キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。
● こころの健康対策
うつ病が重症化する前に早期に治療を行うことができるよう、うつ病等に罹患している方を早期に発見し適切に対応することが重要です。このため、一般内科医等、地域のかかりつけ医や医師以外の保健福祉業務従事者に対する研修などを実施するとともに、一般かかりつけ医と精神科医の連携を強化し、円滑に精神科医療につながる仕組みづくりを進めるなど、うつ病の早期発見、早期治療が実施できる医療体制の充実を図っています。
その他、各地方公共団体において、保健所、精神保健福祉センター等での精神疾患や心の健康に関する相談、相談活動に従事する者の養成と技術の向上、精神保健に関する普及啓発活動などにより、地域の実情に合った取組みを推進しています。一方、医療や福祉サービスにつながっていない段階からアウトリーチ(多職種チームによる訪問支援)を実施し、精神障害者等に対し支援を行うことや、薬剤のみの治療に頼らない治療法である認知行動療法の普及を推進するなど、精神保健医療提供体制の充実と質の向上を図っています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により、不安やストレス等の心の悩みを抱えた国民の心のケアを行うため、精神保健福祉センター等において、相談内容に応じて、必要な助言を行うとともに、適切な機関等につなぐ等の対応を行っています。
国家資格である公認心理師は、保健医療、福祉、教育等の分野において、心理学に関する専門的知識や技術をもって、心理に関する相談や助言、指導、心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供等を行っています。2020(令和2)年12月には、指定試験機関である一般財団法人日本心理研修センターにより、第3回公認心理師試験が実施されました(合格者は申請により、公認心理師として順次登録されることとなります。2021(令和3)年3月末現在の資格登録者数は41,556人)。
労働者へのメンタルヘルス対策としては、「労働安全衛生法」に基づく指針を定めて、事業場におけるメンタルヘルス対策の取組方法を示し、事業者への周知・指導等を行うほか、うつ病等メンタルヘルス不調により休業した労働者の職場復帰のための取組みの普及を図っています*4。また、労働安全衛生法の改正(平成26年法律第82号)により創設されたストレスチェック制度(2015(平成27)年12月施行)は、労働者の心理的な負担の程度を把握し、セルフケアや職場環境の改善につなげて、メンタルヘルス不調の未然防止の取組みを強化することを目的としたものであり、当該制度の周知・指導等を進めています。
また、経済・生活問題への対応としては、ハローワークにおいて求職者のための各種相談窓口の設置や、各種生活支援に関する専門家による巡回相談、メール相談事業などの支援策の強化を行っているところです。
(つづく)I.K