キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、前回に続きメンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明します。
■これからはじめる職場環境改善~スタートのための手引~研修の教材
独立行政法人労働者健康安全機構の資料
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/johoteikyo/tabid/1330/Default.aspx
とそのリンク先資料より引用説明します。
〇この教材は、ストレスチェック制度に基づく検査結果をもとに職場環境改善を始める際の、ストレスチェックの実施から集団分析、職場環境改善のスタートまで、具体的な手順に従って実施方法を説明する研修用のものです。
研修教材として下記の3つが用意されています。
・これからはじめる職場環境改善~スタートのための手引~(テキスト)
・講義用パワーポイント
・講師向けガイド
〇これからはじめる職場環境改善~スタートのための手引~(テキスト)とは
ストレスチェック制度の目的はメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)です。改正労働安全衛生法により、従業員数が50名以上の事業場は2015年12月から毎年1回ストレスチェックの実施を行うことが義務化され(50名に満たない事業場では努力義務)、またいずれの人員規模の事業場においてもストレスチェックの結果を集団分析し、これを活用して職場環境改善を行うことが努力義務となっています。
職場環境改善には、労働者の心理的ストレスを軽減する効果、生産性を向上させる効果があることが分かっています。厚生労働省の第13次労働災害防止計画(計画期間2018年度~2022年度)では、「ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上にする」ことが目標として掲げられています。このテキストは、ストレスチェック制度を活用した職場環境改善について各ステップでの課題やそれに対する工夫をあげて分かりやすく例示する等、成功のための秘訣をわかりやすく説明しています。
〇テキストの目的
このテキストは、職場環境改善をこれから始めようとするストレスチェックの実施者、実施事務従事者、産業保健スタッフ等を対象に、ストレスチェックの実施から集団分析、職場環境改善をスタートするまでの具体的な手順に従って、その実施方法を説明するためのものです。
テキストの内容は次の目次のようにまとめられています。
これからはじめる職場環境改善~スタートのための手引~(テキスト) 目次
Ⅰ.職場環境改善の有効性について
1.職場環境改善は根拠のある活動です。
2.ストレスチェック制度においても職場環境改善がストレスの改善に有効です。
3.職場環境改善は生産性の向上にも効果があります。
Ⅱ.ストレスチェック制度で職場環境改善をどうはじめるか。
1.ストレスチェック制度における職場環境改善の位置づけ。
2.改善主導型別にみた職場環境改善の3つの方式。
コラム:ポジティブなメンタルヘルスのための職場環境改善
3.職場環境改善に向けたPDCAサイクルの各ステップでの実施事項
Plan:計画、実施前準備
Do:実施
Check:評価
Act:改善
4.職場環境改善を成功させる秘訣
Ⅲ.職場環境改善の実施モデル:改善主導別 職場環境改善フローチャート
1.経営層主導型の職場環境改善の流れ(例)
2.管理監督者主導型の職場環境改善の流れ(例)
3.従業員参加型職場環境改善の流れ(例)
Ⅳ.具体的な取組事例
コラム:従業員参加型職場環境改善
Ⅴ.便利な資料情報
〇講義用パワーポイントとは
研修内容に沿ったスライド資料が用意されています。
〇講師向けガイドとは
このガイドは、『これからはじめる職場環境改善~スタートのための手引~』に基づく研修を実施する際のポイントを記述したものですが、職場環境改善をこれから始めようと考えている事業場の人事労務担当者や産業保健スタッフが、職場環境改善に着手するための知識とスキルを学べるように構成すると同時に、グループワークを通して、事業場で職場環境改善を行う際の課題をどう解決するかを理解し、職場環境改善をスタートすることへの自己効力感(上手にスタートできるという感覚)を高めることができるように構成されています。
ガイドの内容は下記のようになっています。
ガイドの項目一覧
Ⅰ.全般的なこと
1.研修の対象者
2.研修の構成
Ⅱ.第1部「講義」の進め方
1.講義の目的
2.講義の準備.
3.各セクションのねらい、および実施のポイント
Ⅲ.第2部「グループワーク」の進め方
1.グループワークの目的
2.グループワークの準備
3.各セクションの「ねらい」および「実施のポイント」
Ⅳ.Q&A 受講者からのよくある質問と回答
■職場改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)
厚生労働省のサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/manual/hint_shokuba_kaizen/
より引用説明します。
厚生労働省の「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」では、管理監督者および産業保健スタッフがそれぞれの立場から職場環境等の改善を通じたメンタルヘルス対策を推進することが求められています。これまでも職場環境等のストレス要因を評価することができるようになってはいましたが、職場でどのように改善方法を立案し、実行するかについては具体的な方法ありませんでした。この職場環境改善のためのヒント集は、従業員が参加して、職場において仕事の負担やストレスを減らして快適に安心して働き、心の健康を増進できるようにするための職場環境に関する改善アイデアが盛り込まれた職場環境等の改善方法を提案するためのツールです。
これらのヒントは、職場のメンタルヘルスやストレス対策のためにすでに行なわれ、役立っている改善事例を日本全国から集めて、全部で6つの領域、30項目に分類してチェックリストとしてまとめたものです。
このヒント集の特徴は職場環境などの良否をチェックするものではなく職場で取り上げる改善策を選択形式で選ぶチェック方法となっていることで(アクションチェックリストと呼ばれている)、職場で一緒に働く従業員各々が結果を持ち寄りグループ討議などに利用して職場環境改善につなげていくことが効果的です。それぞれのチェックポイントはストレス対策に有効だった事例を多面的に取り上げているので、職場に合わせた職場環境等の改善への目のつけどころや改善の考え方を理解することができます。
〇チェックリスト(2004 春バージョン)は次のような内容です。
A.作業計画への参加と情報の共有
(作業の日程作成に参加する手順を定める)
1.作業分担や日程についての計画作成に、作業者と管理監督者が参加する機会を設ける。
(少人数単位の裁量範囲を増やす)
2.具体的なすすめ方や作業順序について、少人数単位または作業担当者ごとに決定できる範囲を増やしたり再調整する。
(個人あたりの過大な作業量があれば見直す)
3.特定のチームまたは特定の個人あたりの作業量が過大になる場合があるかどうかを点検して必要な改善を行なう。
(各自の分担作業を達成感あるものにする)
4.分担範囲の拡大や多能化などにより単調な作業ではなく個人の技量を生かした達成感が得られる作業にする。
(必要な情報が全員に正しく伝わるようにする)
5.朝の短時間ミーティングなどの情報交換の場を設け、作業目標や手順が各人に伝わりチーム作業が円滑に行なえるように、必要な情報が職場の全員に正しく伝わり共有できるようにする。
B.勤務時間と作業編成
(労働時間の目標値を定め残業の恒常化をなくす)
6.1日、1週、1ヶ月単位ごとの労働時間に目標値を設け、ノー残業デーなどを運用することで長時間労働が当たり前でる状態を避ける。
(繁忙期やピーク時の作業方法を改善する)
7.繁忙期やピーク時などの特定時期に個人やチームに作業が集中せず、作業の負荷や配分を公平に扱えるように人員の見直しや業務量の調整を行なう。
(つづく)A.K