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企業への働きかけの実施及び年次有給休暇の取得促進 | テクノファ

投稿日:2022年11月26日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、メンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明していますが、今回は前回に続き令和3年版過労死等防止対策白書について説明します。
今回は、政府が過労死等防止対策推進法に基づき国会に年次報告した白書における、過労死等の防止のために講じた施策の実施状況報告について、白書の項目3.啓発、を前回の続きから説明します。

3 啓発
3.6 働き方の見直しに向けた企業への働きかけの実施及び年次有給休暇の取得促進
(1)業界団体や企業への働きかけ
長時間労働の削減が喫緊の課題とされる中、企業における自主的な働き方の見直しが重要となっている。長時間労働の削減のため労働基準法に定められた最低労働条件の遵守にとどまらず、各企業の実情に応じた働き方そのものの不断の見直しが必要であり、そのためには企業トップによる強いリーダーシップが不可欠である。そこで、業界及び地域のリーディングカンパニーを訪問し、各企業のトップと意見交換を行うことで、直接「働き方」の見直しに向けた働きかけを、令和2年度は810 社に対して実施した。

(2)ポータルサイトの運営による情報発信
企業の働き方・休み方改革の自主的な取組を促すため、平成27年1月30日に開設した「働き方・休み方改善ポータルサイト」において、働き方・休み方改革に先進的な取組を行っている企業の取組事例、企業が働き方・休み方の現状と課題を自己診断できる「働き方・休み方改善指標」を活用した自己診断機能、勤務間インターバル制度や時間単位の年次有給休暇等の働き方・休み方に関する様々な制度等について紹介している。

(3)働き方・休み方改革シンポジウムの開催
働き方・休み方改革に向けた機運の醸成を図ることを目的として、令和2年10月にオンライン配信によるシンポジウムを開催し、働き方・休み方改革に関する学識者による講演や、企業等による働き方・休み方改革の取組事例の発表、パネルディスカッションが行われた。また、令和2年12月から令和3年3月にかけて「You Tube 厚生労働省チャンネル」でシンポジウムの動画を配信した。

(4)時季を捉えた年次有給休暇の取得促進
翌年度の年次有給休暇の取得計画の策定時期である10月の「年次有給休暇取得促進期間」に加え、年次有給休暇を取得しやすい時季(夏季、年末年始及びゴールデンウィーク)に集中的な広報を行った。
・ 都道府県、労使団体(222団体)に対する周知依頼
・ 時季ごとの専用 Web サイトの開設
・ インターネット広告・ポスターの駅貼り広報(946か所)
・ 厚労省人事労務マガジン、月刊誌「厚生労働」による広報など

(5)地域の特性を活かした休暇取得促進のための環境整備
地方都市において、関係労使、地方自治体等の協働による協議会を設置し、地域の特性を活かした計画的な年次有給休暇の取得について、企業・住民等に働きかけを行っている。令和2年度は、青森県弘前市と新潟県新潟市において、ポスター、リーフレットや新聞広告の掲載、ラジオCMの配信などによる周知、オンライン配信によるシンポジウムの開催、労務管理の専門家による地域の事業場訪問など、休暇取得に向けた働きかけを実施した。

3.7 メンタルヘルス対策に関する周知・啓発の実施
仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスを感じている事柄がある労働者の割合は54.2%(令和2年労働安全衛生調査(実態調査))となっており、また、精神障害による労災支給決定(認定)件数は、令和2年度は608件(令和元年度は509件)、うち自殺件数(未遂を含む)は81件となっている。
一方、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は61.4%(平成30年調査は 59.2%)と6割程度にとどまっている(同調査)。
「第13次労働災害防止計画」及び大綱においては、令和4年度までに「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする」、「仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上とする」、「ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上とする」を目標としており、職場におけるメンタルヘルス対策の取組の充実、強化を図っている。

ストレスチェックについては、その実施が努力義務となっている労働者数50人未満の小規模事業場においても取組が進むよう、一定の要件を満たした場合にその費用を助成している。また、IT を利用してオンラインでストレスチェックを実施する場合に活用していただけるよう、「ストレスチェック実施プログラム」を作成し、厚生労働省のWebサイトで無料配布しているほか、企業向けの相談対応としては、(独)労働者健康安全機構による「ストレスチェック制度サポートダイヤル」を開設している。

さらに、職場のメンタルヘルスに関する様々な情報を提供し、職場のメンタルヘルス対策を促進するため、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」を運営しており、事業者、産業医等の産業保健スタッフ、労働者やその家族等に対して、ストレスチェック制度に関する資料のほか、メンタルヘルス対策に関する基礎知識、事業場の取組事例等、職場のメンタルヘルスに関する様々な情報提供を行っている。また、「こころの耳」においては、労働者を対象としたメール・電話・SNS相談窓口を設置している。

また、スポーツ等の身体活動には、生活習慣病の予防等のほか、メンタルヘルスの改善やストレス解消等の効果がある。身体活動を通じた健康増進については、個人や企業の「健康意識」及び「動機付け」の醸成・向上を図り、社会全体としての国民運動に発展させるため、「適度な運動」等をテーマに、健康づくりに取り組む企業・団体・地方公共団体を支援する「スマート・ライフ・プロジェクト」を推進しているほか、身体活動の重要性と取り組み方を、国民に分かりやすく伝えるためのパンフレットとして「アクティブガイド」を作成し、地方公共団体や団体、個人で健康増進活動に活用できるよう電子媒体で提供している。

3.8 職場のハラスメントの防止のための周知・啓発の実施職場のハラスメントの問題については、近年、全国の総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が増加するなど、社会問題として顕在化している。
(1)職場のパワーハラスメントの防止対策について平成24年3月に、職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議において、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」が取りまとめられ、以降、提言を踏まえて、厚生労働省では、平成24年度に「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」を実施したほか、周知広報や労使の具体的な取組の促進等を図るための企業向けセミナーの開催やマニュアルの作成等を行う「働きやすい職場環境形成事業」を実施してきた。

平成28年度には、大綱において、「職場のパワーハラスメントに関する実態調査を実施するとともに、更なる取組の促進策について検討を行う」とされていたこと等を踏まえ、改めて実態調査を実施した。また、都道府県労働局における職場の「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が増加しているなど、職場のパワーハラスメントが大きな問題となっている中で、「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」(平成29年3月13日)及び「働き方改革実行計画」(平成 29 年3月28 日働き方改革実現会議決定)において、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行うとされたことを踏まえ、平成29年5月より「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」を開催し、平成30年3月30日に報告書が取りまとめられた。

さらに、検討会での議論を踏まえ、同年8月より労働政策審議会雇用環境・均等分科会において議論が行われ、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案を平成31年3月8日に第198回国会に提出した。同法案は、令和元年5月29日に成立し、同年6月5日に公布された。法律においては、職場のパワーハラスメントを
① 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③ 労働者の就業環境を害すること
の全てを満たすものとして定義し、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントと同様に、事業主に防止のための雇用管理上の措置を義務付けている。

また、事業主に相談したこと等を理由とした不利益取扱いを禁止する等、セクシュアルハラスメント等の防止対策も強化している。さらに、改正法に基づく指針等について、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において議論が行われ、令和2年1月15日にパワーハラスメントの防止のための指針等が公布された。改正法及び指針は、同年6月1日から施行された(パワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置義務については、中小事業主は令和4年3月31日まで努力義務)。
(つづく)A.K

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