国家試験

キャリアコンサルタント国家試験合格 23‐2 I  テクノファ

投稿日:

― 過去問勉強 その5 各種答申 ―
国家試験機関「キャリアコンサルティング協議会」は、平成30年3月の厚生労働省の見直しに合わせて「キャリアコンサルタント試験の出題範囲」を改定しました。
新「キャリアコンサルタント試験の出題範囲(キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目)」の適用は、2020年度(令和2)からの試験となっています。

今回からは、新「キャリアコンサルタント試験の出題範囲(キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目)」に焦点を合わせて、分野ごとに過去問を中心に勉強をしていきたいと思います。

今回の分野は各種答申です。問題の出題箇所になっている、中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」について、キャリアコンサルタントを目指す方は勉強すると良いと思います。

【問 お】中央教育審議会の答申「今後の学校におけるキャリア教育・ 職業教育の在り方について」(平成23年1月)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育が「職業教育」である。
2.一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育が「キャリア教育」である。
3.小学校でキャリア教育を行うことは時期尚早であり、不適切な取り組みである。
4.基礎的・汎用的能力とは、①人間関係形成・社会形成能力、②自己理解・自己管理能力、③課題対応能力、④キャリアプランニング能力、の4つに整理できる。

【正解】4

【解説】
1.不適切
文章はキャリア教育ついての記述で職業教育についてではない。答申によれば、キャリア教育とは、一人-人の社会的・職業的自立に必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育で、特定の活動や指導方法に限定されるものではなく、様々な教育活動を通して実践されるものであり、一人一人の発達や社会人・職業人としての自立を促す視点から、学校教育を構成していくための理念と方向性を示すもの。
2.不適切
文章は職業教育についての記述でキャリア教育についてではない。答申によれば、職業教育とは、一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育。専門的な知識・技能の育成は、学校教育のみで完成するものではなく、生涯学習の観点を踏まえた教育の在り方を考える必要がある。また、社会が大きく変化する時代においては、特定の専門的な知識・技能の育成とともに、多様な職業に対応し得る、社会的・職業的自立に向けて必要な基となる能力や態度の育成も重要であり、具体の職業に関する教育を通して育成していくことが有効。
3.不適切
答申によれば、キャリアは、子ども・若者の発達の段階やその発達課題の達成と深くかかわりながら、段階を追って発達していくものであり、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度は、このような発達の段階を踏まえながら、育てていくことが必要である。このため、キャリア教育は幼児期の教育や義務教育の段階から取り組んでいくことが必要であり、各学校段階の取組を考えていくことが重要である。
4.最も適切
答申によれば、キャリア教育と職業教育の方向性を考える上での重要な視点として、社会的・職業的自立や社会・職業への円滑な移行に必要な力を明確にすることとし、以下の5つを上げている。
◆基礎的・基本的な知識・技能
◆基礎的・汎用的能力
◆論理的思考力、創造力
◆意欲・態度及び価値観
◆専門的な知識・技能
その中の◆基礎的・汎用的能力を
-人間関係形成・社会形成能力、
-自己理解・自己管理能力、
-課題対応能力、
-キャリアプランニング能力
の4つに整理している。

【中央教育審議会 答申】
・キャリア教育とは、一人-人の社会的・職業的自立に必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育。キャリア教育は、特定の活動や指導方法に限定されるものではなく、様々な教育活動を通して実践されるものであり、一人一人の発達や社会人・職業人としての自立を促す視点から、学校教育を構成していくための理念と方向性を示すもの。

・職業教育とは、一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育。
専門的な知識・技能の育成は、学校教育のみで完成するものではなく、生涯学習の観点を踏まえた教育の在り方を考える必要がある。また、社会が大きく変化する時代においては、特定の専門的な知識・技能の育成とともに、多様な職業に対応し得る社会的・職業的自立に向けて必要な基となる能力や態度の育成も重要であり、具体の職業に関する教育を通して育成していくことが有効。

・キャリア教育と職業教育の基本的方向性。
①幼児期の教育から高等教育まで体系的にキャリア教育を進めること。中心として、基礎的汎用的能力を確実に育成するとともに、社会.職業との関連を重視し、実践的・体験的な活動を充実する。
②学校における職業教育は、基礎的な知識・技能やそれらを活用する能力、仕事への意欲や態度を育成し、専門分野や関連する分野に応用・発展可能な広がりを持つものであること。職業教育においては実践性を重視すること。
③学校は、生涯にわたり社会人・職業人としてのキャリア形成を支援していく機能の充実を図ること。

