国家試験

令和3年版自殺対策白書 | テクノファ

投稿日:2022年9月28日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、メンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料として令和3年版自殺対策白書を前回の続きから説明します。

⑵ 月別自殺者数の推移
令和2年における月別自殺者数の推移をみると、自殺統計によれば、「10月」が最も多く、「2月」が最も少なくなっている。また、1月、7~12月で前年の自殺者数を上回り、2~6月で前年を下回った。また、男女別の月別の自殺者数の推移をみると、自殺統計によれば、男性、女性ともに「10月」に自殺者数が最も多くなっている。また、自殺者数が最も少ない月は、男性、女性ともに「2月」となっている。1か月間の日数の影響を排除するため、令和2年における月別の一日平均自殺者数をみると、自殺統計によれば、「10月」が最も多くなっており、「4月」が最も少なくなっている。

⑶ 男女別の状況
令和2年における男女別の自殺者の状況をみると、自殺統計によれば、自殺者全体の男女別構成比は男性が66.7%となっている。また、年齢階級別にみると、全ての階級において男性の占める割合が高く、30歳代では男性が7割を超えている。

⑷ 年齢階級別の状況
令和2年における年齢階級別の自殺者数をみると、自殺統計によれば、男性では40歳代が最も多く、女性では70歳代が最も多くなっている。また、40歳代及び50歳代の男性で全体の4分の1弱を占めている。

⑸ 職業別の状況
令和2年の職業別の自殺の状況をみると、自殺統計によれば、「無職者」が最も多い。「無職者」の内訳をみると、「年金・雇用保険等生活者」が最も多く、次いで「その他の無職者」、「主婦」、「失業者」の順となっている。さらに、年齢階級別、職業別の自殺者数をみると、自殺統計によれば、総数では「40歳代」及び「50歳代」が3,500人前後で、自殺者数の多い階層となっている。「自営業・家族従業者」では「40歳代」から「60歳代」、「被雇用者・勤め人」では「20歳代」から「50歳代」、「無職者」では「70歳代」以上が多いなど、職業によって自殺者数の多い年代は異なる。

⑹ 原因・動機別の状況
令和2年における年齢別、原因・動機別の自殺者数をみると、自殺統計によれば、「家庭問題」は男性、女性ともに「40歳代」と「50歳代」が多い。「健康問題」については、男性、女性ともに「70歳代」が多い。「経済・生活問題」については、男性の方が女性よりも著しく多く、中でも「40歳代」と「50歳代」で多い。「勤務問題」についても、男性の方が女性よりも著しく多く、「20歳代」から「50歳代」で多い。「男女問題」は「20歳代」から「40歳代」で多い。
職業別、原因・動機別の状況をみると、自殺統計によれば、「自営業・家族従業者」は「経済・生活問題」と「健康問題」が多く、「被雇用者・勤め人」は「健康問題」と「勤務問題」が多い。「学生・生徒等」は「学校問題」と「健康問題」が多く、「無職者」は「健康問題」が著しく多い。

⑺ 都道府県別の状況
令和2年における都道府県別の自殺の状況をみると、自殺統計によれば、自殺者数については前年に比べ、14道県で減少、31都府県で増加、2県で横ばいとなっている。また、自殺死亡率についてみると、前年に比べ、14道県で低下、33都府県で上昇となっている。

⑻ 手段別の状況
令和2年における手段別の自殺の状況について、自殺統計によれば、男性では「首つり」(68.6%)が最も多く、次いで「飛降り」(9.7%)、「練炭等」(7.8%)となっており、女性では「首つり」(64.4%)が最も多く、次いで「飛降り」(13.4%)、「入水」(5.1%)となっている。また、男女別・年齢階級別でみると、男性、女性ともに全ての階級で「首つり」が最も多い。男性については、「首つり」に次いで、19歳以下では「飛降り」、「飛込み」、20歳代から50歳代では「練炭等」、「飛降り」、60歳代では「飛降り」「練炭等」、70歳代では「飛降り」「入水」、80歳以上では「飛降り」「刃物」及び「入水」の順で多くなっている。女性については、「首つり」に次いで、19歳以下では「飛降り」、「飛込み」、20歳代から40歳代では「飛降り」「練炭等」、50歳代、60歳代では「飛降り」「入水」、70歳代では「入水」「飛降り」、80歳以上では「飛降り」「入水」の順で多くなっている。

