国家試験

キャリアコンサルタント国家試験合格 29 | テクノファ

投稿日:2021年1月7日 更新日:

国家試験機関「キャリアコンサルティング協議会」は、平成30年3月の厚生労働省の見直しに合わせて「キャリアコンサルタント試験の出題範囲」を改定しました。新「キャリアコンサルタント試験の出題範囲(キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目)」の適用は、2020年度(令和2)からの試験となっています。

過去問ではいろいろな法律の理解が問われます。キャリアコンサルタントを目指す方は法律を理解するに、まず(目的)第1条又はそれに準じる条文を読んでおくことが必要です。併せて、第2条以下の概要を把握しておきましょう。

【問 く】
学校教育法が定める高等学校教育の目標として、最も適切なものはどれか。

1.社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。
2.学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
3.家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
4.生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。

【正解】 1

【解説】
1.最も適切
学校教育法はその第50条で、高等学校教育の目的を規定し、その目的を実現するために、学校教育法第51条において、高等学校における教育は、前条(第50条)に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとすると規定して次の3項目を掲げている。

一 義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。
二 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。
三 個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。
出題の文章は上記の高等学校教育の目標の中の二を記述したものである。

2.不適切

3.不適切

4.不適切  (出題文章2.3.4.は同じ条文を参照するのでまとめて解説する)
学校教育法はその第二十一条で 義務教育の目的を実現するために、次に掲げる10項目の目標を達成するよう普通教育を行うと規定している。

一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
二 学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
三 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
四 家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
五 読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
六 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
七 生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
八 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
九 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
十 職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

2(不適切)の出題文章は上記の目標のなかの二を記述したもの、
3(不適切)の出題文章は四を記述したもの、
4(不適切)の出題文章は七を記述したもので、いずれも義務教育の目標であって高等学校教育の目標を記述したものではない。

以下にキャリアコンサルタントが知っているべき学校教育法を抜粋します。
【学校教育法】
第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

第二条 学校は、国、地方公共団体及び私立学校法第三条に規定する学校法人のみが、これを設置することができる。

第六条 学校においては、授業料を徴収することができる。ただし、国立又は公立の小学校及び中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部及び中学部における義務教育については、これを徴収することができない。

第十六条 保護者は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う。

第十九条 経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。

第二十条 学齢児童又は学齢生徒を使用する者はその使用によって、当該学齢児童又は学齢生徒が、義務教育を受けることを妨げてはならない。

第二十一条 義務教育として行われる普通教育は、教育基本法第五条第二項に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
二 学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
三 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
四 家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
五 読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
六 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
七 生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
八 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
九 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
十 職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

第五十条 高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。

第五十一条 高等学校における教育は、前条に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一 義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。
二 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。
三 個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。
(つづく)A.K

-国家試験

執筆者:

関連記事

職業カードソート技法 | カード式職業情報ツール

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は厚生労働省が運営する職業情報提供サイト(日本版O-NET)からキャリアコンサルタントが知っておくと良い知識について説明します。今回はOHBYカードについて説明します。 独立行政法人労働政策研究・研修機構のサイト https://www.jil.go.jp/institute/seika/ohby/index.html より説明します。 OHBYカードは、職業カードソート技法を行うために開発されたカード式職業情報ツールです。430職種の職業情報を、写真・イラスト・チャート・動画など …

こころの健康 気づきのヒント集 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、前回に続きメンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明します。 ■Selfcare こころの健康 気づきのヒント集 厚生労働省の資料 https://www.mhlw.go.jp/content/000561002.pdf より引用説明します。 労働者の心の健康の保持増進のための指針(平成18年3月策定、平成27年11月30日改正)によると、心の健康づくりを推進するためには、労働者自身がストレスに気づき、これに対処するための知識、方法を身につけ、それを実践することが重要で …

キャリアコンサルタント検定試験3 I テクノファ

「1.経済成長の変化」に引き続き、労働環境の変化についてお話します。 2.人口構造の変化と人口減少 人口構造の変化だけでなく出生率低下による人口減少、家計構造の変化、家族構成の変化、教育改革、社会環境の変化などの影響により、女性の社会的役割が変わり、女性の労働市場への参加が増えてくることになります。従来の企業は男性社会そのものでしたが、今や女性活躍社会の実現が求められています。 高齢化と少子化について、総人口に占める65歳以上の比率は総務省統計局資料によると次の通りです。 ・1970年で7.1% ・1990年で12.1% ・2000年で17.4% ・2019年には28.4% (将来予測) ・2 …

キャリアコンサルタント国家試験合格 39 | テクノファ

今回から令和2年3月の特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会の「キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書」について説明いたします。平成28年に始まったキャリアコンサルタント国家資格化は年々その資格者の数を順調に増加させてきましたが、各領域で活躍するキャリアコンサルタントにはなお一層の力量向上が期待されています。 「キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書」の背景、目的、実施方法について、報告書の「はじめに」は次のように記述されています。 <はじめに> 人口減少局面を迎える中、我が国の持続的な経済成長のためには、労働者一人ひとりの生産性を向上させ …

採用選考時に配慮すべき事項 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は労働者の雇用、労働契約に関連する知識、資料などについて、前回の採用・選考時の労働者を雇用する時のルールの続きから説明します。 (3)採用選考時に配慮すべき事項 次のaやbのような適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、cを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。 a. 本人に責任のない事項の把握 ・本籍・出生地に関すること(「戸籍謄(抄)本や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します) ・家族に関するこ …