・キャリア教育と職業教育の方向性を考える上での重要な視点。
①仕事をすることの意義、幅広い視点から職業の範囲を考えさせる指導を行う。
②社会的・職業的自立や社会・職業への円滑な移行に必要な次の5つの能力を明確にする

◆基礎的・基本的な知識・技能
社会に出て生活し、仕事をする上でも極めて重要な要素。
◆基礎的・汎用的能力
人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力
社会人・職業人に必要な基礎的能力と学校教育で育成する能力との接点を確認し、キャリア教育の視点に取り込むことは、意義がある。具体的内容は、次の③で述べる。
◆論理的思考力、創造力
基礎的な知識・技能や専門的な知識・技能の育成と相互に関連させながら育成することが必要。
◆意欲・態度及び価値観
意欲・態度は、特に初等中等教育の中では重要な課題である、社会で仕事に取り組み、具体的に行動する際に極めて重要な要素で、両者は密接に関連している。
価値観は、勤労観・職業観も含むが能力の育成を通じて、個人の中で時間をかけて形成・確立していく必要がある。
◆専門的な知識・技能
将来の仕事を展望して必要になる専門的知識・技能の育成は重要である。従来企業内教育・訓練での育成が中心だったが、学校教育の中での育成が重要であり、この観点から職業教育の在り方を見直し、充実していく必要がある。

③ 基礎的・汎用的能力
「仕事に就く」という行動をとった際に表れる、人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力の4つで、独立したものではなく、相互に関連・依存した関係にあるが順序があるものではなく、全員に同じ程度に身に付けることを求めるものではない。
学校においては、この4つの能力を参考にしつつ、個々の課題に沿って実際の能力を設定、工夫された教育による達成が望まれる。
・人間関係形成・社会形成能力
多様な他者の考えや立場を理解し意見も聴き、他者に自分の考えを正確に伝えるとともに、自分の置かれた状況を受け止め、役割を果たしつつ協力・協働して社会に参画し、今後の社会を積極的に形成することができる力。
・自己理解・自己管理能力
自分ができること、意義を感じること、したいことについて、社会と相互関係を保ちつつ、自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき主体的に行動すると同時に、自らの思考や感情を律しながら、今後の成長のために進んで学ぼうとする力。キャリア形成や人間関係形成における基盤となるもの、とりわけ自己理解能力は、生涯にわたり多様なキャリアを形成する過程で常に深めていく必要がある。
・課題対応能力
仕事上の様々な課題を発見・分析し、適切に計画を立てて課題を処理し、解決することができる力。
・キャリアプランニング能力
働くことの意義を理解し、自らが果たすべき様々な立場や役割に関連して働くことを位置付け、多様な生き方から生じる様々な情報を適切に取捨選択・活用し、主体的に判断してキャリアを形成していく力。

・各学校段階におけるキャリア教育のポイント
◇幼児期 自発的・主体的な活動を促す。
◇小学校 社会性、自主性・自立性、関心
・意欲等を養う。
◇中学校 自らの役割や将来の生き方・働き方等を考えさせ、目標を立て計画的に取り組む態度を育成し、進路の選択・決定に導く。
◇後期中等教育 生涯にわたる多様なキャリア形成に必要な能力や態度を育成し、勤労観・職業観等の価値観を自ら形成・確立する。
◇特別支援教育 個々の障害の状態に応じたきめ細かい指導・支援の下で行う。
◇高等教育 学校から社会・職業への移行を見据え、教育課程の内外での学習 や活動を通じ、高等教育全般で充実する。

キャリア形成は一生続くのでそれに必要な力の基盤を学校で作り、社会に出た後も伸長していかなければならない。学校教育においては、基本的な知識・技能や専門的な知識・技能とともに、どのような状況下でも、社会に適応したり、置かれた状況を打破しながら、能力を発揮できる力をつける必要がある。社会的・職業的自立に必要な基盤となる能力、態度を育成することが重要である。
キャリアは、子ども・若者の発達の段階やその発達課題の達成と深くかかわりながら、段階を追って発達していくものであり、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度は、このような発達の段階を踏まえながら、育てていくことが必要である。このため、キャリア教育は幼児期の教育や義務教育の段階から取り組んでいくことが必要であり、各学校段階の取組を考えていくことが重要である。

