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キャリアコンサルタント国家資格合格 11 I テクノファ

投稿日:2020年10月8日 更新日:

キャリアコンサルタント国家試験の出題範囲に関係する「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」について話をしています。
厚労省報告書における、今後キャリアコンサルタントに求められる能力要件についての続きです。

③省令別表、能力体系等への反映
上記①及び②に掲げた事項に係る省令別表、能力体系等への反映の方向性(時間数を含む)については、以下のとおり整理する。
【全体像】
科目・範囲の項目立てについては現行のままとし、一部について上記①の各事項を踏まえて適切な表記に改める。
また、時間数については、現行の140 時間から、上記①の各事項に係る時間数の増加を20 時間程度、上記②の各事項に係る時間数の合理化を10時間程度とし、合計の時間数としては10 時間程度増加して150 時間程度とする。なお、講義と演習の内訳については、現行の講義70 時間、演習60 時間(この他、講義と演習の区分のない「その他のキャリアコンサルティングに関する科目」が10 時間)から、上記①の拡充・強化すべき事項に関する内容について演習を10 時間程度増加する。

【具体的な科目・範囲】
ア. キャリアコンサルティングの社会的意義
上記②アを踏まえて、一及び二の範囲の講義について2つの範囲の合計時間数を数時間程度縮減するとともに、三について、「キャリアコンサルタントの倫理と行動」の五の範囲へ統合する。

イ. キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
上記①の各項目を踏まえて、一~十三の範囲のうち、五、六、八、十一、十三について、能力体系等に必要な内容を追加するとともに、講義をそれぞれ1時間乃至2時間程度増加する。また、上記②イを踏まえて、三及び四について、「キャリアコンサルティングを行うために必要な技能」の二の2及び3へ統合する。

ウ. キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
上記②のイを踏まえて、一の講義について数時間程度縮減するとともに、二の講義について、「キャリアコンサルティングを行うために必要な知識」の三及び四からの統合に伴い、必要な時間数を確保する。また、上記①の各項目を踏まえて、能力体系等に必要な内容を追加するとともに、演習を数時間程度増加する。

エ. キャリアコンサルタントの倫理と行動
上記①イ及びエを踏まえて、一~四の範囲のうち、二及び三について、能力体系等に必要な内容を追加するとともに、講義をそれぞれ1時間程度増加する。併せて演習についても数時間程度増加する。また、五の講義について、「キャリアコンサルティングの社会的意義」の三からの統合に伴い、必要な時間数を確保する。

オ. その他のキャリアコンサルティングに関する科目
今般の見直しにおいては変更しない。

(5)キャリアコンサルタント登録制度全般における対応
上記(4)において、省令別表を中心とした養成講習に関する今般の見直しの考え方について整理したが、キャリアコンサルタント登録制度としては、能力要件の見直しについて、養成講習への反映のみならず、キャリアコンサルタント試験及び更新講習への反映についても併せて必要となる。
キャリアコンサルタント試験については、試験科目の範囲等を、見直し後の能力要件に対応したものとなるよう改める必要がある。また、更新講習についても、養成講習の科目の一部が更新講習の科目として位置づけられている(「キャリアコンサルティングを行うために必要な知識」の一部及び「キャリアコンサルティングを行うために必要な技能」)ことから、省令別表の見直しに併せて対応を図る必要があるほか、見直し前の能力要件に基づく養成講習を修了した者に対して、見直しにより盛り込まれた内容を補うための更新講習が設定される等の所要の対応が望まれる。

厚生労働省においては、上記の点を含めて、能力要件の見直しに関するキャリアコンサルタント登録制度全般における諸対応が円滑に実行されるよう、関係機関とも連携を図りつつ、必要な法令改正等の対応を図るとともに、キャリアコンサルタントも含めた関係者への周知等にも努めることが求められる。

(6)今後の見直しのあり方
以上までのとおり、キャリアコンサルタントの能力要件について、キャリアコンサルタント登録制度が創設されて以降、初めての見直しを行うことで、キャリアコンサルタントがより一層、社会環境変化や労働政策上の要請等の下で求められる役割を的確に担うことができるものと期待される。一方で、例えば、貧困や虐待などの背景に就労に関する問題が存在する場合をはじめとして、キャリアコンサルタントが福祉領域との連携の下で解決を図ることが期待される場面が増しつつある。今後とも、このようなキャリアコンサルタントに求められる社会的役割の拡大や変化に応じて、必要と認められる際には、能力要件の見直しを改めて検討することが適当である。
(つづき)平林良人

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