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キャリアコンサルタント国家試験合格  21-3 I  テクノファ

投稿日:2020年12月6日 更新日:

国家試験機関「キャリアコンサルティング協議会」は、平成30年3月の厚生労働省の見直しに合わせて「キャリアコンサルタント試験の出題範囲」を改定しました。
新「キャリアコンサルタント試験の出題範囲(キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目)」の適用は、2020年度(令和2)からの試験となっています。

過去問ではいろいろな法律の理解が問われます。キャリアコンサルタントを目指す方は、法律を理解するにまず(目的)第1条又はそれに準じる条文を読んでおくことが必要です。併せて、第2条以下の概要を把握しておきましょう。

【問 う】
労働保険、社会保険に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1.労働者災害補償保険は、業務災害と二次健康診断等給付のみを給付対象としている。
2.雇用保険は、失業に対する給付のみを対象としている。
3.健康保険は、傷病に対する給付だけでなく、出産、死亡に関する給付も行っている。
4.厚生年金保険は、日本国内に住所を有する20歳以上の者のみが加入する。

【正解 3】

【解説】
1.誤り。保険の給付の対象は、労働者災害補償保険法第7条にその規定がある。その給付対象は、①労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(「業務災害」 という。)に関する給付、②労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(「通勤災害」という。)に関する給付、③二次健康診断等給付、となっている。
2.雇用保険法では、第十条に、失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付とする、と規定されている。
また、求職者給付には基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当があり、雇用継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金がある。
3.正解(52条)
4.誤り。厚生年金保険法では、20歳未満の者であっても被保険者となる。(9条で70歳未満)

この問には、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法が出てきます。

前回までに労災保険法、雇用保険法を勉強しましたので、キャリアコンサルタントを目指す方はここでは健康保険法を勉強します。

【健康保険法】
(目的)
第一条 この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

(基本的理念)
第二条 健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。

(定義)
第三条 この法律において「被保険者」とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は、日雇特例被保険者となる場合を除き、被保険者となることができない。(次の各号のいずれかに該当する者は略)

(保険者)
第四条 健康保険の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合とする。

(組合管掌健康保険)
第六条 健康保険組合は、その組合員である被保険者の保険を管掌する。

(設立及び業務)
第七条の二 健康保険組合の組合員でない被保険者に係る健康保険事業を行うため、全国健康保険協会を設ける。

(定款)
第七条の六 協会は、定款をもって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 役員に関する事項
五 運営委員会に関する事項
六 評議会に関する事項
七 保健事業に関する事項
八 福祉事業に関する事項
九 資産の管理その他財務に関する事項
十 その他組織及び業務に関する重要事項として厚生労働省令で定める事項

(組織)
第八条 健康保険組合は、適用事業所の事業主、その適用事業所に使用される被保険者及び任意継続被保険者をもって組織する。

(設立)
第十一条 事業主は、当該一又は二以上の適用事業所について、健康保険組合を設立することができる。

第十二条 適用事業所の事業主は、健康保険組合を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の二分の一以上の同意を得て、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

(規約)
第十六条 健康保険組合は、規約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 名称
二 事務所の所在地
三 健康保険組合の設立に係る適用事業所の名称及び所在地
四 組合会に関する事項
五 役員に関する事項
六 組合員に関する事項
七 保険料に関する事項
八 準備金その他の財産の管理に関する事項
九 公告に関する事項
十 前各号に掲げる事項のほか、厚生労働省令で定める事項

(組合員)
第十七条 健康保険組合が設立された適用事業所の事業主及びその設立事業所に使用される被保険者は、当該健康保険組合の組合員とする。

(組合会)
第十八条 健康保険組合に、組合会を置く。

(指定健康保険組合による健全化計画の作成)
第二十八条 健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたものは、政令で定めるところにより、その財政の健全化に関する計画を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

(資格取得の時期)
第三十五条 被保険者は、適用事業所に使用されるに至った日から被保険者の資格を取得する。

(資格喪失の時期)
第三十六条 被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日から、被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 その事業所に使用されなくなったとき。

(任意継続被保険者)
第三十七条 申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。

(任意継続被保険者の資格喪失)
第三十八条 任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日から、その資格を喪失する。
一 任意継続被保険者となった日から起算して二年を経過したとき。
二 死亡したとき。

(保険給付の種類)
第五十二条
保険給付の種類には、療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費及び移送費、傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費及び家族移送費、家族埋葬料、家族出産育児一時金、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給がある。

(つづく)平林良人

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