基礎編・理論編

チェンジ・エージェント | キャリコン養成講座249 テクノファ

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キャリアコンサルタント養成講座を紹介していただいた横山先生が翻訳されたサニー・S・ハンセンの著作「Integrative Life Planning」を紹介しながら、横山先生の思想の系譜を探索します。

■チェンジ・エージェント
カウンセリングのチェンジ・エージェントととして次のような観点を提案したい。
□包含性(lnclusivity)
包含(inclusion)とは、あるものが全体の一部を占めていること、あるいはあるものを全体の一部として考えることを意味する。その反対は、言うまでもなく、排除(exclusion)―社会的または経済的理由で、すべてのグループまたはあるグループを排除する傾向―である。長年、女性や多くの多様な民族グループが、ゴルフ・クラブ、男性の昼食会、社会貢献クラブ、学会、そして名誉団体などの組織から排除されてきた。これらの組織がすべて、故意に排他的であるわけではないだろうが、伝統的に、また時には意識されないリーダーシップによって、その組織にはある種のグループが含まれていない、あるいは最小限度にしか含まれていないという状況が作られていた。

□排除性(Exclusivity)
社会は、多くの方法を用いて人々を排除する。時にそれは、ジェンダー、人種、階級、民族、障害、年齢、性的指向などに基づいて、組織的に行われる。例を挙げることはそれほど難しいことではない。

・リーダーシップにおいて  教育、企業、官公庁の場では、女性や、有色人種にとって、ガラスの天井やセメントの床などの障壁が存在している。
・コミュニティにおいて  知覚できるある種の違いのせいで、個人が組織的に、住居や社会的組織から排除されている。
・カリキュラムや知識創造において  特に学校や大学において、原理やヨーロッパ中心主義的な知識が重要視され、しばしば、実証主義的な論理や方法論が唯一の知ることの方法と見なされている。
・テクノロジーにおいて  物理学、エンジニアリング、あるいは通商を専攻している女性やマイノリティの数は極めて限られており、実際その分野で活躍している人の数はさらに少ない。
・経済および職場において  賃金格差が依然として存続し、マイノリティや女性は不当に扱われ、貧困層に占める女性の割合が増大し、相変わらず国民総生産が人間の進歩を測定する主要な指標となっている。
・言語において  包含的言語の使用を拒否している有力な専門家組織や出版物、一部のメディアにおいて、人口の半分を占める人々を包括する言語表現が未だに認められていない。

これらはほんの数例にすぎない。とは言えわれわれは、民主主義の原則と価値観を表明する社会においては、すべての成員の才能と考えが必要なことを知っている。現在大学では、文化的多様性に関する1つ以上のコースを取ることが必修になっており、企業組織は、すでに述べたように、多様性に価値を置き、多様性に対応する研修を開発している。しかしこれらの進展が見られるようになったのはつい最近のことである。
排除という現象については、「不在の存在(the presence of absence)」(Robertson,1992)という語句がその内容をよく言い表している。組織のリーダーという地位に関しては、多くのマイノリティと女性の「不在の存在」は極めて明白である。Robertsonは、特に学校において、カリキュラムの内容とリーダーという地位に関して、女性とマイノリティの不在が顕著であると強調している。1970年以降いくつかの学会(全米カウンセリング学会と全米心理学会は実施済み)が、その会員、編集者、著者に対して、講演、論文、著書―パブリックに向かって行われるいかなる発表―においては、ジェンダー的に中立な、あるいはジェンダー的にバランスの取れた言語表現の重要性を認識しなければならないと宣言し、包含的言語使用のガイドラインを作成した。今日、言語も社会も変化しているということを認めたがらない企業や職業団体が存在するが、進歩的な企業や組織、政府機関、職業団体、宗教団体は、そのような方針やプログラムを採用している(Hansen,1992)。

□組織的包含性
専門家組織とキャリアの専門家は、チェンジ・エージェントとして、包合性に向けたプロセスを始めるために何をすることができるだろうか?かつてこの同じ質問を私にした企業に対して私が示した答えの一部をここに紹介したい。というのはその答えは、多様性という問題に真剣に取り組み始めた組織であれば、どのような組織にも当てはまるものだからである。以下がその提案のいくつかである。

