実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 11 I テクノファ

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キャリアコンサルタントAさんは男性のクライアントBさんから在宅勤務について悩みの相談を受けました。Bさんの会社では、この5月から新型コロナウイルスへの対応としてテレワークが始まったそうです。Bさんの部署では、原則最低週3日は在宅で仕事をするように会社から指示が出たそうです。

Bさんは会社まで毎日片道1時間以上を掛けて通勤をしているそうですが、これは日本のサラリーマンの首都圏における平均通勤時間です。
首都圏の平均的サラリーマンは、平日、朝6:00までには起きていて、7時まで眠っている人はわずか8%しかいないそうです。朝の食事と身のまわりの支度をする時刻のピークは7時で、通勤のため7:30には家を出ます。 運輸省の調査によると、首都圏の通勤時間(片道)は、平均で70分であり、1時間以上の人が過半数を占め、1.5時間以上の人が20%もいるそうです。中京圏と関西圏における片道平均時間も1時間を超えているそうです。首都圏の地価の暴騰は収まりましたが、それでも勤労者の住宅は郊外へ郊外へと遠くなっていて、乗りかえ3回、片道で2時間以上という首都圏の通勤時間は、不動産広告をみても今やふつうのことになってしまっています。

しかも、これらの通勤時間の混雑は、呼吸もできないほど、あるいは立っている足の位置を変えることもできないほどの通勤地獄です。ラッシュ・アワーの電車の中に立っている人のエネルギーの消耗は重労働に匹敵するという報告もあります。
夏、車内で押され押されて汗にまみれた肌と肌とがくっつき合うあの何とも言えない感覚、今年こそソーシャル・デスタンスもあって緩和されましたが、何時かはまた元に戻るのではないかと思います。私は、むかしイギリスで 「プライバシーのひとつは、人の身のまわり半径50センチ以内に立ち入らぬこと」と聞いたことを思い出します。

東海道線、横須賀線、中央線快速、京浜東北線、東北線、常磐線、高崎線、総武線などの上り、および山手線のラッシュ・アワーの混雑率は、ほぼ250%になっているようです。「日本人の豊かさ」についてのアンケート調査によれば、豊かな生活実現に必要な事柄の内、「時間的側面」への回答の上位三つは次の通りでした。
①週休二日制の完全実施
②長期休暇の実施
③通勤時間の短縮

通勤時間の短縮は、労働時間の短縮よりも上位にありますが、これは通勤時間がまったく無意味な時間消耗であり、さらに残業手当も支払われないからだと考えられます。ヨーロッパンの調査によれば、EC20カ国の通勤労働者の70%以上は、自宅から仕事先まで、10キロメートル以内の距離に住んでいるといいます。日本とはちがって、通勤時間が短いうえに、労働時間も短いイギリスでは、2000年の平均労働時間は、週36時間となっていました。日本の当時の実労働時間は43.3時間です。しかも、日本の長い労働時間は、労働時間のカウントのしかたが欧米のそれと違うので、先進国と比較して、実態はさらに長いと思われます。なぜならアメリカや西ドイツの労働時間は、‘年次有給休暇や病気欠勤であっても、有給であれば、支払い労働時間として労働時間に含めているが、日本では休憩時間および手待ち時間さえも除いた実労働時間だからである。

日本では、原則として従業員30人以上の事業所の労働時間を、ILOなどの国際機関に報告し、それを一般化しているのに対して、アメリカ、イギリスは、すべての規模の事業所の労働時間を、西ドイツやフランスは、10人以上の規模の事業所の労働時間を対象にしています。 日本では、すべての企業に長時間労働があるものの、なかでも長いのは、中小企業であるから、それらを除外した労働時間の平均は、実態を反映していないと思います。
Bさんはこのような通勤地獄から解放されて何とも言えないありがたさを感じました。そしてテレワークに2か月(5,6月)勤しみましたが、7月頃から無性に会社へ行きたくなりました。しかし、会社へ行けるのは週2日です。会社へ行くと同僚たちと在宅での問題点、孤独な作業、家族との付合いなど昨年には思ってもみなかった話題に参加します。

Bさんの悩みは一人作業の孤独感です。通勤時間がなくなり最初は体力的にも助かったと思ったのですが、その助かった分が心の淋しさの増加に変わった気がしてならないのです。上司が自分をどのように見ているのかも気になります。与えられた目標が明確でないので、目標を達成したという喜びが湧かないのも心を締め付けます。

キャリアコンサルタントAさんは、まずBさんの話を聞くことに努めました。Bさんの置かれている環境にもしAさんが置かれたらどのように感じるかをいろいろな角度から考えてみました。そして、とりあえず在宅勤務になる前となった後の違いをBさんと一緒に考えてみることにしました。横に誰もいないので仕事に疑問があっても仲間と話が出来ない、仕事後仲間と一緒に飲みに行けない、毎日はっきりとしない成果が自分の評価を低くしてしまうなどが主な悩みでした。
キャリアコンサルタントとしては、最初の2課題はさておき、最後の仕事の評価について出社するときに上司と率直に相談することを勧めました。
(つづく)T.N

-実践編・応用編

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