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国家公務員の公務災害の補償状況 | テクノファ

投稿日:2022年10月5日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、メンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明していますが今回は、令和3年版過労死等防止対策白書について前回の続きから説明します。

2 国家公務員の公務災害の補償状況
過去10年間における一般職の国家公務員の公務災害認定に係る協議件数(各府省等は、脳・心臓疾患、精神疾患等に係る公務上外の認定を行うに当たっては、事前に人事院に協議を行うこととされており、その協議件数)をみると、脳・心臓疾患は1件から11件の間で、精神疾患等は14件から 37件の間で推移している。このうち公務災害の認定件数は、脳・心臓疾患は0件から7件の間で、精神疾患等は4件から 16 件の間で推移している。

脳・心臓疾患の令和2(2020)年度の状況をみると、協議件数は1件(前年度11件)であり、認定件数は0件(同3件)となっている。協議件数及び認定件数を職種別にみると、協議件数では一般行政職が1件(同一般行政職が7件、専門行政職が1件、公安職が2件、その他が1件)となっており、認定件数は0件(同一般行政職が1件、その他が2件)となっている。協議件数及び認定件数を年齢別にみると、協議件数では 50 歳代が1件(同 30 歳代が1件、40 歳代が4件、50 歳代が6件)となっており、認定件数は0件(同40歳代が1件、50歳代が2件)となっている。

精神疾患等の令和2(2020)年度の状況をみると、協議件数は 30 件(前年度 33 件)であり、認定件数は8件(同13件)となっている。協議件数及び認定件数を職種別にみると、協議件数では一般行政職が25 件(同25件)、公安職が4件(同7件)、研究職が1件(同0件)、その他が0件(同1件)となっており、認定件数では一般行政職が6件(同8件)、専門行政職が1件(同0件)、公安職が1件(同5件)となっている。協議件数及び認定件数を年齢別にみると、協議件数では20歳代が14件(同9件)、30歳代が8件(同9件)、40 歳代が4件(同4件)、50歳代が1件(同10件)、60歳以上が3件(同1件)となっており、認定件数では20歳代が5件(同3件)、30 歳代が2件(同5件)、40 歳代が0件(同3件)、50 歳代が1件(同2件)となっている。認定件数について業務負荷の類型別にみると、仕事の内容が1件(同0件)、仕事の量(勤務時間の長さ)が1件(同6件)、対人関係等の職場環境が4件(同6件)、公務に関連する異常な出来事への遭遇が2件(同1件)となっている

3 地方公務員の公務災害の補償状況
過去10年間において、地方公務員の公務災害の受理件数については、脳・心臓疾患は 24件から61件の間で、精神疾患等は49 件から153件の間で増減している。認定件数については、脳・心臓疾患は12件から32件の間で、精神疾患等は 13件から54 件の間で増減している。

脳・心臓疾患の令和元(2019)年度の状況をみると、受理件数は 45 件(平成 30(2018)年度58件)であり、認定件数は25件(同14件)となっている。職種別では、受理件数について、義務教育学校職員以外の教育職員は10件(同6件)、次いで警察職員は9件(同9件)などとなっており、認定件数について、義務教育学校職員は9件(同7件)、次いで義務教育学校職員以外の教育職員は6件(同2件)などとなっている。年齢別では、受理件数について、50 歳代は20件(同29件)、次いで40歳代は15 件(同14 件)などとなっており、認定件数について、50 歳代は 11 件(同3件)、次いで 30 歳代は6件(同2件)などとなっている。1か月平均の超過勤務時間数別認定件数をみると、100 時間以上は14件(同12件)で、うち死亡は6件(同4件)、次いで80 時間以上~100 時間未満は5件(同1件)で、うち死亡は1件(同0件)などとなっている。

