実践編・応用編

障害者扶養共済制度 | キャリコン実践224 テクノファ

投稿日:2023年1月13日 更新日:

ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。

●障害者扶養共済制度(しょうがい共済)
障害のある方を育てている保護者が毎月掛金を納めることで、その保護者が亡くなったときなどに、障害のある方に一定額の年金を一生涯支払う制度として、「障害者扶養共済制度(愛称:しょうがい共済)」が、すべての都道府県・政令指定都市で実施されています。この制度は、独立行政法人福祉医療機構が地方自治体独自の制度を再保険して補完する仕組みとなっています。

また、この制度は、5年に1度、安定的な制度の運営のために財政的な検証を行う仕組みになっており、2017(平成29)年度に開催された心身障害者扶養保険事業に関する検討会では、厚生労働省、地方公共団体及び独立行政法人福祉医療機構による広報の取組みについて一層の充実を図ることとなりました。 厚生労働省では、リーフレットや自治体等担当者向けの案内の手引きを作成するとともに、ホームページでの情報の発信や、母子健康手帳での制度の紹介等、広報啓発活動に取り組んでいます。

<高次脳機能障害者の支援>
高次脳機能障害及びその関連障害に対する都道府県の支援普及事業につきまして。
高次脳機能障害とは、事故や病気などにより脳に損傷を受け、その後遺症として記憶、 注意、遂行機能、社会的行動といった認知機能(高次脳機能)が低下した状態を指していて、日常生活の中で症状が現れるものの、外見からは障害がわかりにくいことが多いです。

高次脳機能障害者の支援については、厚生労働省の「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」により、各都道府県において、医療機関や福祉施設などの支援拠点機関に相談支援コーディネーター(社会福祉士、保健師、作業療法士等)を配置し、専門的な相談支援、関係機関との連携や調整を行うなど、地域での高次脳機能障害者支援の普及を図っています。

国立障害者リハビリテーションセンターでは、各部門が連携して、事例の集積、分析、 研究、専門職員への研修等を行っています。また、全国の支援拠点機関の中核として、同センター内に高次脳機能障害情報・支援センターを設置しおり、高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会、支援拠点機関の職員向け研修会等により、各支援拠点機関等との情報共有を図るとともに、高次脳機能障害に関する情報を集約してホームページで発信することにより、普及啓発を実施しています。

<障害者の社会参加支援について>
障害者の社会参加を支援するため、地域生活支援事業や身体機能を補完する補装具の購入等に要する費用を支給する事業などを行っています。例えば、意思疎通を図ることに支障がある障害者等へ手話通訳を行う者の派遣などを行い意思疎通を支援する事業、日常生活上の便宜を図るための用具を給付する事業、屋外での移動が困難な障害者等への移動を支援する事業、身体障害者補助犬の育成事業、障害者の芸術文化活動への参加を促進する事業、障害者やその家族、地域住民等が自発的に行う活動に対する支援を行う事業、障害者に対する理解を深めるための研修・啓発を行う事業など様々な事業を行っています。

我が国の障害者による文化芸術活動につきましては、近年、障害福祉分野と文化芸術分野双方から機運が高まっており、広く文化芸術活動の振興につながる取組みが行われています。
2018(平成 30)年6月に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」(平成30年法律第47号)が成立・施行されたことを受けて、国は、2019(令和元)年3月、同法に基づく基本計画を作成しました。この計画に基づいて、以下の取組みをはじめ障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進しているところです。

厚生労働省では、2013(平成25)年に開催された有識者による「障害者の芸術活動へ の支援を推進するための懇談会」の中間とりまとめを受けて、2014(平成26)年度からは芸術活動を行う障害のある方やそのご家族、福祉事業所等で障害のある方の芸術活動の支援を行う方を支援するモデル事業を実施し、事業で培った支援ノウハウを全国展開すべく、2017年度からは障害者芸術文化活動普及支援事業を実施し、障害のある人の芸術文化活動(美術、演劇、音楽等)の更なる振興を図っています。

また、障害のある人の生活を豊かにするとともに、国民の障害への理解と認識を深め、 障害のある人の自立と社会参加の促進に寄与することを目的として、「第20回全国障害者芸術・文化祭みやざき大会」の開催を2020(令和2)年10月に予定していましたが、新型コロナウイルスによる感染リスクに加え、開催準備及び実施体制が十分に整わないことなどを踏まえて、2021(令和3)年7月に延期することになりました。(2021年7月3日~10月17日に、国民文化祭と一体的に開催予定)また、2019年6月に制定された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(令和元年法律第 49号)に基づき、2020年7月に「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」を策定して、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することになりました。
(つづく)I.K

-実践編・応用編

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