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キャリアコンサルタント国家試験合格  21-2  I  テクノファ

投稿日:2020年12月4日 更新日:

ここまで説明してきたように、国家試験機関「キャリアコンサルティング協議会」は、平成30年3月の厚生労働省の見直しに合わせて「キャリアコンサルタント試験の出題範囲」を改定しました。
新「キャリアコンサルタント試験の出題範囲(キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目)」の適用は、2020年度(令和2)からの試験となっています。

過去問ではいろいろな法律の理解が問われます。キャリアコンサルタントが法律を理解するには、まず(目的)第1条又はそれに準じる条文を読んでおくことが必要です。併せて、第2条以下の概要を把握しておきましょう。

【問 う】
労働保険、社会保険に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1.労働者災害補償保険は、業務災害と二次健康診断等給付のみを給付対象としている。
2.雇用保険は、失業に対する給付のみを対象としている。
3.健康保険は、傷病に対する給付だけでなく、出産、死亡に関する給付も行っている。
4.厚生年金保険は、日本国内に住所を有する20歳以上の者のみが加入する。

【正解 3】

【解説】
1.誤り。保険の給付の対象は、労働者災害補償保険法第7条にその規定がある。その給付対象は、①労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(「業務災害」 という。)に関する給付、②労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(「通勤災害」という。)に関する給付、③二次健康診断等給付、となっている。
2.雇用保険法では、第十条に、失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付とする、と規定されている。
また、求職者給付には基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当があり、雇用継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金がある。
3.正解(52条)
4.誤り。厚生年金保険法では、20歳未満の者であっても被保険者となる。(9条で70歳未満)

この問には、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法が出てきます。

前回は労災保険法を勉強しましたので、キャリアコンサルタントを目指す方はここでは雇用保険法を勉強します。

【雇用保険】
(目的)
第一条 雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。

(管掌)
第二条 雇用保険は、政府が管掌する。

(定義)
第四条 この法律において「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。

(適用事業)
第五条 この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。

(適用除外)
第六条 次に掲げる者については、この法律は、適用しない。
一 一週間の所定労働時間が二十時間未満である者
三 季節的に雇用される者
四 学校の学生又は生徒
五 船員
六 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき者

(被保険者に関する届出)
第七条 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する労働者に関し、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者となったこと、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなったことその他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

(確認の請求)
第八条 被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、次条の規定による確認を請求することができる。

(失業等給付)
第十条 失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付とする。
2 求職者給付は、次のとおりとする。
一 基本手当
二 技能習得手当
三 寄宿手当
四 傷病手当

4 就職促進給付は、次のとおりとする。
一 就業促進手当
二 移転費
三 求職活動支援費

5 教育訓練給付は、教育訓練給付金とする。
6 雇用継続給付は、次のとおりとする。

(就職への努力)
第十条の二 求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない。

(未支給の失業等給付)
第十条の三 失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹で死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。

(基本手当の受給資格)
第十三条 基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前二年間に規定による被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに、この款の定めるところにより、支給する。

(失業の認定)
第十五条 基本手当は、受給資格を有する者が失業している日について支給する。

(基本手当の日額)
第十六条 基本手当の日額は、賃金日額に百分の五十を乗じて得た金額とする。

(基本手当の日額の算定に用いる賃金日額の範囲等の自動的変更)
第十八条 厚生労働大臣は、年度の平均給与額の上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の八月一日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。

(基本手当の減額)
第十九条 受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合には、その額を控除して支給する。

(支給の期間及び日数)
第二十条 基本手当は、当該期間内に妊娠、出産、育児その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日以上職業に就くことができない者は、当該理由により職業に就くことができない日数を加算する。その加算された期間が四年を超えるときは、四年とする。

(待期)
第二十一条 基本手当は、失業している日が通算して七日に満たない間は、支給しない。

(所定給付日数)
第二十二条 基本手当を支給する日数は、次の各号に掲げる受給資格者の区分に応じ、当該各号に定める日数とする。
一 算定基礎期間が二十年以上である受給資格者 百五十日
二 算定基礎期間が十年以上二十年未満である受給資格者 百二十日
三 算定基礎期間が十年未満である受給資格者 九十日

第二十三条 特定受給資格者は、次の各号に掲げる当該特定受給資格者の区分に応じ、当該各号に定める日数とする。

(訓練延長給付)
第二十四条 受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合には、所定給付日数を超えてその者に基本手当を支給することができる。

(個別延長給付)
第二十四条の二 公共職業安定所長が厚生労働省令で定める基準に照らして再就職を促進するために必要な職業指導を行うことが適当であると認めたものについては、所定給付日数を超えて基本手当を支給することができる。