・キャリア教育・職業教育の充実のための様々な連携
キャリア教育は、一人一人の生き方にかかわり、自己と働くこととの関係付けや価値付けを支援する教育であり、キャリア形成には、一人一人の成長・発達の過程における様々な経験や人との触れ合いなどが総合的にかかわってくる。
キャリア教育には、学校が家庭や地域・社会、企業、経済団体・職能団体などと連携することが不可欠であり、また地域の企業等と連携した職業教育の充実には、地方公共団体等の積極的な対応が求められる。
教員が社会に存在する多くの仕事について実感を持って子供に指導することは困難な場合があるが、地域・社会には、社会人・職業人としての知識や経験の豊富な者がおり、学校の教育活動に参画を得ることが不可欠である。また産業界等と、学校、行政の連携・協力も重要である。
国においては、厚生労働省や、民間主体の組織、経済産業省等の関係府省間での連携・協力を図ることが必要である。
(つづく)A.K

-国家試験

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント国家試験合格 140 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、厚生労働省の職業能力評価の施策を説明していますが、今回は技能検定制度について、前回の続きから説明します。 〇受検資格 受検資格は受検する職種での仕事の経験年数(実務経験年数)によって受検できる等級が異なります。 ・特級 1級合格後5年以上 ・1級 7年以上 ・2級 2年以上 ・3級 検定職種に関し実務の経験を有する者 ・単一等級 3年以上 技能検定合格者には、厚生労働大臣名(特級、1級、単一等級)または都道府県知事(2級、3級)の合格証書、技能士章が交付され、技能士と称することができます。 技能検定の …

キャリアコンサルタント国家試験合格 120 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は厚生労働省が運営する職業情報提供サイト(日本版O-NET)からキャリアコンサルタントが知っておくと良い知識について説明します。今回は厚生労働省編職業分類について説明します。 ハローワークインターネットサービスのサイト https://www.hellowork.mhlw.go.jp/info/mhlw_job_exposition.html より説明します。 厚生労働省編職業分類は、職務の類似性、及び公共職業安定機関における求人・求職の取扱件数などに基づいて、それぞれの職業に対し …

キャリアコンサルタント国家試験合格 50 | テクノファ

今回は働き方改革関連法により改正された労働法関係の法律の改正項目を、キャリアコンサルタントが知っていた方がよいという観点から法律毎に回を分けて説明します。 キャリアコンサルタントのキャリアコンサルティング業務に係る働き方改革で、働き方改革関連法で改正された「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の改正項目を説明します。 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(題名改正、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律) 改正項目題名が、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律に改正された。 短時間・有期雇用労働に対する基本的理念が新設された。 短時間労 …

キャリアコンサルタント検定試験 I テクノファ

キャリア開発・形成の支援活動であるキャリアコンサルティングに関しては、国家資格キャリアコンサルタントと、国家検定キャリアコンサルティング技能検定1級・2級があり、キャリアコンサルティング技能検定はキャリアコンサルタントの上位に位置付けられます。キャリアコンサルタントは国家資格となり、名称独占となったため「キャリアコンサルタント」を名乗るにはキャリアコンサルタント試験に合格、資格取得後に登録が必要です。キャリアコンサルティング技能検定に合格すればキャリアコンサルティング技能士の称号が付与されます。キャリアコンサルティング技能士の他に、登録すれば「キャリアコンサルタントを名乗ることができます。 キ …

キャリアコンサルタント国家試験合格 118 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は厚生労働省が運営する職業情報提供サイト(日本版O-NET)からキャリアコンサルタントが知っておくと良い知識について説明します。 厚生労働省のサイト https://shigoto.mhlw.go.jp/User/ より説明します。 職業情報提供サイト(日本版O-NET)は、米国労働省が1998年から公開している職業情報データベース(O*NET)、ならびに2000年から運営する職業情報サイト(O*NET OnLine)を基に命名しています。 職業情報提供サイト(日本版O-NET)は …

2022年6月
« 5月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930