多様な声に耳を傾ける  組織のすべての部分で、女性や民族的マイノリティの多くの声が聞き届けられ、それに対する対応が示されるようにすること。組織のすべてのメンバーとリーダーが、出版物、会議や大会、組織の文献室、そしてわれわれ自身の研究機関などを通じて、これらの声によって作成されている優れた文献に十分に触れられるようにすることが必要である。女性やマイノリティだけでなく、キャリアの専門家にとっても、無数の出版物が利用可能となる。ここで必要とされるのは相互支援という認識である。すなわち、われわれがそれらの人々の経験を共有し、キャリア・ディベロプメントとその関連する分野を定義し、そしてさらに未来を定義することに進むには、すべての肌の色と背景を持つ女性と男性の多くの声に対して敬意を示すことが必要である。
メンバーシップとリーダーシップの多様性を探究する  組織のメンバーとリーダーの両方が、さらに大きな多様性を追求すること。多様性―そして包含性―が、いままで以上に中心的なテーマとなるような構造や手順を創造する方法を見出すことが重要である。そのような方法には、会議の企画とプレゼンテーション、出版活動、企業ガバナンスなどへの幅広い参加が含まれる。
議題(agenda)を拡張する  組織の機関誌やその他の出版物で取り扱われるトピックスのなかから(質的および量的研究、そして知ることの方法を含めた)多様な執筆者を招いてそのアジェンダについて書いてもらうようにする。これまで女性やマイノリティの意見が排除されることが多かったテーマや、人権と仕事、女性と男性、環境、文化を越えた仕事の意味などのグローバルな問題、そして男性と女性による未来の定義などのテーマを含める必要がある。

包含性とパートナーシップのためのプロジェクトを創造する  組織は本格的な多様性または包含性プロジェクトを推進することによって、メンバーやリーダーの関心を組織内の多様性に向けさせることができる。たとえば、World Future SocietyのHazel HendersonとBill Halalは、この惑星のための戦略的プランを策定していくプロジェクトであるWorld 2000を組織しているが(実に大きな志だ!)、2人がそのプロジェクトのリーダーシップとして、ジェンダー・バランスと文化的多様性を追求していることは明らかである。この章の初めで検討したディジタル・イクイップメント社のように、包含性の価値をより深く理解するための、組織内部の職場単位でのプロジェクトや有志によるプロジェクトを開発することが必要である。
われわれ自身を見つめる  本物の変化を起こすために最も重要なことは、われわれキャリアの専門家が、自分自身の態度や行動を検証し、自分たちの組織が包含的になるのを妨げるようなことを無意識に行っていないか、あるいはそのような行為を怠慢に見過ごしていないかをしっかりと見ることである。そのことによってわれわれは、自分自身のジェンダーや人種的な問題、民族性と、さらに、他者の階級・年齢・身体的障害・ジェンダー・人種・信条・性的指向・宗教などに関わるときのわれわれ自身の視座の確立を進めることができる。

