基礎編・理論編

キャリアコンサルティングとキャリアカウンセリング 9 I テクノファ

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キャリアコンサルタントとスーパービジョン
キャリアコンサルティング(以下、CC)におけるスーパービジョンは、古くは2006年3月中央職業能力開発協会の「CC実施のために必要な能力体系等の見直しに係る調査研究」において示されたCC能力体系四大項目のうちのⅣ「CCの包括的な推進・効果的実施に係る能力」の一つ「自己研鑽・スーパービジョン(以下、SV)」として取り上げられています。ここでのSVは次のように記されています。「SVの意義、目的、方法等を十分に理解し、スーパーバイザーから定期的に実践的助言・指導(SV)を受けることの必要性を認識していること。また、SVを受けるために必要な逐語録等の相談記録を整理することができること。」
最近では、2018年3月に公開されたキャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会による「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」で「キャリアコンサルタントの継続的な学び・能力レベルアップには、更新講習職務経験 や事例指導(SVを含む)の充実が当然必要であるが、、、」との記述がみられます。また、同報告書の「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し概要」では、国家資格キャリアコンサルタント指導レベルとキャリアコンサルタント技能検定1級の能力要件として「一つ以上の専門領域を持ち、それ以外の領域においても一定 程度以上の支援が可能、かつ、SV機能及び領域間のコーディネイト機能を併せ持つレベル」が記されています。
以上の記述から、キャリアコンサルティングにおけるSVは「スーパーバイザーから定期的に実践的助言・指導(SV)を受けることであり、キャリアコンサルタントの継続的な学び・能力レベルアップに必要。そして、国家資格キャリアコンサルタント指導レベルと技能検定1級キャリアコンサルタントはSVを行えなければならない」とまとめられます。
しかしながら、これだけの記述では、1.「SVとは具体的にどんなことなのか。」2.「SVを受けるにはどうすればよいのか。」そして、3.「SVが行えるとはどのようなことなのか。」について分らないのではないでしょうか。そこで、今回から、これらの3つの面からSVについて、現在進行形で筆者が学んでいることや体験しつつあることも交えてレポートします。
1.SVとは具体的にどんなことなのか
キャリアコンサルタントを対象とするSVについては公式な定義が示されていません。しかしながら、以前この連載で取り上げたカーカフのヘルピングの紹介で記した『カウンセリングは心理療法めいた援助技法ではなく、健常者を対象とする援助的人間関係(helping human relationship)』に照らし、カウンセラーを対象とするSVはキャリアコンサルタントへも適用可能という前提で、SVとは具体的にどんなことなのかについて、カウンセリングSVにおける(1)定義、(2)目的、(3) スーパーバイザーの役割、機能 の面から記したいと思います。
これから記す内容は、既に15年経過していますが、私がSVに取り組むきっかけになり、今もSVの原点にしている2005年11月に行われた日本産業カウンセリング学会研修会「ケース・スーパーヴィジョン」における平木典子先生のレクチャーを記録した私ノートをもとにしてあります。講義の私ノートですので文責は筆者にあります。なお、平木先生は2017年「増補改訂心理臨床スーパーヴィジョン」金剛出版を出されていますのでご一読ください。また、SVの表記にはスーパービジョンとスーパーヴィジョンの二つがありますが、このレポートではスーパービジョンを用いています。
(1)定義
SVとは、一般的に下記のことを意味しているとまとめられます。
・個人を対象として行われるカウンセリング訓練の一つ
・監督訓練、監督教育
・臨床実践を通して行われる具体的、直接的、個別的訓練

実施形態という観点から整理すると、SVは個人―個人(スーパーバイザー(以下、SVor)―スーパーバイジー(SVee))の場合もあれば、集団―個人の場合もあります。SVの形態がどちらであってもSVor―SVeeの関係は、指導・評価的関係であり、人と人との関係でもあることが必要とされています。
指導・評価的関係とは、SVorが「実践がどこまでできるか」「どこが欠落しているか」「標準にあっているのか」あるいは「どこをより磨かないといけないのか」という観点からSVeeに対して評価的介入ができることである。また、人と人の関係とは、SVor―SVeeとは同等な関係であることを意味しています。
また、SV実施のためには、ケースの記録や記憶、ライブ、陪席、あるいは、共同面接(cowork)等によってSVeeのカウンセリングプロセスがSVorに見える必要があります。そして、一定の基準に照らしてSVeeがカウンセリングできるということが明確になるまで継続できることが重要といわれています。
以上のことを踏まえてSVを再定義すると「専門的能力向上、実践の質の維持、そして、実践者の責任の遂行を図るなどの一定の目標をもったカウンセラー養成のための実践教育」ということができます。
そして、SVは単なる教育訓練やコンサルテーション、あるいはカウンセリングとは明確に区分されるものです。このため、SVorは、カウンセラー育成過程において前述の役割を果たすための重要な位置付にあるところから米国ではGATE Keeperと呼ばれています。
キャリアコンサルタント 1級技能士 上脇 貴

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