基礎編・理論編

キャリアコンサルタント養成講座 22 I テクノファ

投稿日:2020年10月29日 更新日:

今回はキャリアコンサルタントが知っているべき労働関係法規、社会保障制度等に関してのお話をします。
労働に関係する労働法は、大きく3つに分類できます。それぞれ関係する分野や領域に合わせて、おもだった法律を解説していきます。

日本の労働法の体系は、大きく3つに分けられます。
(1) 雇用や労働市場に関する法律です。先に取り上げた職業能力開発促進法の他に、雇用対策法、職業安定法、雇用保険法、労働者派遣法などです。ハローワークや職業訓練施設などの職業安定行政と能力開発行政が担当しています。
(2) 労働条件に関する法律です。労働契約、労働条件、採用、退職などの領域に関連する法律で、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働者災害補償保険法、男女雇用機会均等法などです。これらは労働基準監督署などの労働基準行政が担当しています。
(3) 労使関係に関する法律です。労働組合の結成、運営、交渉ルールなどの集団的労使関係の領域に関連する法律です。労働組合法、労働関係調整法などです。労政事務所などの労使関係行政が担当しています。

キャリア開発・形成の支援活動であるキャリアコンサルタントには、職業安定法や職業能力開発促進法などは直接関係してくる法律です。また、メンタルヘルスは労働安全衛生法と関係してきます。

■雇用政策の基本になる「雇用対策法」
雇用対策法は国の雇用政策の基本であり、職業指導や職業紹介に関しても、国としてやるべきことが以下のような主旨でまとめられています。
①厚生労働大臣は、求人と求職との迅速かつ適正な結合に資するため、雇用情報を収集、整理し、求職者、求人者、その他の関係機関等に提供すること。
②厚生労働大臣は、職業の現状や動向に関する分析、職業適性検査および適応性、職務分析その他の職業に関する基礎的調査研究をする。
③職業紹介機関は、求職者に対して、雇用情報や職業に関する調査研究の成果を提供すること。それに基づき求職者が適性、能力、経験、技能等にふさわしい職業を選択できるよう促進すること。
④職業紹介機関は、求人者に対して、雇用情報や職業に関する調査研究の成果を提供すること。それに基づいて求人者が労働者を雇用できるよう促進すること。
⑤職業安定機関および公共職業能力開発施設は、雇用に関する援助を求められたときは必要な助言や措置を行うこと。

■職業紹介所の業務を規定する「職業安定法」
雇用対策法が国の行うべき雇用政策の基本であるのに対して、職業安定法はハローワークや民間の職業紹介機関が行う業務について規定しています。職業安定法では、以下のような主旨でまとめられています。
①「職業指導」とは、職業に就こうとする者に対し、実習、講習、指示、助言、情報の提供などの方法により能力に適合する職業の選択を容易にさせ、その職業に対する適応性を増大させるために行う指導をいう。
②労働条件等の明示は、賃金および労働時問に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については厚生労働省令で定める方法によらなければならない。
③個人情報を収集し、保管し、または使用するにあたっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内でなければならない。
④公共職業安定所(ハローワーク)および職業紹介事業者は、求人、求職の申込みはすべて受理しなければならない。ただし、内容が違法であるときもしくは賃金、労働時間その他の労働条件が著しく不適当である場合はその申込みを受理しないことができる。
⑤公共職業安定所(ハローワーク)および職業紹介事業者は、求職者に対しては、その能力に適合する職業を紹介し、求人者に対しては、その雇用条件に適合する求職者を紹介するよう努めなければならない。

■労働者の生活と雇用の安定を図るための「雇用保険法」
労働者が失業した場合、あるいは雇用を継続できなくなった場合、および職業に関する教育訓練を受けた場合、必要な給付を行うことによって労働者の生活や雇用の安定を図ることを目的としているのが雇用保険法です。雇用保険法では、失業や雇用継続期間中の生活の安定を図るための失業等給付の他に、積極的に失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大、労働者の能力開発等を図るための事業を規定しています。また、職業安定行政は、労働力需給システム、特定離職者、特別な配慮を必要とする者などを対象とする法律や、産業別雇用対策、緊急雇用対策、障害者雇用対策、失業対策などの分野別の個別法律によって運用されています。
さらに、職業安定行政における職業指導や職業紹介は、労働者の職業選択の自由と、雇用者の雇い入れの自由を前提として、求職者と求人者の雇用関係の成立を斡旋するものです。職業紹介の一般原則は、職業選択の自由の原則、適格の原則、公益の自由、均等待遇の原則、 中立の原則、労働条件明示の原則、求人受理・求職受理の原則、などとなっています。

■労働者保護のためのその他の法律
労働契約、労働条件、採用、退職などの領域に関連する法律で、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働者災害補償保険法、男女雇用機会均等法などの法律です。労働基準法は労働契約、賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、年少者、就業規則、寄宿舎、監督機関等などにわたって、詳細な規定、規則、指針などが定められています。労働安全衛生法は、労働災害の防止のための危険防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進など、総合的・計画的な対策を進めることによって職場における確保するとともに、快適な職場環境の形成を目的としています。メンタルヘルスの支援の柱となる 「THP: トータル・ヘルス・プロモーション・プラン(従業員の健康保持増進措置)」および「快適職場の形成」の根拠となっている法律です。
(つづく)平林良人

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