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職場のハラスメントの防止のための周知・啓発の実施 | テクノファ

投稿日:2022年11月27日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、メンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明していますが、今回は前回に続き令和3年版過労死等防止対策白書について説明します。
今回は、政府が過労死等防止対策推進法に基づき国会に年次報告した白書における、過労死等の防止のために講じた施策の実施状況報告について、白書の項目3.啓発、の内容を前回の続きの部分から説明します。

3 啓発
3.8 職場のハラスメントの防止のための周知・啓発の実施
(2)職場におけるハラスメント防止対策についての周知啓発と労使に対する取組支援
前記の経緯を踏まえ、厚生労働省では、職場のパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの予防・解決に向けた社会的気運を醸成するための一体的な周知・啓発を行うとともに、職場のハラスメントの予防・解決への労使の取組に対する支援を行ってきている。令和2年度の主な取組は以下のとおりである。
ア 「職場のハラスメント撲滅月間」
令和元年度より12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメント防止に向けた社会的な気運を盛り上げる取組の一環として、職場のハラスメント対策シンポジウムを開催した。パワーハラスメント防止に向け、労働施策総合推進法を踏まえた企業の取組のポイントに関する学識者による講演や、企業における取組事例の紹介等を行った。さらに、シンポジウムの内容を新聞に採録記事として掲載した。また、令和2年11月から令和3年1月にかけて、「職場のハラスメント撲滅月間」に関するWeb広告を実施するとともに、全国主要路線の駅貼り広告や車両中吊り広告等を活用し、ハラスメント撲滅に向けた集中的な広報活動を実施した。
さらに、「職場のハラスメント撲滅月間」に合わせてメッセージ動画を作成し、「あかるい職場応援団」等に掲載し、周知・啓発に活用した。

イ ポータルサイト「あかるい職場応援団」
平成24年度からポータルサイト「あかるい職場応援団」を構築し、順次、労働者、企業や人事労務担当者等にとって分かりやすく役立つものへと改修しており、令和元年度にはセクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントも含めたハラスメント対策の総合情報サイトとしてリニューアルした。
サイトの内容は、職場におけるハラスメント関係法令及び指針についての解説や関連する裁判例・企業の取組の紹介、職場のハラスメントに関する社内研修用資料等となっており、令和2年度は、「動画で学ぶハラスメント」に動画2本、VR動画1本を追加した。なお、令和2年度中のアクセスは、約173万件であった。

ウ ポスター・リーフレット等
潜在的なパワーハラスメント被害者が確実に相談機関や「あかるい職場応援団」サイトにおける情報にアクセスできるよう、訴求効果の高いポスター・リーフレットを作成し、全国の行政機関等に配布して周知を行った。
また、改正法や指針の内容に関するリーフレットやパンフレットも作成し、改正法の施行に向け、周知・啓発を行った。

エ ハラスメント対策のための専門家等の派遣
ハラスメント対策のための具体的な手法や個別事案への対応のコンサルティング、企業内研修を実施するために、専門家や講師を派遣する事業を平成30年度から実施しており、令和2年度は206社に対して専門家を派遣した。

オ ハラスメント悩み相談室
令和元年度より、職場におけるハラスメントで悩みを抱えている労働者を対象に、夜間や休日にも対応する電話及びメールによる無料相談窓口を設けている。

カ 職場のハラスメントに関する実態調査
平成28年度に実施した職場のパワーハラスメントに関する実態調査から4年が経過し、ハラスメントの対策に取り組む企業割合や労働者の状況も変化していると考えられることから、企業におけるハラスメントの発生状況や企業の対策の進捗、労働者の意識等を把握するため、「職場のハラスメントに関する実態調査」を実施した。

3.9 ウィズコロナ・ポストコロナの時代におけるテレワーク等の新しい働き方への対応
(1)良質なテレワークの普及促進等
企業等に雇用される労働者が行うテレワークについては、ウィズコロナ・ポストコロナの「新たな日常」、「新しい生活様式」に対応した働き方として、適切な労務管理下における良質なテレワークの導入・実施を進めていくことができるよう、令和3年3月に改定した「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」について、周知を図っている。そのほか、テレワーク導入を検討する民間企業等に対する専門家による無料の個別コンサルティング、テレワークによる働き方の実態やテレワーク人口の定量的な把握等を行った。また、テレワーク相談センターでの相談対応やコンサルティングの実施、国家戦略特別区域制度を活用し、東京都と連携して設置した「東京テレワーク推進センター」による導入支援、事業主を対象としたセミナーの開催、テレワーク普及拡大の担い手育成のためのテキストブックの作成及び講習会開催、テレワークに先駆的に取り組む企業等に対する表彰の実施、テレワーク導入経費に係る支援等により、適正な労務管理下における良質なテレワークの普及を図った。

さらに、職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策を徹底するため、テレワーク・時差出勤の推進等を含む「取組の5つのポイント」について、都道府県労働局・労働基準監督署が事業場と接する機会を活用して実施状況を確認の上、職場での実践例なども活用し、取組を働きかけるとともに、累次にわたって労働団体や経済団体に対して要請した。
このほか、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」に設置した相談窓口において、テレワーク等の新しい働き方に伴う不安なども含む、働く人のメンタルヘルス不調に関する相談を受け付けている。

(2)副業・兼業の環境整備

副業・兼業については、副業・兼業を希望する人」が近年増加傾向にある一方、副業先での労働時間を把握し、自社での労働時間と通算管理することが困難であるとして、副業・兼業を認めない企業が一定程度あった。このため、副業・兼業の場合の労働時間管理及び健康管理について、令和2年9月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、労働者の申告等による副業先での労働時間の把握や簡便な労働時間管理の方法を示すなど、ルールを明確化した。

また、複数の会社等に雇用されている労働者の労災保険給付について、非災害発生事業場の賃金額も合算して算定するとともに、複数就業者の就業先の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定することを内容に含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」が令和2年3月に成立し、上述の複数就業者のセーフティネットの整備に係る規定が同年9月1日に施行された。

企業も労働者も安心して副業・兼業を行うことができる環境を整備するため、ガイドラインのわかりやすいパンフレットや、労働時間の申告の際に活用できる様式例などを作成し、丁寧に周知を行っている。さらに、副業・兼業を行う労働者の健康保持増進のための取組みを推進するため、一般健康診断等の健康確保に取り組む企業に対する助成や相談窓口における相談対応を行うほか、労働者個人による健康管理を行うための健康管理アプリの普及を図っている。

(3)フリーランスが安心して働ける環境の整備
令和2年7月に閣議決定された成長戦略実行計画において、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するため、政府として一体的に、保護ルールの整備を行うこととされたこと等を踏まえ、事業者とフリーランスとの取引について、関係法令の適用関係を明らかにするとともに、これらの法令に基づく問題行為を明確化するため、実効性があり、一覧性のある「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を、令和3年3月に内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で策定した。併せて、当該ガイドラインの内容をわかりやすくまとめたパンフレットも作成し、周知を行っている。

また、フリーランスと発注者等との契約等のトラブルについては、同関係省庁と連携して、フリーランスの人が弁護士にワンストップで相談できる窓口(フリーランス・トラブル110番)を設置した。
(つづく)A.K

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