで書店の心理学のコーナーには沢山の解説書が並んでいます。その中の永江誠司著「アドラー珠玉の教え」にこんな一節が有りました。「人が社会に存在する意味はその貢献にある。私にはこの世に存在する意味が有り、私はこの世に貢献する存在であると思えたとき、ひとは幸福だと感じることができる。」なるほど、自分は役に立っているんだと自覚できれば嬉しいし、その仕事にやりがいも感じることができるかもしれない。
更に、「本人の貢献感を高めるために上司は褒めるのではなく、成果に対する感謝や喜びを伝えることが重要」なのだそうです。なるほど、上司から上から目線で「よくやった」と言われるより、「ありがとう、助かったよ」といわれたら、私でもやる気が出るかもしれない。
自信を無くした人にもう一度働く勇気を持ってもらうためにはお金を稼ぐことの魅力を力説するよりその先にある”役に立てる存在”に気づいてもらうことが効果的なようである。3月上旬、まだ肌寒い休日、ある団体の「キャリアコンサルタントの働き方シンポジウム」のお手伝いをしてきました。参加された方はキャリコンの資格を取られて間もない方やこれからキャリコンの資格を取ろうと考えられている方70名ほどが参加されていました。言い換えれば、ここに集まった方は対人支援を職業として様々な分野で個人や社会に貢献しようと思われている方達ということです。私はグループ討議のファシリテーターをやらせて頂き皆さんのお話を伺いました。そこで感じたことをいくつかまとめてみます。
様々な悩みが出されていましたが、最も大きな悩みは経験がないため採用されない、働く機会が無いということのようでした。かつてキャリアコンサルタントは民間資格であったため認知度も低く働く職場も公的な就労支援機関や大学の就職課、企業でも大企業の一部程度でした。それに比較し現在は、資格は国家資格となりキャリアに関する支援制度が施行され、活躍する場は格段に広がっているように思えます。しかし、実態はキャリアドック制度は緒についたばかりですし、キャリアコンサルタントには専門性と成果を求められるため未経験者を組織で養成する余裕が無いのが実態のようです。
しかし、見方を変えれば、資格をとったから活躍の場が約束されるなどということのほうがあり得ないことであり、様々な資格を要する仕事を見ても同様であろうと思います。では、初心者が経験を積む場は無いのでしょうか?そんなことはありません。山のようにあります。面談スキルを身につけるためには実践での面談経験が必要不可欠です。そういったスキルが不十分な方には、ボランティアで面談経験を積むことをお勧めします。
老人施設での傾聴ボランティアや障がい者支援、生活困窮世帯の子供を対象とした学習支援、外国人への日本語学習支援など、福祉的側面が強くキャリアやカウンセリングという切り口ではないですが、悩みを聴き、寄り添い、支援する場面は必ず付随して存在します。企業内ではどうでしょうか。キャリア相談の機能を有している企業は大企業で50%程度、中小企業では30%と低い水準となっています。まだまだ活躍する場は少なくこれからキャリアドック制度の普及が期待されますが、キャリアコンサルタントとして環境の好転を待つだけでは心許ない限りです。環境への働きかけを行なってこそキャリアコンサルタントではないでしょうか。討論したグループの一人から会社のしかるべき方に提案し、キャリアに関する仕事を開拓してみるとう積極的なお話がありました。
これは単に自身のやりたい仕事を頼んで作るという自己中心的なものではなく、人材の活性化ひいては人事面における重要な経営戦略の一施策であり、社員の中からそんな提案が出る組織こそ経営層が求めるものではないでしょうか。在籍する会社にはキャリアの関する組織や土壌が無いからと諦めるのではなく、むしろチャンスであると考え、提案することで自身がキャリア支援のオーソリティーを目指して欲しいと思います。キャリアコンサルタントは様々な問題に悩む相談者と向かい経験を重ねることでスキルを上げることができます。慌てず様々な現場を経験しステップアップしながら人を支援すること、キャリコンができること、たまに感謝されること、人の役に立っていることを体験して頂きたいと思います。隣の同僚の悩みを聴くことだって先々につながる貴重な一歩になりますよ。
(つづく)K.I