□人種的包含性
人種的および民族的マイノリティに関する包含性は、特に重要である。心理学者のCharles Ridley(1989)は、人種差別を、「ある社会的グループがさまざまな機会や特権を利用することをシステム的に拒絶する一方で、別のあるグループのメンバーに対しては、そのような特権を永続化しようとするあらゆる行動や行動パターン」と定義した。彼は、人種差別は力によって永続化されている一方で、マイノリティは力を持つことを極端に制限されていると述べている。
Ridleyはまた、メンタルヘルスサービスにおいてマイノリティのクライエントがしばしば経験するネガティブな結果としての「事実上の人種差別(adversive racism)」について述べている。それは、不正確な診断、低熟練専門家、専門外専門家、非専門家の担当、低料金で不適切な治療、メンタルヘルス施設の利用度の不均衡な低さ、治療終了率の異常な高さ、治療に対する患者の満足度の低さなど、として現れている。
マイノリティのクライエントのカウンセリングに否定的な影響を及ぼしている要因がいくつかある。意図的でない人種差別もその1つで、それは大きく2種類に分けられる。「肌の色への無分別(color blindness)」と「肌の色への過剰意識(color consciousness)」である。前者は、マイノリティのクライエントも普通のクライエントの1人にすぎないとする認識の誤りで、クライエントに対して、「私はあなたを黒人とは見ていない」などと言う。後者は、クライエントが抱えている問題の原因が、すべてその人のマイノリティという立場にあると見なす考え方である。
ほとんどすべての人が、人種差別的に行動する可能性がある。ここでも、ロサンゼルス暴動のなかに、その例を見ることができる。しかしわざわざその古い例を出すまでもない。たとえば、私が住んでいるミネソタ州では、ラテン系移民家族に対する嫌悪すべき偏見の事例が多く見られる。それらの人々はよそ者として嘲られ、拒絶され、その子どもたちは学校で差別されている。WhiteとParham(1990)は、「善意のある人々のなかの人種差別(racism among the well intentioned)」に目を向けるように呼び掛けた。それは自分自身を平等主義者と思っている人々が、人種差別主義者のような振る舞いをすることを指している。
私の人生で、大学時代に受けた排除と差別の2つの体験は、私の社会正義の意識と感覚を強めた。私がインドからの留学生であるVioletとルイジアナまでのバス・ツアーをしていたときのことだった。私たちは共通の友人の家に泊まることができなかった。なぜならその家族が、彼女の肌の色が黒すぎると感じたからである。私はまた、彼女がバスセンターの給水機の上に、「有色人種専用(Coloreds Only)」という看板が掲げられているのを見て、どの給水機で水を飲めばよいかわからなかったとき、彼女の痛みを感じた。もう1つは、首都で働く機会があったときに体験したことである。ワシントン・セミナーがワシントンDCの低所得者家庭の子どものためにボランティア活動をする大学生を募ったとき、私たちのグループは人種的に混合したグループであったため、普通の宿舎に滞在することができず、最終的にほとんどが黒人で占められているハワード大学に滞在することになった。私はそこで一生忘れることのできない体験をした。マイノリティであるということがどのようなことかを私はそこで実際に体験したのである。そこでは、白人がマイノリティだったからである。

