実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領  8 |  テクノファ

投稿日:2020年11月7日 更新日:

良いキャリアコンサルタントになるには、まず自己理解が大切です。キャリアコンサルティングの質を高めるためも、自己理解の実践の基本を理解しておく必要があります。
個人が自分のキャリアを選択し、行動していくためには、自身の内的キャリアをしっかりと理解することから実践します。

■自己理解は自身を分析・統合する手続き
アメリカではCareer Development(キャリア開発・形成・発達) のプロセスを、”Who am I ?” “Where am I going ?” “How can I get there ?”という3つの問いに自分で答えを出していくプロセスととらえています。まずは、”Who am I ?”つまり 「私は何者か?」からです。自己の内的な理解、これが自己理解です。
しかし、これらの問いに対する答えを自分1人で出そうとしても、それほど簡単なことではありません。そのため、専門家としての資格を持つキャリアカウンセラーが支援・援助をすることになります。キャリアコンサルティングにおけるキャリアコンサルタントの立場も、基本的には変わらないといえます。
自己理解は、自分自身を分析し、さらにそれを統合するという手続きになります。ここでの分析とはさまざまな角度から自分を見つめ、見えた自分を描写してみることで、統合とは分析から見えてきた自分をもう一度全体として描写し直すことです。そうすることで、それまでは漠然としていた自分の像が明らかになってきます。
アメリカにおいて、もっとも早い時期に職業との関係で個人の特性を概念化したのはスーパーだとされています。スーパーはそれを職業的適合性とし、大きく能力とパーソナリティの2つに分けています。能力はさらに適性と技量に分け、適性を知能、空間知覚化、知能の早さ・正確さ、精神運動機能、未開発のものに分け、技量は学習と技能に分けています。一方のパーソナリティは適応、価値観、興味、態度に分け、適応は欲求と特質に分けています。この分類を基にキャリアガイダンスにおける多くの職業適性、性格、職業興味、価値観、 態度などに関する各種のテスト、チェックリスト、検査、調査が開発されています。

■自己理解の要素とは
人と職業のマッチングに関係する自己理解の要素としては
①潜在的な能力(職業適性など)
②獲得された能力(専門知識、技術、技能など
③受けた教育・訓練
④個人的特性(興味、パーソナリティ、価値観など
⑤余暇活動・その他の活動
⑥個人をめぐる諸条件(労働条件、勤務条件、家族状況、地域的条件など)
などがあります。
E.シャインが提唱した、TF(専門/機能別コンピテンス)、GM(全般管理コンピテンス)、AU(自立/独立)、SS(保障/安定)、EC(起業家的創造性)、SV(奉仕/社会献身)、CH(純粋な挑戦)、LS (生活様式)というキャリア・アンカーの8つのカテゴリーは、Motive、Competence、Valueという3つの要素の複合体であり、キャリア開発・形成の将来指向性を確かめるツールとしては他に類がなく、自身の内的キャリアの手がかりを得る手段として有効なものです。

■自己理解の方法
自己理解の方法としては、観察法、検査法、面接法などがあります。キャリアガイダンスでは、伝統的に各種の検査、調査が利用されています。
1.観察法
観察法には、自然観察法、用具的観察法、実験的観察法があります。自己理解の基本は、まず自分で自分を確かめることですが、それだけで終わってしまうと客観的な自己理解にはなりません。客観性を高めるためには他者からのフイードバックが重要な意味を持ちます。そのため、キャリアコンサルタントの観察はキャリアコンサルタントの主観ができるだけ入らないように配慮しなければなりません。
2.検査法
検査法には、知能検査、適性検査、学力検査などの能力的側面を見るための検査を用いる方法と、性格検査、興味検査、進路適性検査などのパーソナリティの側面を見る検査を用いる方法とがあります。また、いくつかの検査を組み合わせたバッテリー方式があります。コンピューターを使った総合的ガイダンスシステム(CACGS: Computer Assisted Career Guidance System)も開発されています。(労働政策研究・研修機構が開発したキャリア・インサイトなど)
検査を実施する際には、検査の限界を認識しておくこと、目的と対象に応じた信頼性の高い検査を選ぶこと、対象者には検査の目的を理解してもらうこと、結果を拡大解釈しないこと、フィードバックを必ず行うこと、などを留意しなければなりません。
3.面接法
面接法は、進路相談、職業相談、などの面接場面で直接本人から聞き取り、理解する方法です。これは、カウンセリングにおける面接と同じです。
4.測定と評価
心理テストや検査は個人特性を数値という客観的な基準に基づいて記述する手続きを「測定」と呼び、測定された数値が一定の基準に照らしてどの程度の水準にあるかを比較して位置づけるのが、「評価」です。したがって、テストや検査を利用する場合には、そのテストや検査がきちんと統計的な手段を踏んで作成されたものかどうか、標準化を通して客観的な基準で正確に測りたい特性を正しく測定しているかを確認しなければなりません。また、テストや検査は断片的であり、 一時的なものであり、間接的なものであるという短所と限界も十分に留意する必要があります。
(つづく)A.K

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