キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、メンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料の説明をしていますが、今回は前回に続き国の自殺対策についての関連法律、指針、パンフレット等について説明します。
以前の回で、働く人やその家族、職場のメンタルヘルス対策に取り組む事業者に向けて、メンタルヘルスケアに関するさまざまな情報や相談窓口を提供している、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトとして「こころの耳」を説明しました。 「こころの耳」にはパンフレット・リーフレット/マニュアル・報告書等のサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/index/#head-5
があり、サイト内には自殺対策の項目があります。そのなかから下記項目をそのリンク先サイトから引用説明します。
■中高年男性の自殺予防に取り組む人のための10箇条
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/s4-4.pdf
より引用説明します。
〇10箇条
1.こころの健康問題への関心を高めましょう
自殺者の90%以上は亡くなった時に精神疾患相当の状態であり、うつ病以外にも、アルコール依存症、統合失調症などこころの健康問題があることに注意する。
2.大切にしてきたつながりやささえを理解しましょう
人は多くのつながりやささえによって生かされていますが、その人がこれまで何によって生かされ、そして生きてきたのかに思いをめぐらせることで、支援を求めてきた人を理解するよう努める。
3.身体の健康問題も大きな苦痛のひとつです
身体の病気による苦痛は、こころの健康を損なうだけでなく自殺の危険性を高めます。身体の病気、そこから生じる苦痛を理解し支援の手をさしのべる。
4.社会的な問題の裏にも、こころの健康問題や支援を必要としている苦痛があります
表面化している社会的な問題だけにとらわれることなく、こころの健康問題を含め、問題の背景、全体像をとらえて支援する。
5.社会的な問題に対する支援を行っている相談窓口と連携してください
相談者は時として、こころの健康問題をかかえていますが、こころの健康問題の支援・相談窓口の対応にとどまるだけでなく、社会的問題の支援・相談窓口とこころの健康問題の支援・相談窓口が支援方法を共有する機会をもち、適切な支援をする。(例としてアルコール依存症、ギャンブル依存症など)
6.日頃の行動の中に支援を求める声があります
職務・社会生活をうまく遂行できない、攻撃的・衝動的な行動を繰り返す、自分を傷つける行動に及ぶときはその人が自殺のサインを出して支援を求める声をあげているものと考える。
7・アルコールは自殺を引き寄せます
酔った頭は投げやりな結論を導き出しやすく、「死にたい」という気持ちと実際の自殺行動までの距離を縮めて自殺のリスクを高めます。
8.「底つき」は援助のなかで体験するものです
依存症への支援では「底つき体験をして地獄を見ないと回復に繋がらないのでそれまでは支援してもムダ」という思い込みから、やみくもな「突き放し」が行われることがありますが、「突き放し」は、「底つき」までただ待つのではなく、より早い段階で回復へ繋げるために家族を支援し家族と連携するという、援助者による底つきの「底上げ」があってはじめて効果を発揮するものです。
9,相談・支援は安心できる環境でゆっくりすすめましょう
中高年男性は他者と比して特に相談することが苦手と言われています。初回相談を大切に、話すことを無理強いすることなく、気長に支援をすすめましょう。
10.顔の見える支援ネットワークを築きましょう
個々の支援者や一つの機関だけでできることは限られています。地域内の、その問題に対する支援を専門とする人・機関とネットワークを築いて、顔の見える互いに安心できるつながりを育てて支援に役立てる。
■ゲートキーパー養成研修用テキスト(第3版) 平成25年8月作成
厚生労働省のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/gatekeeper_text.html より引用説明します。
ゲートキーパー養成研修用テキストは命の番人「ゲートキーパー」として活動するためのテキストです。ゲートキーパーには資格は必要ありませんが、悩みを抱える人を適切に支援するための知識やゲートキーパー個々人の立場での役割などを知っていることが必要です。そのための研修内容をまとめたものがゲートキーパー養成研修用テキストです。医療関係者等の専門職に就いている人のみならず一般の人にもわかりやすい内容になっていますので、誰もがゲートキーパーの知識を身に付けることができるよう、このテキストを活用してゲートキーパー養成研修を実施するなど、地域において自殺対策の推進に幅広く活用できるテキストとなっています。
