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公立学校の教師の勤務時間について | テクノファ

投稿日:2022年11月29日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、メンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明していますが、今回は前回に続き令和3年版過労死等防止対策白書について説明します。今回は、政府が過労死等防止対策推進法に基づき国会に年次報告した白書における、過労死等の防止のために講じた施策の実施状況報告について、白書の項目3.啓発、の内容を前回の続きの部分から説明します。

3 啓発
3.10 商慣行・勤務環境等を踏まえた取組の推進
(2)教職員
ア 学校における働き方改革
公立学校の教師の勤務時間については、文部科学省の研究委託事業「公立小学校・中学校等教員勤務実態調査研究」の集計(確定値)によると、1週間当たりの学内総勤務時間は、前回調査(平成18年度)と比較して、いずれの職種でも増加している。また、国際的な比較としては、平成26年6月に公表された OECD国際教員指導環境調査では、日本の教師の1週間当たりの勤務時間は参加国中で最長となっている。

このような教師の勤務実態を踏まえ、教師の業務負担の軽減を図ることは喫緊の課題である。平成29年6月より、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会において、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について審議が行われ、平成31年1月に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」がとりまとめられた。

志ある教師が、適切な勤務時間管理がなされていなかった中で勤務の長時間化が止められず、ついに過労死等に至ってしまう事態は、本人はもとより、その遺族又は家族にとって計り知れない苦痛であるとともに、児童生徒や学校にとっても大きな損失であり、さらに、不幸にも過労死等が生じた場合に勤務実態が把握されていなかったことをもって公務災害の認定に非常に多くの時間がかかり、遺族又は家族を一層苦しめる事例も報告されていることが指摘され、勤務時間管理の徹底や業務の縮減を図り、一刻も早く改善しなければならない。志ある教師の過労死等の事態は決してあってはならないものであり、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が自らの授業を磨くとともに、その人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになるという、学校における働き方改革の目的を実現するため、文部科学省としては、答申で提言された①勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方改革の促進、②学校及び教師が担う業務の明確化・適正化、③学校の組織運営体制の在り方、④教師の勤務の在り方を踏まえた勤務時間制度の改革、⑤学校における働き方改革の実現に向けた環境整備等について、教職員定数の改善、学習指導員や部活動指導員、スクール・サポート・スタッフの充実等により総合的に取組を推進している。

こうした学校における働き方改革の取組をさらに進めるための一つのきっかけとして、文部科学省が平成31年1月に策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を法的根拠のある「指針」に格上げするとともに、休日の「まとめ取り」のため、一年単位の変形労働時間制を各地方公共団体の判断により条例で選択的に活用できるよう、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律」が令和元年12月4日に成立、同11日に公布され、「指針」は令和2年4月1日、一年単位の変形労働時間制は令和3年4月1日に施行された。

文部科学省としては、この「指針」において、いわゆる「超勤4項目」以外の業務を行う時間を含め、教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握することができる時間を「在校等時間」とし、勤務時間管理の対象とすることとした上で、「働き方改革関連法」において改正された労働基準法等を踏まえて、所定の勤務時間を超える在校等時間の上限時間を月45時間、年360時間以内等とした。「指針」に基づき、校長や教育委員会には、上限時間を超えないようにするため、教師等の業務量の適切な管理を行うことが求められる。

また、教師等が担う業務の明確化・適正化に向けて、令和2年7月に各教育委員会に対して「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)」等を発出した。さらに、各教育委員会や学校における働き方改革の進捗状況を明確にし、市区町村別の公表等や取組事例の展開を通じて、働き方改革の取組を促進するため、平成30年度までの「教育委員会における学校の業務改善取組状況調査」を抜本的に見直し、令和元年度から「教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」を実施し、令和2年12月25日に令和2年度の調査結果を公表した。調査結果としては、各教育委員会における、IC カードやタイムカード等の記録による勤務実態の客観的な方法での把握は、前年度に比べ、都道府県は91.5%(前年度66.0%)、政令市は85.0%(前年度75.0%)、市区町村は71.3%(前年度47.4%)まで伸び、適正な勤務実態の把握が全国的に進んでいる。一方で、「指針」においては、教育職員が在校している時間は、ICTの活用やタイムカード等により客観的に計測するとともに、校外において職務に従事している時間についても、できる限り客観的な方法により計測することとされており、働き方改革のスタート地点でもある客観的な勤務実態の把握が一刻も早く全国全ての都道府県・市区町村において行われるよう、進捗状況をフォローアップしていく。

教育委員会や学校現場において取り組まれている働き方改革に向けた取組事例を広く展開し、教育委員会や学校における実践につなげるため、全国の学校から集めた取組について分野ごとに削減目安時間とともに記し、まとめた「全国の学校における働き方改革事例集」を令和3年3月に公表した。

今後もこれらの情報を継続的に発信し、進捗状況等をフォローアップするとともに、取組事例の横展開を図り、教育委員会や各学校における積極的な取組が着実に進むよう「働き方改革」の自走サイクルの構築を図ることとしている。加えて、公立小学校における 35 人学級の実現をはじめとした教職員定数の改善、外部人材の活用や部活動改革、教員免許更新制の検証・見直し、小学校高学年からの教科担任制、学校向けの調査の精選・削減などの様々な取組を組み合わせて取り組んでいる。

イ 教職員のメンタルヘルス対策等
令和元年度中に病気休職処分となった教職員は8,157人で、そのうち精神疾患による病気休職者数は5,478人(全教員等の0.59%、人数は過去最多)であり、教職員のメンタルヘルス対策等の充実・推進を図ることが喫緊の課題である(令和元年度公立学校教職員の人事行政状況調査)。こうした状況を改善するためにも、前述の学校における働き方改革をさらに進めていくとともに、文部科学省としては①労働安全衛生体制等の整備促進、②メンタルヘルス対策等にも取り組んでいる。

労働安全衛生法等に基づく学校における労働安全衛生管理体制等の整備状況については、おおむね隔年で調査を実施しており、当該調査結果を参考に、労働安全衛生体制の整備を促進している。また、平成31年3月には、衛生管理者や産業医等の選任を要するものの一覧など、労働安全衛生管理の基礎的な知識や体制整備の方策等を記載したリーフレットを各教育委員会等に対して送付した。

メンタルヘルス対策についても、平成25年3月に文部科学省が取りまとめた「教職員のメンタルヘルス対策について(最終まとめ)」に基づき、本人による「セルフケア」や管理職等の「ラインによるケア」といった予防的取組や、休暇取得から職場復帰までの段階に応じた復職支援等を推進している。また、新型コロナウイルス感染症への対応により勤務環境や業務内容が通常時とは異なる中で職務に従事することが、精神的な緊張や心身の過度な負担につながることが懸念されるため、メンタルヘルス対応等に関する留意事項をまとめた通知を、令和2年6月に各教育委員会に対して発出した。

さらに、ストレスチェックの実施については、その結果に基づく面接指導の実施や結果の集団ごとの集計・分析及びその結果を踏まえた必要な措置を含め、全ての学校において適切に実施されるよう取り組むことを各教育委員会に要請するなど、教職員の労働安全衛生管理体制及びメンタルヘルス対策の更なる充実に取り組んでいる。
(つづく)A.K

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