基礎編・理論編

キャリアコンサルタント養成講座 29-2 | テクノファ

投稿日:2021年1月13日 更新日:

横山哲夫先生の思想の系譜6-2

横山哲夫先生が2019年6月に逝去されて今年は3回忌になります。テクノファでは2004年に先生のご指導でキャリアコンサルタント養成講座を立ち上げさせていただいて以来、今年まで実に14年もの間先生の思想に基づいたキャリアコンサルタント養成講座を開催し続けさせていただきました。

先生はモービル石油という企業の人事部長をお勤めになる傍ら、組織において個人が如何に自立するか、組織において如何に自己実現を図るか生涯を通じて研究し、又実践をされてきた方です。

先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のためのWORKがあるはずであるという鋭い分析のもと数多くの研究成果を出されてきております。

先生には多くの著者がありますが、今回はその中からキャリアコンサルタントが知っているべき「個立の時代の人材育成」-多様・異質・異能が組織を伸ばす-の核となるところを紹介したいと思います。

今回は引き続き「個立の時代の人材育成」からの紹介です。

―目標による管理とは その1(日本への導入)―
実は、 目標(による)管理そのものについては、 後で紹介する文献によって別途ご勉強いただきたいと思っている。MBOの全容を本稿の一章に言いつくすことは到底不可能であるからである。また、目標による管理は、人材育成のためのみにあるものではなく、ましてや人事考課との結びつけがMBOの最大焦点だといいたいわけでもない。いわば、マネジメントの概念ならびに手法として多くの現代的特徴をもつMBOが、個立型人材育成の理念と手法との結びつきにみせる見事なドッキングに青いライト(青信号)を当て、MBOの日本的誤用の典型としてみられる、人事考課との断絶、すなわちMBOサイクルの不完全さに赤いライト(赤信号)を当てる。

目標設定による管理(マネジメント) 方式は主としてドラッカーによって日本に伝えられたから、彼の用語 (management by objective) を借りてMBOが一般に使われる。ここで、原産地アメリカの事情について2、3知っておくことは損にならない。その一つは、ドラッカー自身が 「マネジメント・バイ・オブジェクティブ」 の後に、「エンド・セルフコントロール」と続けることを本来のいい方としていたことである。 エンド以下は省略されて用いられるようになったが、セルフ・コントロールの部分がMBOの重大な要因であることにいささかの変わりもないこと、この部分の慣用的省略が先に述べた第1、第2の悲劇、とくに第2の悲劇にかかわりがあることに読者はお気付きになるだろう。

次に、目標設定によるマネジメントの考え方はドラッカーの専売特許ではないことである。文献的正確さを期すことにはあまり興味がないので勝手な引用になると思うが、例えば、E・G・シュレイは 『マネジメント・バイ・リザルツ』 (上野一郎訳)で、目標設定を、一定期間に達成されるべき、具体的な目標の設定と捉え、とかくプロセスに目を奪われがちな経営の軌道修正を指摘した。この書もほぼ同時期に日本に紹介され、啓蒙的な役割を果たした。

また、目標設定による”ハイ・パフォーマンス・サイクル” によって、組織と自らの成長へのコミットメントの在り方を、 理論的に、また実務的に検証しつづけてきたE・A・ロック(最近も来日し、学会その他で講演活動を行なった)は、目標設定による管理の元祖ともいわれる。たまたまドラッカーの著書、論文の紹介が盛んであったため、日本でのロックの知名度はそれほどでない。しかし、もし、このロックの紹介が先であったら、コトバの濫用、誤用を招いた「目標管理」の代わりに、「サイクル管理」とか、あるいは「(ハイ)・パフォーマンス・サイクル」がそのまま日本語呼称として用いられることになったかもしれない。ロックが 「ハイ・パフォーマンス・サイクル」を用いはじめた正確な時期は知らないが、いずれにしても、コトバによるイメージ効果の点では、この方がよかった、と私などは残念に思う。この書では、目標設定によるマネジメントを意味するために「目標(による)管理」ないしは「MBO」を主として用いるが、随時、「サイクル管理」、「サイクル・パフォーマンス」、「パフォーマンス・サイクル」なども用いてみることにする。
(つづく)平林良人

 

-基礎編・理論編

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