⑼ 場所別の状況
令和2年における場所別の自殺の状況について、自殺統計によれば、「自宅」(59.3%)が最も多く、次いで「高層ビル」(7.0%)、「その他」(6.5%)となっている。男女別にみると、男性については、「自宅」(56.0%)、「その他」(7.3%)、「乗物」(7.0%)などとなっている。女性については、「自宅」(66.0%)、「高層ビル」(9.6%)、「海(湖)・河川」(5.6%)などとなっている。年齢階級別にみると、男女とも全ての階級において「自宅」が最も多いが、男性については、「自宅」に次いで、20歳代から40歳代までは「乗物」、19歳以下及び60歳代では「高層ビル」、50歳代では「その他」、70歳代では「海(湖)・河川」、80歳以上では「福祉施設」及び「その他」が多くなっている。女性についても、「自宅」に次いで、19歳以下から60歳代までは「高層ビル」、70歳代では「海(湖)・河川」、80歳以上では「福祉施設」が多くなっている。

⑽ 曜日別の状況
令和2年における発見曜日別一日平均自殺者数について、自殺統計によれば、男性、女性ともに「月曜日」(男性46.9人、女性21.4人)が最も多く、次いで、男性は「火曜日」(41.7人)、女性は「水曜日」(19.9人)が多くなっている。また、男性女性ともに「土曜日」(31.3人、17.2人)が最も少なくなっている。

〇 7 同居人・配偶関係別の自殺の状況
令和2年における同居人別の自殺の状況について、自殺統計によれば、男性、女性ともに、全ての年齢階級で、同居人「あり」が多くなっている。
次に、令和元年における配偶関係別の自殺死亡率の状況をみると、男女とも「有配偶者」は全ての年齢階級で各年代別の総数よりも低くなっている一方、50歳代の女性を除き、「未婚」、「死別」、「離別」は各年代別の総数よりも高くなっている。特に、男性の「離別」が高くなっている。

〇 8 自殺未遂の状況
令和2年における自殺者の自殺未遂歴の有無について、自殺統計によれば全ての年齢階級で、自殺未遂歴が「あり」の者の割合は、女性が高くなっている。女性の20歳代及び30歳代では、自殺未遂歴「あり」が40%以上となっている。また、男女別にみると、自殺未遂歴が「あり」の者の割合について男性では30歳代、女性では20歳代が最も高い。次に、消防庁の救急・救助の現況によれば(、自損行為による救急自動車の出動件数及び搬送人員は共に増加傾向にあったが、平成21年をピークに30年まで減少していた。令和元年における自損行為の状況については、救急自動車の出動件数は5万2,286件であり、前年に比べ292件(0.6%)増加した。搬送人員は3万5,545人であり、前年に比べ389人(1.1%)増加している。また、搬送人員総数に占める自損行為の搬送人員の比率は、近年減少傾向にあり、令和元年は0.6%となっている。

〇 9 東日本大震災に関連する自殺の状況
令和2年における東日本大震災に関連する自殺の状況について、自殺統計によれば、総数は5人で、前年に比べ11人減少した。県別にみると、岩手県は2人減少、宮城県は横ばい、福島県は9人減少した。年齢階級別にみると、60歳代が大きく減少した。職業別にみると、「その他の無職者」が大きく減少した。原因・動機別にみると、「健康問題」及び「家庭問題」が大きく減少した。