□年齢的包含性

キャリアと多様性に関する文献で、これまであまり注意が払われてこなかったグループが高齢者である。高齢者とはかくかくしかじかであるというステレオタイプが今でも蔓延し、それを指摘する文献が多く現れている。現在、特に差別をされているのが高齢労働者である。そして、再訓練に適しない、スピードが要求される仕事についていけない、テクノロジーについていけないなどの理由で不当に解雇された55歳以上の労働者のテストケースとなった裁判では、多くの場合高齢労働者が勝訴している。熟練した労働者の仕事が標的にされてきた。これらの労働者は、枯れ木と見なされてきた。高齢労働者は、再訓練する価値のない人間と見なされ、機会を与えられず、そのため解雇された後も新しい会社で雇用機会を見出すことができずに、挟み撃ちにあっている(Mirvis と Hall,1994)。
また高齢労働者の側でも、これまでにあまりにも多くの不当な偏見や差別を体験してきたため、投げやりになっているところがある。しかしこれとは反対に、高齢労働者は有能であり、信頼でき、再訓練が可能であり、雇用しないまでも雇用可能な状態にしておくことは、企業にとって経済的に有益であることを認識し始めている会社があることをいくつかの実例が示している。企業が、この章の初めで検討したような形で職場における柔軟性を向上させるなら、あらゆる種類の労働者が恩恵を受けることになるであろう。本書の第3章で述べたような「シャムロック」型の組織のなかの3つの葉のすべてにおいて高齢者が働く機会を得るキャリア・サイクルが創り出せるかもしれない。さらに、学習する組織へと進化しつつある企業では、高齢者のための新たな機会がますます多く開発されるようになるかもしれない(Mirvis と Hall,1994)。
もし、キャリアの支援者が、組織やもっと大きな社会のなかで包含性という問題に取り組むならば、違いの性質がいかなるものであれ、違いは欠陥ではないことをわれわれは強く主張する必要があるだろう。合衆国ではある程度の進歩が見られており、多くの企業が自社のトレーニングやディベロプメントのプログラムのなかに、多様性をマネジすることをアジェンダに取り入れ始めている。しかしまだまだやるべきことが山積されている。多様性をマネジすることができるようになる前に、まず、多様性とは何かを理解し、それに価値を置き、最高のレベルでそれを喜ぶことができなければならない。私はこのような建設的な変化が訪れることを信じているが、それには時間、エネルギー、価値の変化、そして、キャリア・カウンセリングとHR専門職として働くわれわれを含めたすべての人々のコミットメントが求められている。
多文化に関する文献に共通する認識は、キャリア・カウンセラーが多様性を理解し、変化の形成を促進するために、まず自分自身、そして自分自身の文化的および民族的アイデンティティ、さらには自分自身にある先入観と偏見に取り組むことから始めなければならないということである。Cross(1971)、Helms(1984)、Atkinson,MortenとSue(1993)が指摘しているように、キャリア・カウンセリングの専門家としてなすべき最も重要なことは、自分自身の人種的および文化的アイデンティティを心して見つめ―われわれがどの人種に属していようとも―多文化主義を、あたかもそれが違う人々に適用する何かであると見なすことをやめることである。ヨーロッパ系アメリカ人は多くの場合、今発展しつつある多文化カウンセリング理論とモデルから外れることが多かったが、この成長分野のリーダーのなかには、ヨーロッパ系アメリカ人も含まれるようになってきた。われわれは包含性のビジョンを必要としているのである。

■文化的感受性の高いキャリアの専門家にとっての課題
多元主義、多文化主義、キャリア・カウンセリング、そして多様性に価値を置くこと、さらにはエンパワーメントと包含性に向けて努力すること、これらについて検討してきたが、その内容をもとにわれわれは何をするのか?
キャリアの専門家として、人種差別、性差別、年齢差別を少なくし、人々を先入観や偏見から解放し、組織に介入して、すべての人の人間的発達を支援することが容易でないことは明らかである。統合的ライフ・プランニングは、そのような目標を達成することは生涯をかけた仕事であり、それを実現するためのスキルを身につけるのも生涯をかけて行うことを認識している。そのような目標は、情緒的で、複雑で、時に達成できないものである。それらは、われわれのキルトに縫い合わせるのが最も難しいピースかもしれない。
私はまた、キャリアの専門家が、変化をもたらす唯一の源泉であるとは考えていない。われわれだけで変えられないことがいくつかある。経済システム、居住パターン、ヘルスケア、制度化された人種差別、力と富の配分などの問題は社会全体の問題であり、長期にわたる政治的、法律的、社会的、政策的イニシアティブが必要である。しかしわれわれは、自分自身の文化的感受性に働きかけることができ、より包含的な社会に向けて思い描く家族、仕事、学習環境の創造のために努力することができる。以下、出発点となる8つのチャレンジを提起する。

1.自己認識を高める  自分自身に固有な文化的および民族的背景、人種的アイデンティティを認識し、それらがどのように自分の発達と他者に対する態度に影響を与えているかを自覚すること。
2.違いに価値を置く  自分自身のものとは違う文化に対する感受性を高め、より深く理解する。多文化カウンセリングのためのトレーニングや多様性を認識するためのトレーニングを通じて、それらの違いに価値を置くことができるようになること。
3.自分が属していない文化についての知識を増やす  さまざまな次元の多様性についての知識を増やし、認識を深めるようにすること。それらの背景を持つ人々について学ぶだけでなく、それらの人々から学ぶこと。
4.文化的に違う人々のキャリア・ディベロプメントの阻害要因についての知識を増やす
人種的、ジェンダー的、法律的、社会的、そして政治的障害を含め、発達を阻害するさまざまな要因についての豊富な文献に目を通すこと。そして教育と職業における機会均等を確実なものにするために、それらの阻害要因を除去する活動に取り組むこと。
5.他の文化にどっぷりと浸かる機会を見つける  自分自身が属しているものとは違う文化について学び理解する最善の方法は、自分自身をその文化にどっぷりと浸からせることだと知ること。その文化のなかでの研究、サービス、人間関係、仕事体験を通じて、自分が属するものとは違った文化に自分自身をたっぷり浸すこと。

