実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 17 I テクノファ

投稿日:2020年12月8日 更新日:

このシリーズではテクノファのキャリアコンサルタント養成講座を卒業された方のキャリアコンサルティング実践についてお伝えします。今回お伝えするのはキャリアカウンセラーとして活躍している「キャリアコンサルタント」のM.Iさんです。

初めまして。
キャリアコンサルタントのM.Iです。

私が住んでいるところは、砂蒸し温泉と一年で一番初めに開催される「いぶすき菜の花マラソン大会」が名物の観光地です。私は菜の花マラソンでは毎年大会ホームページの運営ボランティアとして参加しています。
先日の大会でも雨の中、スタートやゴールの様子を写真撮影し、ランナーの応援もしました。撮影しながらゴールで声をかけながら、自分で決めた目標を目指して、ひたすらに走り続ける姿に人の素晴らしさ、強さを感じ感動しました。

私は現在、地元の大学でキャリア科目の授業を担当し、学生の就職活動や進路決定においてどのように考え、どう自己決定していくかについての支援をしています。
学生たちの就職は依然厳しい状況が続いており、学生たちの将来に対する不安も大きくなっています。
一方で自分の進路を決定していく上で、自分の「働く意味」や「どう生きていくのか」といった視点を持てず、労働条件や企業規模など、外的なものに偏っていることが、キャリアに関わるものとして気になっています。
他に、キャリア開発支援の一環として、厚生労働省の事業である『キャリア健診』や企業における従業員のキャリア・カウンセリングや研修なども担当させていただいています。
いずれの場面でも内的キャリアに焦点をあて、「人々が働くことを通じて自分らしい生き方を実現できる」ように努力しているところです。
このメルマガを通じてキャリア開発の現場での出来事や、キャリアコンサルタントとして日々私が感じていることをお伝えできればと思います。どうぞよろしくお願いします。

ここでは小澤先生の講演「不確実な社会を生き抜くキャリア開発」―地球環境が大きく変わっている現代で、私たち一人一人が生きていくこととは?―についてお話ししたいと思います。

人口の爆発的な増加、食糧問題、環境汚染、経済競争の激化、民族紛争等々、日本では少子高齢化社会が進み、2050年には人口1億人を割ると見られています。今私たちを取り巻く環境は、今まで経験のない、新たな問題を抱えています。少子高齢化が進み、人生50年だったものが人生80年になると、仕事をしている期間は50年にもなります。働き方も、正社員が当たり前だった昔から、1990年代中盤以降、企業はリストラや新卒社員の採用抑制により、人員のスリム化を進めてきています。
その一方で、派遣社員やパート、アルバイト、嘱託社員などの非正規雇用者が社員の減少を補うように増加してきて、今日ではさまざまな雇用形態の人が同じオフィス内にいることは珍しくなくなっています。また、生活保護の水準以下の収入しか得られないワーキングプアの問題も深刻な問題になりつつあります。

いまや先人の教えによるだけでは解決できないことや歴史から学ぶだけでは到底足りないことが、広がり始めています。未来が予測できない「不確実な時代」だからこそ、「個を確立する」ということが重要になってきています。和を尊ぶ日本人にとっては、個を確立することは難しいことでもあります。
それは、生き方であり、生きる意味であり、哲学であったり、内的キャリアの自覚であったりします。それらが自分にとって明確になることで、自分自身が成長できたり、心身の健康を取り戻したり、ストレスへの耐性が増してくるのです。

そこで、自分自身が何を目指しているのか、自分自身がどうなりたいのか、「キャリア開発」というものが重要になってくるのです。キャリアコンサルタントの皆さんも頑張ってください。
(つづく)M.I

-実践編・応用編

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