また、精神疾患等の令和元年度の状況をみると、受理件数は153件(平成 30年度131件)であり、認定件数は54件(同13件)となっている。職種別では、受理件数について、その他の職員(一般職員等)は76件(同72件)、次いで義務教育学校職員は23件(同27件)などとなっており、認定件数について、その他の職員(一般職員等)は24件(同10件)、次いで義務教育学校職員以外の教育職員は14件(同1件)となっている。年齢別では、受理件数について、40歳代は44件(同43件)、次いで30 歳代は43件(同27件)などとなっており、認定件数について、40歳代は17件(同5件)、次いで30歳代は15件(同2件)などとなっている。業務負荷の類型別の認定件数をみると、対人関係等の職場環境は17件(同3件)、次いで仕事の量(勤務時間の長さ)は15件(同4件)などとなっている。1か月平均の超過勤務時間数別認定件数をみると、20時間未満は24件(同5件)、うち死亡は3件(同0件)、次いで20時間以上~40 時間未満は7件(同0件)で、うち死亡は2件(同0件)などとなっている。

第3章
過労死等の防止のための対策に関する大綱の変更
1大綱の見直しの経緯
過労死等の防止のための対策については、過労死等防止対策推進法(平成26(2014)年法律第 100号、平成26年11月1日施行。及び 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」に基づき、調査研究等、啓発、相談体制の整備等、民間団体の活動に対する支援の取組が国等により進められており、その状況は法第6条に基づく「過労死等防止対策白書」で、毎年報告されている。

大綱は、過労死等防止対策推進協議会において、過労死等防止対策をめぐる課題や以降の過労死等防止対策の進め方について議論を行い、平成 27(2015)年7月24日に初めて閣議決定された。また、大綱は、社会経済情勢の変化、過労死等をめぐる諸情勢の変化、大綱に基づく対策の推進状況等を踏まえ、おおむね3年を目途に必要があると認めるときに見直しを行うとされているため、協議会での議論を経て、平成 30(2018)年7月24日に1回目の見直しを行った大綱が閣議決定され、国会に報告された。

1回目の見直し後においては、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行等により各種の取組が進められたところであるが、そうした取組が進められている中でも、働き過ぎによって貴い生命が失われたり、特に、若年層の心身の健康が損なわれる事案が増加するといった、痛ましい事態がなお後を絶たない状況が認められた。

そのような状況を踏まえ、令和2(2020)年11月 10日に開催された第17回協議会において、これらの現状の認識と今後の過労死等の防止のための対策の進め方について議論が行われ、新型コロナウイルス感染症への対応やテレワーク等の働き方の変化も踏まえつつ、大綱を見直し必要がある旨の意見が太宗を占めた。
その後、令和3(2021)年1月26日に開催された第18回協議会から3回にわたって、大綱の見直しに向けた本格的な議論が行われた。第18回から第20回までの協議会における議論の概要は以下のとおりである。

① 第18回(令和3年1月26日開催)
第17回の協議会での議論を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の発生に伴う労働時間等の状況、テレワークにおける労働時間等の状況等を報告し、議論された結果、大綱の基本的な枠組みは維持した上で、新型コロナウイルス感染症への対応や働き方の変化等の状況を踏まえ、過労死等防止対策の課題や施策を盛り込むことについて、認識が共有された。

② 第19回(令和3年3月24日開催)
第18回協議会の議論を踏まえ、事務局が提示した大綱の見直し(素案)について、議論された。
主に勤務間インターバル制度や公務員に関する数値目標、行政機関と民間企業との間の取引を始めとした商慣行の改善に向けた取組等について意見があった。

③ 第20回(令和3年5月25日開催)
第19回協議会までの議論を踏まえ、事務局が提示した大綱の見直し(案)について、議論された。
大綱の見直し(案)については、修正等について会長一任とした上で、おおむね了承された。
令和3年6月10日から1か月間にわたり、大綱の見直し案に関するパブリックコメントを実施した結果、勤務間インターバル制度の導入促進、芸術・芸能分野の実態調査、教職員や地方公務員の勤務環境の改善等に関する意見が200件寄せられた。
こうした手続きを経て、令和3年7月30日、大綱の全部を変更した新たな「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定された。

人の生命はかけがえのないものであり、どのような社会であっても、過労死等は、本来あってはならないとの認識の下、過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に向けて法及び新たな大綱に基づき、過労死等の防止のための対策を推進することとしている。
(つづく)A.K

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