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キャリアコンサルタント国家試験合格 19 | テクノファ

投稿日:2020年11月19日 更新日:

― 過去問勉強 その1 労働法規 ―

ここまで説明してきたように、国家試験機関「キャリアコンサルティング協議会」は、平成30年3月の厚生労働省の見直しに合わせて「キャリアコンサルタント試験の出題範囲」を改定しました。
新「キャリアコンサルタント試験の出題範囲(キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目)」の適用は、2020年度(令和2)からの試験となっています。
今回は、新「キャリアコンサルタント試験の出題範囲(キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目)」に焦点を合わせて、分野ごとに過去問を中心に勉強をしていきたいと思います。

【過去問勉強 その1】 労働法規(キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目 Ⅱキャリアコンサルティングを行うために必要な知識 6)

6 労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識
次に掲げる労働者の雇用や福祉を取り巻く各種の法律・制度に関し、キャリア形成との関連において、その目的、概念、内容、動向、課題、関係機関等について一般的な知識を有すること。
① 労働関係法規及びこれらに基づく労働政策
ア 労働基準関係
労働基準法、労働契約法、労働時間等設定改善法、労働安全衛生法
イ 女性関係
男女雇用機会均等法、女性活躍推進法、パートタイム労働法(パートタイム・有期雇用労働法)
ウ 育児・介護休業関係
育児・介護休業法
エ 職業安定関係
労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)、職業安定法、若者雇用促進法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法、障害者雇用促進法
オ 職業能力開発関係
職業能力開発促進法
カ その他の労働関係法令

② 年金、社会保険等に関する社会保障制度等
・厚生年金
・国民年金
・労災保険
・雇用保険
・健康保険
・介護保険 等

【問 あ】労働関係法規の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1.労働契約法は、労働契約の基本原理を定める法令であるから、地方公務員にも適用される。
2.労働契約法では、使用者は期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ期間満了までの間、労働者を解雇することができないと規定されている。
3.労働基準法では、使用者は労働者に休憩時間を除き一週間について40時間を超えて労働させてはならないと規定され、例外はない。
4.労働基準法では、使用者は労働者を解雇しようとする場合においては少なくとも30日前にその予告をしなければならないと規定され、例外はない。

【正解 2】

【解説 】
1.労働契約法は、その第21条(以下参照)で「国家公務員及び地方公務員については、適用しない」と規定している。
2.正解。やむを得ない場合とは、天変地異、自然災害の場合である。第17条参照。
3.労働基準法は、その第36条で労使協定の下40時間の原則を超える例外を規定している。
4.労働基準法第20条を参照すること。やはり、天変地異、自然災害の場合について例外規定がある。

過去問ではいろいろな法律の理解がキャリアコンサルタントに問われます。キャリアコンサルタントが法律を理解するには、まず(目的)又はそれに準じる第1条を読んでおくことが必要です。併せて、第2条以下の概要を把握しておきましょう。
この問いに、キャリアコンサルタントは労働契約法と労働基準法を勉強する必要があります。

【労働契約法】
(目的)
第一条 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。

(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

(労働契約の内容の理解の促進)
第四条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。

(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

(労働契約の成立)
第六条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

(労働契約の内容の変更)
第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、就業規則より低い労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。

(出向)
第十四条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

(懲戒)
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

(契約期間中の解雇等)
第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第十八条 有期労働契約の契約期間を通算した期間が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。

(有期労働契約の更新等)
第十九条 有期労働契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

(船員に関する特例)
第二十条 第十二条及び前章の規定は、船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。

(適用除外)
第二十一条 この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。
(つづく)平林良人

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