〇 10 国際的に見た自殺の状況と外国人の自殺の状況
⑴ 国際的にみた自殺の状況
先進国(G7)の自殺死亡率について世界保健機関によれば、日本16.1、米国14.7、フランス13.1、ドイツ11.6、カナダ11.3、英国7.3、イタリア6.5となっている。世界保健機関の統計によれば、諸外国の自殺死亡率は、総数では韓国が26.9で最も高く、次いで、リトアニアが23.5、スロベニアが19.1と続いており、我が国は、総数では7番目に高くなっている。男女別にみると、我が国は、男性が15番目、女性が2番目となっている。我が国の年間自殺者数は男性が約7割を占めて多く、諸外国をみても男性の方が自殺死亡率は高くなっているが、諸外国との比較でみると、我が国の女性の自殺死亡率の高さが目立っている。

⑵ 外国人の自殺の状況
人口動態統計によれば、令和元年における国内の外国人の自殺者数は224人で、国籍の内訳では、韓国・朝鮮が105人で46.9%を占めている。
(つづく)A.K

-国家試験

執筆者:

関連記事

長時間労働の削減に向けた取組 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、メンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明していますが今回は、令和3年版過労死等防止対策白書について前回の続きから説明します。 2 大綱の変更のポイント ア 課題と対策の方向性 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、人手不足の状態となった医療現場や一部の職場で過重労働が明らかになるなど、新型コロナウイルス感染症への対応や働き方の変化による過労死等の発生防止が必要であること。 ウィズコロナ・ポストコロナの時代の新しい働き方であるテレワーク、副業・兼業、フリーランスにつ …

自殺対策について キャリコン国家試験合格 222 | テクノファ

キャリアコンサルタントが必要とする自殺対策に関する知識、資料について説明します。 国は自殺はその多くが追い込まれた末の死であり、その多くが防ぐことができる社会的な問題であるという基本認識の下、自殺対策を保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連施策と連携を図りながら総合的に推進しています。 ■自殺対策の経緯 我が国においては、かつては自殺する人は弱い人間、自ら勝手に死んだ人と評価され、自殺は「個人の問題」と認識されがちで、自殺問題が行政上の課題とされることは少なく、国における取り組みは厚生労働省によるうつ病対策や職場のメンタルヘルス対策が結果的に自殺予防に寄与していると認められる取り組みを含めて …

キャリアコンサルタント国家試験合格 58 | テクノファ

キャリアコンサルタントが知っていなければならない労働関係法の勉強をしましょう。働き方改革関連法は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等を目的とした法律で、「労働基準法」、「労働安全衛生法」、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」、「じん肺法」、「雇用対策法」、「労働契約法」、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の8つの労働に関する法律の他に、関連する複数の法律 …

キャリアコンサルタント国家試験合格 72 | テクノファ

最近の労働法規の大きな動きの一つが働き方改革関連法です。キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で関係があります。働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたをかなえる制度・施策の一つであるテレワークについて、前回の続きからの説明を続けます。 コロナの蔓延で在宅勤務が一挙に広まりました。キャリアコンサルタントにはぜひ知っておいてもらいたい法律です。 留意点3 フレックスタイム制 ・清算期間やその期間における総労働時間等を労使協定において定め、清算期間を平均し、1週当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、労働者が始業及び終業の時刻を決定し、生活と仕事との調和を図りな …

生産性向上に向けた人材育成戦略 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、前回まではキャリアコンサルタントに関わりの深い「職業能力開発促進法」第5条第1項の規定に基づき、職業訓練や職業能力評価など、職業能力の開発に関する基本となるべき計画を策定する職業能力開発基本計画の第7次、第8次、第9次の職業能力開発基本計画について説明しました。今回は第10次職業能力開発基本計画(平成28年度から平成32年度(令和2年)までの5年間)について概要を説明します。 厚生労働省の資料 https://www.pref.chiba.lg.jp/sanjin/shingikai/ …