実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 26 I テクノファ

投稿日:2021年1月5日 更新日:

前回の相談過程の6ステップの4番目、「意思決定」支援について引き続き説明します。

■能力開発に関する支援
キャリアコンサルタントが行う最後の支援は、設定した目標を達成するための方策を考える支援となります。来談者の設定した短期目標(3年後の自分)を実現するためにやらなければならないこと、つまり短期目標を達成するために必要な自己学習や訓練(研修)などの能力開発に関するリストを作成することができるよう支援します。

ただし、キャリアコンサルタントはここでの能力開発はあまり厳密にとらえる必要はありません。必要とする技能や知識あるいはスキルなどは獲得しなければなりませんが、自分のクセを直すこと、生活習慣を変えること、あるいはメタボ対策を行うことなども、目指す自分を実現するために必要なことであるならば、方策として加えることもあるかもしれません。

ここでの支援は、いわゆる行動計画を作るための支援ということになります。行動計画ですから具体的でなくてはなりません。しかしながら、3年、5年、10年というのはあくまでも一般的な目安であり、実際には来談者の状況に応じた対応が求められます。また、このような支援を行うために適切な情報を提供することも視野に入れておかなければなりません。そのためにも、キャリアコンサルタントはネットワークを持つ必要があります。

■意思決定の支援

次に相談過程の6ステップの5番目、「方策の実行」支援について説明します。
目標や計画ができたら、次は具体的に行動に移すための支援をします。また、実行の段階では進捗状況を把握して、きめ細かなフォローが必要になります。

■来談者に対する動機づけ
来談者が実行しようとする短期の目標および行動計画ができたら、それぞれについて来談者の考えと意思を確認し、自分で取り組みを開始できるよう支援します。
この場合の行動計画としては、進路・職業の選択、就職、転職、訓練(研修)の受講などの多岐にわたります。したがって、キャリアコンサルタントとしては、相談内容に応じて的確な対応ができるよう準備しなければなりません。

■方策の実行のマネジメント
来談者が行動計画を実行する際には、その進捗状況を把握しながら、来談者に対して現在の状況を理解させるとともに、今後の進め方や見直し等について、定期的に適切な助言をすることが求められます。その際、行動計画が順調に実行できるように励ましたり、場合によっては環境に働きかけたりといった支援も必要になります。

とくに、職業経験がない人の場合には、きめ細かなフオローアップと支援が求められます。
次に相談過程の6ステップの6番目、「新たな仕事への適応」支援について説明します。
相談過程の6ステップの最終ステップは、方策の実行後のフォローアップです。来談者の方策の1つとして職場が変わったような場合、あるいは新たに仕事に就いたという場合には、温かく見守ることが肝要です。

■方策実行後のフォローアップが来談者の成長の力ギ
来談者のキャリア開発・形成の支援をするうえで必要なら、恒常的なキャリア開発・形成への取り組みが実施されるような土壌づくり、環境づくりのために環境に対して働きかける必要もあります。
さらには、来談者の成長を支援するためには、方策の実行後におけるフォローアップが重要であることを十分に理解し、来談者の状況に応じて適切なフォローアップを行うことが重要です。

■適正な時期における相談の終了と相談過程の評価
キャリアコンサルタントの行う成果や目標の達成具合を勘案して、適切と判断できる時点において、相談は終了します。その際には、修了することを来談者に伝え、本人の納得・合意を得たうえで相談を終了します。なぜなら、相談は契約として始まったことだからです。
相談は来談者のための相談ですから、来談者自身が目標の達成度や能力の発揮度、獲得度あるいは行動計画の実施度について、来談者自身が自己評価できるように支援できなければなりません。
同時に、キャリアコンサルタント自身も相談支援の過程と結果について自己評価することができなければなりません。
(つづく)A.K

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