実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 12 I テクノファ

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キャリアコンサルタントの知識の実践

前回までは、キャリアコンサルタント基礎編・理論編としてカウンセリングの基本を説明してきましたが、今回はジャンルを変え、キャリアコンサルタント実践編・応用編としてアサーション、グループワークなどカウンセリングの基礎的スキルに関して説明をします。

■アサーション
キャリアコンサルティングの相談において、キャリアコンサルタントは的確なフイードバックができることに加えて、適切な助言や提言ができることも求められる場合があります。そのためには、積極的傾聴のスキルに加えてアサーションも必要となります。

アサーションとは、アサーティブの動詞ですが、いわゆる日本語の自己主張とは違います。「自分のことを大切にしながら同時に相手のことも大切にして、自分の気持ち、意見、信念などをその場に合った適切な方法で正直に、率直に表現する」ことです。相談場面においては、相手が伝えようとすることを正確に受信することができ、自分が伝えたいことを正確に伝えることができることを求められます。積極的傾聴が相手のメッセージを的確に受信することであるとするなら、アサーションは自分のメッセージを的確に発信することです。

しかも、アサーションは単なるスキルではありません。自分の「在りよう」が問われます。つまり、アサーティブな言動ができるためには、自分自身に対してアサーティブであることが前提になるからです。そのためには、アサーションの理論を学び、実技の訓練を受けることが求められます。理論を学ばず、正式な訓練も受けず、単なる経験だけではキャリアコンサルタントとして適切に相談を実施することはできません。

■グループワーク
 キャリアコンサルタントが効果的に活動するためには、先に説明したグループアプローチを活用する意義、有効性、進め方の留意点等について理解し、グループ運営ができることが求められます。
なぜグループアプローチの知識とスキルが求められるのでしょうか。すでに説明したように、進路指導、職業選択などにおけるキャリアコンサルタントの活動は、1対1の個別面接だけでは限界があります。また、学校におけるキャリア教育が十分に行われていない日本では、キャリアコンサルタントは社会人に対してもキャリア教育を実施する必要があります。いくつかの企業において実施されているキャリア研修あるいはキャリア開発のためのワークショップなどは、その実践例でもあります。

しかしながら、企業におけるキャリア教育が個人主導ではなく会社主導である場合(本人のためではなく会社のためである場合)には、歪んだキャリア自覚を形成することになり、結果的に組織にとっても個人にとっても悪影響を及ぼすことになります。本来のキャリア研修やキャリア開発のためのワークショップは、キャリア教育として位置づけられて実施されなければなりません。そうすることによって、個人と組織の新たな共生、すなわちWIN:WINの関係構築が実現することをキャリアコンサルタントは知っていなければなりません。

そのためには、キャリア開発・形成の持つ意味を正しく理解しているキャリアコンサルタントがグループアプローチを学び、研修やワークショップが効果的なグループワークとなるように運営・実施できることが望まれます。キャリアコンサルタントがグループアプローチについての基礎的な知識とスキルが求められる所以はここにあります。
グループアプローチのねらいと実践について説明します。
①グループアプローチのねらい
グループアプローチのねらいは、単に情報を交換したり情報を共有することだけではなく、メンバー同士が話し合いを通して理解しあい、助けあい、成長しあうことにあります。したがって、グループは学びの場でもあり、気づきの場でもあります。

②グループアプローチの実践方法
カウンセリングを受けていない人が実際にはカウンセリングを理解できないのと同じように、グループアプローチもまた実際にグルー プ体験をしなければ理解することはできません。
グループが持っているダイナミックスを理論として理解しても、実際の場面で起こっていることを的確に把握し、的確に対応できなければ役に立ちません。カウンセラーを目指す人が、何十回、何百回という面接訓練を受けるのと同じように、グループアプローチを学ぶためには何度もグループに参加しなければなりません。その際には、キャリアコンサルタントは同じ種類のグループではなく、さまざまな種類のグループに参加することをお薦めします。1日だけのグループ体験をするプログラムから、ベーシック・エンカウンター・グループ、リーダーレス・グループ、 構成的グループ・エンカウンター、あるいはラボラトリー・トレーニングなど、さまざまなグループに参加することにより、メンバーの違い、場の違い、あるいはファシリテーターやトレーナーの違いからくるダイナミックスを経験することができます。場合によってはメンバーが同じでも違うプロセスが生まれることもあります。

③ファシリテーターとして関わるときの注意点
ちなみに、グループに対してファシリテーターとして関わる際に、キャリアコンサルタントは次にあげたような点に留意しなければなりません。

・その場に臨む心構え
①主体的にその場に存在していること
②自分自身を「そのグループによって利用される柔軟性のある資源である」とみなしていること
③参加者1人ひとりの可能性を信じることができる(参加者を信頼し、尊重する)こと
④柔軟性と決断する勇気があること
⑤必要に応じて自己開示ができること
⑥自分の発言・行動に責任を持つこと
⑦参加者に対し公平に接すること

・対応するときの態度
⑧理解したことを伝達するよう努力すること
⑨メンバーのさまざまな表明に応答する場合、知的な内容と情動的な態度との両者を受容すること
⑩深い感情を示す表現に敏感であり、発言者の見地からそれらを理解すること
⑪メンバーの相互作用が情動を帯びたものとなるとき、中立的に理解する役割を維持するようにすること
⑫グループのプロセスへの介入を理解し、必要に応じて実行できること
⑬必要と思われる状況では、対決を恐れず毅然とした態度で行動すること
⑭自分の進め方にこだわらず、状況に柔軟に対応すること

このように、グループアプローチのねらいを理解し実践してグループの持つ力を活用することができることも標準レベルのキャリアコンサルタントと熟練レベルのキャリアコンサルタントの違いということができるでしょう。
(つづく)A.K

-実践編・応用編

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