(広域延長給付)
第二十五条 厚生労働大臣は、その地域における雇用に関する状況等から判断して、その地域内に居住する求職者がその地域において職業に就くことが困難であると認める地域について、所定給付日数を超えて基本手当を支給する措置を決定することができる。

(全国延長給付)
第二十七条 厚生労働大臣は、失業の状況が全国的に著しく悪化し、受給資格者の就職状況からみて必要があると認めるときは、所定給付日数を超えて受給資格者に基本手当を支給する措置を決定することができる。

(支給方法及び支給期日)
第三十条 基本手当は、厚生労働省令で定めるところにより、四週間に一回、失業の認定を受けた日分を支給するものとする。

(給付制限)
第三十二条 受給資格者が、公共職業安定所の紹介する職業に就くことを正当な理由なしに拒んだときは、その拒んだ日から起算して一箇月間は、基本手当を支給しない。

第三十三条 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。

第三十六条 技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給する。

第三十七条 傷病手当は、受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした後において、疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、相当する日数分を限度として支給する。

(高年齢被保険者)
第三十七条の二 六十五歳以上の被保険者が失業した場合には、高年齢求職者給付金を支給する。

(高年齢求職者給付金)
第三十七条の四 高年齢求職者給付金の額は、基本手当の日額に、算定基礎期間の区分に応じ額とする。

(短期雇用特例被保険者)
第三十八条 被保険者であって、季節的に雇用されるもののうち次の各号のいずれにも該当しない者(略)が失業した場合には、特例一時金を支給する。

(公共職業訓練等を受ける場合)
第四十一条 特例受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合には、求職者給付を支給する。

(日雇労働者)
第四十二条 この節において日雇労働者とは、次のものをいう。
一 日々雇用される者
二 三十日以内の期間を定めて雇用される者

(日雇労働被保険者)
第四十三条 被保険者である日雇労働者が失業した場合には、定めるところにより、日雇労働求職者給付金を支給する。

(日雇労働被保険者手帳)
第四十四条 日雇労働被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所において、日雇労働被保険者手帳の交付を受けなければならない。

(日雇労働求職者給付金の支給方法等)
第五十一条 日雇労働求職者給付金は、公共職業安定所において、失業の認定を行った日に支給するものとする。

(就業促進手当)
第五十六条の三 就業促進手当は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、公共職業安定所長が厚生労働省令で定める基準に従って必要があると認めたときに、支給する。

(就業促進手当の支給を受けた場合の特例)
第五十七条 当該特定就業促進手当受給者の基本手当の受給期間は、規定による期間に当該超える期間を加えた期間とする。

(移転費)
第五十八条 移転費は、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合において、支給する。

(求職活動支援費)
第五十九条 求職活動支援費は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従って必要があると認めたときに、支給する。
一 公共職業安定所の紹介による広範囲の地域にわたる求職活動
二 公共職業安定所の職業指導に従って行う職業に関する教育訓練の受講その他の活動
三 求職活動を容易にするための役務の利用

(教育訓練給付金)
第六十条の二 教育訓練給付金は、厚生労働省令で定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合において、支給要件期間が三年以上であるときに、支給する。

(高年齢雇用継続基本給付金)
第六十一条 高年齢雇用継続基本給付金は、当該被保険者が六十歳に達した日の賃金日額が相当する額を下まわった場合に、当該支給対象月について支給する。

(高年齢再就職給付金)
第六十一条の二 高年齢再就職給付金は、受給資格者が六十歳に達した日以後安定した職業に就くことにより被保険者となった場合において、支払われた賃金の額が、相当する額を下まわったときに、当該再就職後の支給対象月について支給する。

(介護休業給付金)
第六十一条の四 介護休業給付金は、被保険者が対象家族を介護するための休業した場合において、当該介護休業した場合にみなし被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに、支給単位期間について支給する。

(育児休業給付金)
第六十一条の七 育児休業給付金は、被保険者がその一歳に満たない子を養育するための休業をした場合において、みなし被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに、支給単位期間について支給する。

(能力開発事業)
第六十三条 政府は、被保険者等に関し、職業生活の全期間を通じて、これらの者の能力を開発し、及び向上させることを促進するため、能力開発事業として、次の事業を行うことができる。

第六十四条 政府は、被保険者であつた者及び被保険者になろうとする者の就職に必要な能力を開発し、及び向上させるため、規定する認定職業訓練を行う者に対して、職業訓練受講給付金を支給することができる。
(つづく)平林良人

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