新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。
第9章 障害者支援の総合的な推進
第1節 障害福祉施策の推進について
1 障害者総合支援法等に基づく支援
(1)障害者総合支援法の施行について
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律(概要)、障害保健福祉施策については、「障害者自立支援法」を「障害者総合支援法」とする内容を含む「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」が2012(平成24)年6月に成立をし、2013(平成25)年4月より施行(一部、2014(平成26)年4月施行)されました。また、2016(平成28)年5月には、同法の附則で規定された施行後3年(2016年4 月)を目途とした見直しを行う、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成 28年法律第 65号。以下「障害者総合支援法等改正法」といいます。)が成立し、2018(平成 30)年 4月より施行されました。
(2)難病患者等への対象拡大
2013(平成 25)年4月から障害者の定義に難病患者等を追加して障害福祉サービス等の対象として、新たに対象となる難病患者等は、障害者手帳の所持の有無にかかわらず、必要に応じて障害支援区分の認定などの手続を経た上で、市区町村において必要と認められた障害福祉サービス等(障害児にあっては、「児童福祉法」に基づく障害児支援)を利用できることとなりました。
難病等の対象疾病については、当初、難病患者等居宅生活支援事業と同じ範囲である 130疾病を対象としていましたが、難病医療費助成の対象となる指定難病の検討状況等を踏まえて、順次見直しを行い、2019(令和元)年 7月1日より361疾病を対象としています。
(3)障害福祉サービスの充実及び障害福祉サービス等報酬改定の実施
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改正内容、 「障害者総合支援法等改正法」により、重度訪問介護を利用する障害支援区分6の者については、医療機関への入院中においても、コミュニケーション支援等を受けることが可能となりました。さらに、単身又は同居する家族の支援の見込めない障害者の地域での暮らしを支援する自立生活援助や、一般就労に伴う環境変化により生じる生活面・就業面の課題に対応する就労定着支援といったサービスを新設しました。
2021(令和3)年度の障害福祉サービス等報酬改定(以下「報酬改定」といいます。)では、障害者の重度化・高齢化を踏まえた地域移行・地域生活の支援、相談支援の質の向上、効果的な就労支援、医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進、感染症等への対応力の強化などの課題に対応するために必要な報酬の見直しを行いました)。
(4)障害児支援の強化等
「障害者総合支援法等改正法」において、重度の障害等により外出が著しく困難な障害児に対する支援である居宅訪問型児童発達支援の新設や、医療的ケア児が適切な支援を受けられるように、自治体においては保健・医療・福祉等の連携促進に努めることなどを規定し、障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応をすることとしました。
また、2019(平成 31)年4月から、地域生活支援促進事業として、人工呼吸器を装着している児童その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある児童や重症心身障害児の地域における受入れが促進されるように、地方自治体の体制の整備を行って、医療的ケア児等の地域生活支援の向上を図ることを目的とする「医療的ケア児等総合支援事業」を実施することとしました。
さらに、報酬改定では、児童発達支援等について、支援の質を向上させる観点から、専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理指導担当職員等)を加配して行う支援を評価する加算や著しく重度及び行動上の課題のあるケアニーズの高い障害児や虐待等の要保護・要支援児童を受入れて支援することを評価する加算を創設しました。
(5)第5期及び第6期障害福祉計画等に係る基本指針
第6期障害福祉計画及び第2期障害児福祉計画に係る基本指針の見直しについては、「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」では、障害のある人に必要なサービスが提供されるように、将来に向けた計画的なサービス提供体制の整備を進める観点から、国の定めた基本的な指針(以下「基本指針」といいます。)に即して、市町村及び都道府県が、数値目標と必要なサービス量の見込み等を記載した障害福祉計画及び障害児福祉計画を策定することとしています。2020(令和2)年5月には、社会保障審議会障害者部会での議論を経て、2021(令和3)年度から 2023(令和5)年度までの3年間の計画(第6期障害福祉計画等)の策定のため、基本指針の改正を行いました。都道府県、市町村においては、この基本指針に即して3年間の計画を作成するとともに、計画に盛り込んだ事項について、定量的に調査、分析、評価を行いながら、障害福祉施策を総合的、計画的に行っていくことが求められています。
2 障害者の虐待防止
障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の概要
障害者虐待の防止などに関する施策を促進するため、2012(平成24)年10月から「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」が施行され、虐待を受けた障害者に対する保護、養護者に対する支援のための措置が図られました。
厚生労働省においては、障害者虐待の防止に向けた取組みとして、地域生活支援促進事業において、地域における関係機関等の協力体制の整備・充実を図るとともに、過去に虐待があった障害のある人の家庭訪問、障害者虐待防止に関する研修、虐待事例の分析を行う都道府県や市町村を支援しています。さらに、障害がある人の虐待防止・権利擁護や強度行動障害のある人に対する支援のあり方に関して、各都道府県で指導的役割を担う者を養成するための研修を実施しています。
(つづく)I.K