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国家公務員に対する周知・啓発|テクノファ

投稿日:2022年12月3日 更新日:

キャリアコンサルタントが キャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、メンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明していますが、今回は前回に続き令和3年版過労死等防止対策白書について説明します。今回は、政府が過労死等防止対策推進法に基づき国会に年次報告した白書における、過労死等の防止のために講じた施策の実施状況報告について、白書の項目3.啓発、の内容を前回の続きから説明します。

3 啓発
3.12 公務員に対する周知・啓発等の実施
(1)国家公務員に対する周知・啓発等の実施
イ 国家公務員の心の健康づくり対策について
国家公務員においても、心の健康の問題による長期病休者の数が長期病休者全体の6割を超える状況が続いており、職員の心の健康づくり対策が重要な課題となっている。

人事院では、こうした状況を踏まえ、「職員の心の健康づくりのための指針」(平成16年勤務条件局長通知、平成29年8月改正)に基づき、心の健康づくり研修の充実・強化、ガイドブックによる職員の意識啓発、セルフケアに関する自習用教材の配付など職員の心の健康づくり対策に重点的に取り組んでいる。また、平成27年12月に、心の不健康な状態を未然に防止することを目的としたストレスチェック制度を導入し、平成28年11月には、過度のストレスがなく、いきいきとした職場の実現を目指す職場環境改善の推進を図るため、「「心の健康づくりのための職場環境改善」について(通知)」(平成 28 年職員福祉局長通知)を発出しており、各府省の担当者等に対して職場環境改善の手法等に関する研修を実施している。各府省では、ストレスチェックを活用した集団分析を実施(令和元年度は本府省において40府省中39府省が実施)し、また、その結果を管理監督者にフィードバック(令和元年度は本府省において40府省中27府省が実施)して職場の課題を明確化すること等により、職場環境改善に積極的に取組むよう推進している。さらに、人事院では、ストレスチェックの結果を用いたハラスメント予防を含めた職場環境改善の方策について、心の健康づくりの専門家によるワーキンググループにおいて検討を進めている。

内閣官房内閣人事局では、令和3年3月に「国家公務員健康増進等基本計画」(平成3年3月20日内閣総理大臣決定)を一部改正し、幹部職員、課長、室長、課長補佐、係長等へ昇任した際に心の健康づくりに関する研修の受講を必修化した。また、基本計画に基づき、各府省の管理監督者に対し、メンタルヘルスケアに関する知識を習得させるとともに、職員が心身ともに健康で安心できる職場環境づくりの取組や職場におけるメンタルヘルスケアの一層の推進に資することを目的として、メンタルヘルスセミナーを行っている。さらに、業務多忙や遠隔地官署勤務等の理由により研修やセミナーを受講できない各府省の新任管理者等に対し、メンタルヘルスに関する知識の習得及び理解の徹底を図るため、e-ラーニングによる講習を行っている。

ウ 国家公務員のハラスメント防止対策について
人事院では、「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会」の報告書を踏まえ、パワーハラスメントの防止等に関する措置を講じるため、人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)を令和2年4月1日に公布して同年6月1日から施行した。同規則では、パワーハラスメントの禁止や、その防止等のための各省各庁の長の責務、研修等の実施、苦情相談への対応等を規定した。また、同規則の制定に併せて、人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)及び人事院規則10-15(妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの防止等)についても、注意義務規定を禁止規定に改める改正を行った。これらの人事院規則に基づき、全職員向けにハラスメントの基礎的事項を理解させることに主眼を置いた自習用研修教材の改訂や、パワーハラスメントに関して想定される事例を映像化して解説を加えた研修動画の作成を行って各府省に提供するとともに、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーをパワーハラスメントに関する苦情相談対応について内容を充実させて開催し、各府省においてハラスメント防止対策が適切に実施されるよう支援を行った。

内閣官房内閣人事局では、基本計画において、幹部職員、課長、室長、課長補佐、係長等へ昇任した際にハラスメント防止に関する研修の受講を必修化した。また、基本計画に基づき、業務多忙や遠隔地官署勤務等の理由により研修やセミナーを受講できない各府省の新任幹部職員、新任課長級職員、新任管理者等に対し、ハラスメント防止に関する知識の習得並びに理解の徹底を図るため、e-ラーニングによる講習を行っている。

エ 国家公務員のその他の健康増進対策の推進
過労死等の原因となる脳血管疾患、心臓疾患を予防する観点から、基本計画に基づき、健康診断等の結果、要医療・二次健診の対象となった職員への確実な受診等の指導、健康診断結果や健康スコアリング等のデータを活用した健康増進対策の推進を実施している。
(2)地方公務員に対する周知・啓発等の実施
ア 地方公務員の長時間労働の是正に向けた取組
地方公務員の長時間労働の是正については、「地方公共団体における時間外勤務の縮減等について(通知)」(令和3年2月3日総務省自治行政局公務員部公務員課長・女性活躍・人材活用推進室長・安全厚生推進室長通知)において、時間外勤務の上限規制制度の整備、上限時間を超える時間外勤務に係る要因の整理・分析・検証、職員の勤務時間の適切な把握による時間外労働の削減について、総務省から地方公共団体に対し助言を行っている。

また、「「令和元年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査」の結果等を踏まえた地方公共団体における勤務環境の整備・改善等について(通知)」(令和2年12月21日総務省自治行政局公務員部公務員課長・安全厚生推進室長通知)において、労働基準監督機関の職権を有する人事委員会等は、監督権限の範囲内の職員の勤務条件について、適切に監督指導を実施するよう、総務省から人事委員会等に対し助言を行っている。

さらに、新型コロナウイルス感染症への対応については、「新型コロナウイルス感染症の感染防止に向けた職場における対応について」(令和2年12月8日総務省自治行政局公務員部公務員課長・女性活躍・人材活用推進室長・安全厚生推進室長通知)において、疲労の蓄積(易感染性)につながることから長時間の時間外勤務を避けること、あわせて、適切な勤務時間管理にも留意する旨、総務省から各地方公共団体に対して周知している。

イ 地方公務員の過重労働による健康障害の防止対策
民間労働者と同様に労働安全衛生法が適用される地方公務員については、各地方公共団体において、産業医・衛生管理者等といった安全衛生管理体制の有効活用のほか、長時間の時間外勤務を行った職員の健康確保のため、医師による面接指導や健康相談等の対応が適切に講じられるよう、総務省から助言を行っている。

ウ 地方公務員のメンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策
地方公務員について、公務職場特有の要請に応える観点から国家公務員と同様の取組が適切に講じられることが重要であり、各地方公共団体においてストレスチェック等の実施によるメンタルヘルス不調の未然防止や職場環境の改善に取り組むよう、また、職場におけるハラスメント防止のための雇用管理上の措置等が適切に講じられるよう、総務省において取組状況をフォローアップしつつ、地方公共団体に対し助言を行っている。

また、全国的な会議や各種研修会等において、過労死等防止対策のみならず、安全衛生管理体制の整備やメンタルヘルス対策等の労働安全衛生全般について、総務省から地方公共団体に対し助言等を行っている。

さらに、新型コロナウイルス感染症への対応については、保健師、消防職員、医療関係に従事する職員等が精神的な緊張を伴う職務の中で心身の負担が過度となりメンタルヘルス不調をきたすことが懸念されること等から、各共済組合が実施している相談事業や、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会によるメンタルヘルス対策サポート推進事業の有効活用等について、総務省から地方公共団体に周知を行っている。
(つづく)A.K

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