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キャリアコンサルタント国家資格合格 9 I テクノファ

投稿日:2020年10月2日 更新日:

キャリアコンサルタント国家試験の出題範囲に関係する「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」について話をしています。
厚労省報告書における、今後キャリアコンサルタントに求められる能力要件についての続きです。

2 能力要件の見直しについて
(1)見直しの前提として留意すべき点
①能力要件の枠組み
現行の能力要件の枠組みは、大きく以下の4科目に区分されており、これは、平成18年度の標準レベルのキャリアコンサルタントの能力体系・基準改定以降、継続してきたものである。キャリアコンサルタントの養成段階における学習の枠組みとして既に一定の定着が図られているとともに、キャリアコンサルタント試験や更新講習、さらには技能検定試験も含めた科目及び範囲にも反映されている。基本的に大きな問題は発生していないことを踏まえれば、変更を加えるべき特段の事情がない限りは、これを踏襲することが適当である。

(能力要件の科目区分)
・ キャリアコンサルティングの社会的意義
・ キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
・ キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
・ キャリアコンサルタントの倫理と行動

加えて、キャリアコンサルティング職種技能検定2級及び1級試験制度の整備に基づき構築されている、いわゆる指導レベルに相当する技能士1級、いわゆる熟練レベルに相当する技能士2 級に対し、キャリアコンサルタントは、(当時の標準レベルのキャリアコンサルタントに相当する)キャリア支援の専門家としての基盤を有するレベル以上と位置づけられるという、キャリアコンサルティング技能関係資格に関する、いわば能力要件の垂直構造については、当面、概ねこれを維持することが適当と考えられる。

また同時に、本報告書に示す方向でキャリアコンサルタントの能力要件を見直すことにより、国家資格としてキャリアコンサルタントが有する能力のベースラインは、自ずと一定の引き上げがなされることとなる点に留意する必要がある。
その上で、過去の能力要件の変遷においては、新たに項目立てを加えることに併せ、既存の項目の内容や時間数を変更する場合があったこと等も踏まえ、今回の見直しにおいても、必要な内容を具体的にどのような形で盛り込むのが良いか精査する必要がある。

②時間数の枠組み
現行の能力要件を踏まえた養成講習の時間数要件が140 時間となっている中で、新たに必要となる内容を盛り込むことに伴って時間数を際限なく増加させることは避けなければならない。このため、既存の項目について、キャリアコンサルタントに求められる社会的役割の変化や項目間の内容の重複等を踏まえて一定の整理を行うことも同時に検討する必要がある。
また、省令別表は養成講習において満たすべき科目・範囲・時間数を直接的に表すものであることから、時間数の増加は、養成講習実施機関にとっては講習設定工数の増加に、養成講習受講者にとっては受講料負担にそれぞれ反映され、ひいては、養成規模等にも影響をもたらし得ることも勘案する必要がある。

(2)キャリアコンサルタントに求められる社会的役割の拡大・深化
1.(2)のとおり、キャリア支援に関わる社会環境、産業構造・労働構造の変化や、労働政策上のキャリア支援の重要度の高まり背景に、キャリアコンサルタントに求められる社会的役割は拡大・深化しているが、今回の見直しの検討にあたっては、複数の視点からその明確化を図りつつ議論を行った。
1つには、近年のキャリアコンサルタント、キャリアコンサルティングに関連する制度・施策の整備という視点から、セルフ・キャリアドックをはじめとする企業内での在職者に対するキャリア支援の環境整備、専門実践教育訓練や公的職業訓練をはじめとする中長期的なキャリア形成に資する学び直しを効果的に行う前提としてのキャリアコンサルティングの実施や、ジョブ・カードの作成支援を適正かつ効果的に運営すること等がポイントとして挙げられた。

また、「働き方改革」や「人生100年時代構想」に関する議論における人材の育成・活用力の強化等の政策的な重要課題に対するキャリアコンサルタントやキャリアコンサルティングによる更なる役割発揮という視点からは、個人の主体的な学び直しを通じたキャリアアップ・キャリアチェンジの支援、仕事と治療の両立や子育て・介護等と仕事の両立に関するキャリアの視点からの支援、中高年・高齢者のキャリア充実(後記(4)①エを参照)のための支援等がポイントとして挙げられた。

さらに、キャリアコンサルティングの利用者からの評価やニーズ等の視点からは、利用者の納得感を高める応対や課題解決のための具体的なアドバイスの提示、キャリア開発や組織開発、人的資源管理等に関する理解を踏まえた企業内での人事部門等との連携といったポイントが挙げられた。

この他、平成29年度に独立行政法人労働政策研究・研修機構及び特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会が実施している、キャリアコンサルタント実態調査において把握された、キャリアコンサルタントの活動の場の変化(企業が増加)等の結果についても参照した。
(つづき)平林良人

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