実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 196 | テクノファ

投稿日:

テクノファは、あなた自身が輝いて働く(生きる)ためのトレーニング・講座をご提供しています。何よりも、自分の人生を自分で計画し切り開いていく、そのための自分自身が、何になりたいのか? そもそも自分は何者なのか? どうやったらなりたいものになれるのか。一つ一つを明確にすることで、地面が揺らいだときにも、急に会社の方針が変わったとしても、しっかりと地面をつかむことができ、自分の働き方をつかむことができるのです。常に成長し変化している人の成長を支援することがキャリア開発支援です。

キャリアのカウンセリング・コンサルティング・ガイダンスや、キャリア教育、人材育成など、人の成長にかかわっている方々や、部下を持っている上司、組織の一員として働いている方々や、家族(親、子供、夫婦など)の役割を担っている方々全てにこのメールマガジンをお届けします。

このコーナーは、活躍している「キャリアコンサルタント」からの近況や情報などを発信します。

〇事例を振り返って見えること
先月、事例検討を2日間経験する機会がありました。1日はファシリテーターとして、2日目は受講者として研修してきましたが、テーマは就労に前向きに取り組まない生活保護を受けている男性の事例と親の介護をしているが生活困窮に陥ってしまった女性の事例でした。

テーマに取り上げられるだけあってベテラン支援者でも困難な事例であると思います。困難にしている最も大きな要因は、男性の事例では働くことを諦めてしまい自ら就労を望んで支援を求めて来ていないこと。女性の場合は既に所持金が僅かで生命の危険から緊急の支援とその後の支援の2段階を要するということでした。二人とも就労を真っ先に着地点に支援できれば良いのですが、その前に様々なハードルがその道を塞いでしまっているようです。

詳細の内容は記載できませんが、これらは困難な事例ですが決して珍しい事例ではありませんし、個室での面接だけで対応できるものでもありません。私達が扱う事例が困難な事例とそうではない事例となるのは何がそうさせるのでしょうか?

以前、私が扱った就労支援の事例にこんな方がいました。60歳代後半の方でしたが就労を希望されて面談に訪れ、話を聴いていくうちに多額の借金があることが分かってきました。また、持病の疾患があることも分かり突っ込んで聞きますと通院せず放置したうえに症状の発症があるとのこと。そして、仕事をしようにも借金で携帯電話が止まっていて就労を目指すには大きな障害となっていました。どうしようか頭を悩ませていると程なくして借金の支払いを求め訴訟を起こされ出廷命令が届くような始末です。

この状態を把握した時点で、私は困難な事例を覚悟しました。正直、就労は二の次、三の次、もしかして無理かもしれないと諦めモードになりかけていました。結論からご紹介すると、この方は初めてお会いしてから2ヶ月ほどで短時間の就労でしたが社会生活をリスタートすることができました。

どのように対応したかですが、訴訟対策は法テラスに誘導して対応を明確化し、持病は以前かかっていた病院の再診療を優先し就労に影響なしとのこと。携帯は借金返済を計画して実行し、何とか入手に漕ぎ着けました。これらは私だけではなく担当するケースワーカーや他の関係者の協力を得て始めて完結できたと思います。なんともならなかったのは年齢だけでした。

事例を困難にしている要因を改めて考えてみると、大きく三つあるように思います。ひとつは関係構築できずに支援を継続してしまっているケース。二つめはアセスメントが誤っているか不充分のため大切な部分を見落してしまっているケース、三つ目は支援者が方策の引出しを持っていないにも拘らず支援を継続するケースです。

先の事例では、当初この方の働こうとする意欲や素直さといった課題解決に向けて大きな推進力となるストレングスに目を向けていませんでした。最終的にはそのストレングスを活用して、方策を具体化し、就労まで対応することができました。「複雑か否か」、「時間を必要とするか否か」は、大きな問題ではないように思えます。事例を困難にしてしまうのは、キャリアコンサルタント自身が適切なアセスメントができずに先入観や偏った情報で判断していたり、力量を過信して抱え込んでしまうこと等に起因しているのかもしれません。

こんなことがある本に書かれていました。
『分からなかったら最後は本人(クライエント)に聞け!』だそうです。なるほど!
(つづく)K.I

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント実践の要領 169 | テクノファ

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。 2 生活保護制度の概要 …

キャリアコンサルタント実践の要領 76 | テクノファ

キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、組織視点を組み込んだキャリアコンサルティングの役割り拡大に対応するスーパービジョンについて説明します。 0.はじめに キャリアコンサルティングの活動は時代とともに変化し、その役割りを拡大してきた。従来、キャリアコンサルティングの活動は、主として心理カウンセリングの延長として位置付けられ、(心理)カウンセリングアプローチがクライアントとの面談で主として採用され、それが現在も活用されている状態であるともいえる。それ故、キャリアコンサルタントの研鑽の場であるスーパービジョンも、このカウンセリングアプロー …

キャリアコンサルタント実践の要領 147 | テクノファ

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。 2.■ 不妊に悩む夫婦へ …

キャリアコンサルタント実践の要領 139 | テクノファ

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。 ●(良質かつ適切な医療を …

キャリコンサルタント実践の要領 63 | テクノファ

「キャリアコンサルタント実践の要領62」に続きキャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、スーパービジョンのモデル実施及びアンケート・実施報告書の分析の部分の、キャリアコンサルティングの効果に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント)の結果を報告します。 ③キャリアコンサルティングの効果に係るアンケート(スーパーバイザー)の結果 ③―1スーパーバイザーが指摘した課題の傾向 スーパービジョン実施報告書に記述されていたスーパーバイジー(キャリアコンサルタント)の課題について、キャリアコンサルタント向けアンケートと同じ観点に基づい …