6.進んだ異文化交流スキルを開発する  あらゆる種類の違いに対処し、価値を置くことができる対人関係およびコミュニケーション・スキルを開発するために、異文化交流ワークショップなどの機会を活用して自分自身のトレーニングに励むこと。自分の態度、言葉、行動における文化的感受性についての自分自身のモデルをつくること。
7.統合へ向けた仕事をする  文化的感受性を、自分自身の人格と専門家としての人生のなかに統合すること。キャリアの支援者としての統合テクニックを用いて、多様なクライエントがその人生のさまざまな部分を統合することができるように支援すること。文化的な違いを示す人たちを避けるのでなく、その人たちとの結びつきを求めること。
8.社会変化のために仕事をする  社会正義を阻害し、人間存在の発展を阻害するようなあらゆる形態の人種差別、性差別、階級差別、その他のすべての「差別」を撤廃するために仕事をすること。文化的に違う集団のための選択肢を拡大するための介入をリードすること、すなわち、ILPワークショップを開催したり、文化的に違う人々のためのメンターになること。

■結 論
あらゆる種類の違いを受け入れ、それに価値を置くこと、そして包含性の規範を確立するために支援することができるようになること、これらはおそらく統合的ライフ・プランニングが掲げた重要課題のなかでも最も難しい課題であろう。われわれの職場を含めて、すべての人生の領域で、われわれとは違うところのある人々と共に仕事をし、知り合いになれる機会を歓迎し、そしてその機会を、それらの人々から、またそれらの人々について、学ぶために活用することが必要である。キャリアの専門家のわれわれとしては、あらゆる前提認識と慣習を検証し、多元主義と多様性の言語と概念を学び、すべての人の機会が増大するようにするためのチェンジ・エージェントになる必要がある。要するに、われわれは単なる現状維持のエージェントではなく、変化の提唱者になるべきである。
われわれの組織においては、仕事の環境が全員にとってもっと快適なものになるように職場の柔軟性を改善する必要がある。人々の複数のアイデンティティと、人種、ジェンダー、階級の相互作用に気づく必要がある。そして、より包含的な社会―教育システム、仕事の組織、公的機関、コミュニティ―の実現に向けて、ステレオタイプ、偏見、差別を無くすために努力する必要がある。文化的な感受性の高いカウンセラーとキャリアの専門家にとっての課題は、変化のポジティブなチェンジ・エージェントになることであり、民主主義社会の公約がすべての人にとってもっと享受しやすくなるようにすることである。この課題をローカルにそしてグローバルに遂行していくためには、エネルギーとスキルだけでなく、心からのコミットメントが必要である。
この章の最後に、公民権運動の主役となったアフリカ系アメリカ人女性であるRosa Parksの言葉を引用したい。その日、疲れていた彼女は、黒人に強いられていたバスの後部座席への着席の規則を無視して前方の座席に座った。この彼女の行動が、変化への触媒となり、彼女は現在も公民権擁護の仕事に献身している。ParksはILPの中心テーマを反映させて次のように言う。「やらなければならない仕事がある。だから私はそれをやめることができないし、じっと座っていることもできない。1人の子どもが助けを必要としているかぎり、そして自由でない人々がいる限り、なすべき仕事はずっとあり続けるだろう。高齢者が攻撃されたり、支援を必要としている限り、なすべき仕事はある。偏狭さと犯罪がある限り、なすべき仕事はある。(中略)過去の人種隔離の時代からかなりの年月がたっているが、より良くするためになすべきことは常にある。すべての人間に平等な機会がなくてはならない」。
(つづく)平林

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