基礎編・理論編

キャリアコンサルタント熟練レベルを目指して I テクノファ

投稿日:2020年9月11日 更新日:

熟練レベルと非熟練レベルとの差異

厚生労働省がキャリア開発・形成を支援するキャリアコンサルティングという専門的な活動を担う人材を、登録制の名称独占資格のキャリアコンサルタントとして、導入・標準・熟練・指導の4つのレベルに分けて能力要件を定め、キャリアコンサルティングの制度を策定、運用していることはすでに説明してきたとおりですが、ここでは、熟練レベルと非熟練レベルとの差異について、中央職業能力開発協会のキャリアコンサルティング研究会報告書「熟練キャリアコンサルタントに係る調査研究」を引用して説明します。

原則として厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了し、国家資格キャリアコンサルタント試験に合格した者を「標準レベルのキャリアコンサルタント」と呼んでいますが、すべての「標準レベルのキャリアコンサルタント」が、実際のキャリアコンサルティングの現場において、十分な実践ができる水準にあるとはいえません。真にキャリアコンサルタントを目指す者は、標準レベルのキャリアコンサルタントの資格取得時を出発地点として、実践経験等を通じて自らの資質・能力の一層の向上を図り、熟練したキャリアコンサルタントを目指す必要があります。

「熟練キャリアコンサルタント」という考え方は、標準レベルのキャリアコンサルタントである者が、本来あるべきキャリアコンサルタントを目指して、次に進むべき方向を示すものです。
キャリアコンサルティング技能検定2級試験は熟練レベルであるかどうかを判定するものですが、求められる能力要件は標準レベルのようには明確ではありません。指導レベルのキャリアコンサルタントについて調査検討を行った、中央職業能力開発協会の「キャリアコンサルタントの資質向上に関する研究会報告書」には、指導レベルのキャリアコンサルタントの前提条件として、キャリアコンサルタントの活動の中心となるキャリアコンサルティング実施能力について、「厚みと広がり」が求められる、指導レベルのキャリアコンサルタントにはそのうえさらに、スーパービジョンに関する知識とスーパービジョンの実施スキルが求められるとしていますが、熟練検討委員会は、この「厚みと広がり」を、「指導レベルのキャリアコンサルタント」の前提としての意味合いだけでなく、すべての標準レベルのキャリアコンサルタントが目指すべき熟練レベルの水準としてとらえています。

■非熟練レベルの特長とはどのようなものでしょうか
熟練レベルに求められる「厚みと広がり」とはどのようなものかを理解するために、参考として中央職業能力開発協会のキャリアコンサルティング研究会の熟練検討委員会がまとめた熟練レベルと非熟練レベルの差異について説明します。熟練検討委員会では、熟練レベルと非熟練レベルの差異を 「熟練キャリアコンサルタントと非熟練の境界」として、標準レベルのキャリアコンサルタントが熟練キャリアコンサルタントとなるために乗り越えるべき「壁」 としてとらえることができるとしています。

■非熟練レベルのキャリアコンサルタントの特長 (乗り越えるべき「壁」)
〇傾聴スキル不足
*相手の言いたいことをきちんと受け止めておらず、相手が聞きたいと思っていることにきちんと応えていない。
*相手の気持ちを感じていたとしても、それを的確な言葉で返すことができていない。
*自分が一方的にしゃべり、来談者の話を聴こうとしない。
⇒自分の経験のみに頼り、きちんとした傾聴訓練を受けていないということです。

〇経験不足
*専門知識を知ったことを専門教育を受けたと勘違いして、自分を専門家と思い込み、自分の意見を押し通す。
*来談者から「役に立ちました」と言われたことで満足し、そこで留まってしまう。
⇒その後、来談者が行動レベルで変化しているかどうかを確認する意識がないということです。

〇専門知識不足
キャリアコンサルタント自身が自分のキャリア開発・形成がわかっていないことに気づいていない。
*自分の心身の健康状態がよくないにもかかわらず、相談を引き受けてしまい、適切な対応ができていない。
*すぐにアセスメント・ツールを使って、勝手にパターンにあてはめてしまう。
*自信過剰で、何でもできると思ってキャリアコンサルティングを行う。

〇指導者による訓練不足
*指導者からのフィードバックを受けずに、独りよがりのキャリアコンサルティングのパターンをつくっている。
⇒視野が狭くなり、自己満足に陥っていると思われます。

*時間管理が不適切で、来談者との信頼関係が築けないまま、キャリアコンサルタントのペースで相談が終わってしまう。
*ガイダンスや教えることが得意なために、自分の考えで説教的な面談を進めてしまう。
*自分の体験のみに頼ってしまうか、あるいは逆に知識偏重になる。
*来談者あるいはキャリアコンサルティングに対し、偏った固定観念を持っている。
(つづく)A.K

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