テキストの内容として目次を下記します。(テキストのロールプレイシナリオは一般編、地域対応編のパートに分かれておりそれぞれに悪い対応と良い対応のシナリオがあります)
●テキスト目次
1.我が国の自殺の現状と対策
2.ゲートキーパーとは
3.自殺を考えている人の心理
4.自殺の危険因子と防御因子
5.ゲートキーパーとしての心得
〇ゲートキーパーの心得編シナリオ
6.メンタルヘルス・ファーストエイドとは
7.DVD教材の解説(一般編及び専門家編)
8.ロールプレイシナリオ(一般編)
〇家族偏
〇勤労者偏
〇民生委員偏
〇相談窓口偏
〇保健師偏
〇医療機関偏
〇ワンポイント講座
・こころの悩みに気付いてますか
・悩んでいる人が安心するために
・悩んでいる人をサポートしよう
・もし「死にたい」と言われたら
・助けを求めるように伝えよう
9.ゲートキーパーQ&A
10.誰でもゲートキーパー手帳
11.DVD教材の解説(地域対応編)
慢性身体疾患について
高齢者や介護者のうつについて
不安障害のメンタルヘルス・ファーストエイド
若年のメンタルヘルス・ファーストエイド
12.ロールプレイシナリオ(地域対応編)
〇保健師偏 (慢性身体疾患対応)
〇訪問介護職員・住民偏(とじこもり対応)
〇窓口職員・住民用(不安障害対応)
〇民生委員偏(介護負担対応)
〇児童委員偏
13.応用編:社会資源を活用するための対応方法
危機対応のための4step
14.ゲートキーパー養成研修プログラム
実施プログラムのスケジュール例
15.テキスト及びDVDの活用にあたって
■自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書
自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書 自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会 平成20年3月資料
https://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/supporter/files/01.pdf より引用説明します。
我が国では、平成10年に自殺者数が前年比3割余りも急増し、その後も3万人を超える水準で推移しており、自殺対策が大きな課題となりました。それまで自殺未遂者や自殺者親族等への支援については、民間団体によって支えられてきましたが、自殺者数の増加に対応するために厚生労働省に設置した、自殺防止対策有識者懇談会の報告書「自殺予防に向けての提言」(平成14 年12月)において、初めて自殺対策の論点として認識され、その後、自殺未遂者や自殺者親族等への支援を含む総合的な自殺対策に取り組むべきであるという声が強く出され、平成17年7月に参議院厚生労働委員会において、「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」が行われました。平成18年6月に制定された「自殺対策基本法」では、自殺未遂者や自殺者親族等に対する支援が明文化され、その重要性が明確化されました。平成19年6月に政府の推進すべき基本的かつ総合的な自殺対策の指針として閣議決定された「自殺総合対策大綱」の中で、自殺未遂者や自殺者親族等の支援に対する取組の重要性に言及しています。
自殺は、健康問題や家族問題だけではなく、失業、倒産、多重債務、長時間労働等の社会的な要因が複雑に関係していることを踏まえ、保健医療、福祉、心理、経済、法律等の様々な視点からの支援が必要です。検討会は自殺未遂者や自殺者親族等の支援について、自殺未遂者や自殺者親族等に対して支援活動を行っている関係者、精神保健医療福祉に従事している関係者、支援に関して研究を行っている関係者等、様々な立場の構成員および参考人によって、自殺未遂者や自殺者親族等の支援を行っている関係者がケアする時のガイドラインを作成する際に必要とされる指針を報告書としてまとめています。
報告書の内容として報告書目次を下記します。
1 はじめに
2 自殺未遂者のケアに関して
(1)自殺未遂者のケアの現状と課題
(2)自殺未遂者のケアについての基本的考え方と今後の取組の方向性
3自殺者親族等のケアに関して
(1)自殺者親族等のケアの現状と課題
(2)自殺者親族等のケアについての基本的考え方と今後の取組の方向性
4 自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関するガイドライン作成のための指針
(1)自殺未遂者のケアに関するガイドライン作成のための指針
ア 対象者
イ ガイドラインに盛り込むべき事項
ウ メンタルヘルス対策の重要性
エ プライバシーに対する配慮
オ その他記載することが望ましい事項
(2)自殺者親族等のケアに関するガイドライン作成のための指針
ア 対象者·
イ ガイドラインに盛り込むべき事項
ウ メンタルヘルス対策の重要性
エ プライバシーに対する配慮
オ その他記載することが望ましい事項
(つづく)A.K