実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 28 |  テクノファ

投稿日:2021年1月15日 更新日:

今回は、活躍しているキャリアコンサルタントからの近況や情報などを発信いたします。

私のもとには、時々2級 キャリアコンサルタント技能士取得に関する問い合わせや相談が寄せられることがあります。私の拠点である地方では、学ぶ場も、自己研鑽の場も限られているため、少しでも機会を求めて探していただいているようです。
私は、そういった方々のご希望に答える形で、少人数の小さなキャリアコンサルタント勉強会を月一回のペースで行っています。勉強会参加者は、技能検定受験者の方が多く、基礎となる知識や技能を確かめるためにも、カウンセリング理論の学習や事例検討を中心に語り合う時間を多くとっています。

前回の勉強会は技能検定の結果が出た直後でもあり、検定合格に必要な要素についての話題が出されました。合格するための基準がつかめず、日頃の学習でも迷ってしまうことがあるようでしたので、「熟練レベルの キャリアコンサルタントの特徴」から、クライエントにとって本当に必要されるキャリアコンサルタントにとっての能力要件を解説し、考えていただきました。

能力要件は
【アイデンティティ】
【役割認識】
【倫理観】
【自己動機づけ】
【来談者中心のスタンス】
【積極的傾聴と建設的フィードバックの基本スキル】
【キャリア・コンサルティングに関する準拠理論の理解、得意領域の構築】
【内省的実践と自己練磨(絶えざる学習)】
【組織化と連携】
という9つのキーワードにまとめられています。

キャリアコンサルタント自らが自分自身を評価してみることで、自分に足りないもの、クライエントに真に役立つために必要なことに気づくことができるのではないかと考えています。
こういったことを意識しながら日頃の活動やカウンセリング場面での自身の有り様を振り返ってみることが重要なのではないでしょうか。現在、試験のための準備をされている方も多くいらっしゃると思います。受験される皆さんが、目標を達成し、日々の研鑽を通じて、より必要とされるキャリアコンサルタントとしてご活躍されることを心から願っております。

ところで職業能力開発協会主催の職業能力推進者講習の様子についてお伝え致します。この講座のテーマは【評価】でした。中央職業能力開発協会(JAVADA)が公表している「職業能力評価基準」の企業内での活用方法などについて学び、人材育成・人材開発を進めていくためのヒントを得ていただくための講座でした。
その中で私は問題提起として、評価をめぐる課題と適正な評価に関しての考え方をまとめてお話しました。

この講座は当初定員20名で募集したのですが、申し込みが多く、募集開始後すぐに定員を超えたため、急遽定員を増やし追加講座も企画する結果となりました。このように多くの経営者、人事担当者の方々が関心を寄せていただいたことは、多くの職場において「評価」を巡っての課題を感じており、その解決策を求めているのだろうと感じました。

そして、私もキャリアコンサルタントとして少しでも皆さんの課題解決のために役立てるよう努力していこうと考えました。先ず、企業における評価を巡っての課題や適正な評価のあり方について、事例を交えながらお話ししました。事例をお話すると、多くの皆さんが頷いており、同じような体験、思いを持っていらっしゃるのだな、と感じました。

それぞれの課題についてどのように向き合えばいいのかを考え、視野を広げ、解決への手がかりとなることを意図してお話しさせていただきました。具体的には、「評価の目的と課題」「適正な目標設定・評価について」「キャリア開発と評価」「鍵を握るのは評価者のヒューマンスキル」といった内容です。

一般的に「評価」というと、業績・結果に対する評価であり、企業では人事考課や処遇と関連して考えられることが多いようです。その場合、評価のあり方によっては、評価する側とされる側とでのズレが発生し、結果に満足感、納得感を得られず、不満や不安につながることもあります。
一方で、目標設定の在り方、評価の仕方を見直し、人材育成、キャリア開発につないでいくという視点から取り組んでいくことで、人が働くことを通し自らの能力開発に取り組み、成長していく環境を作ることも可能なのではないかと考えています。

そのためには管理者、評価者のヒューマンスキルを、より高めていくことが重要になってきます。評価する立場の方々のヒューマンスキルが、評価や面接の質を高め、部下の成長を助けるのです。人が自ら成長していこうとする環境作りのためにも、皆さんの職場でも「評価の在り方」について考えて頂ければ嬉しいです。
(つづく)K.I

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント実践の要領 39 | テクノファ

テクノファのキャリアコンサルタント養成講座を卒業し、キャリアカウンセリングの実践で活躍しているキャリアコンサルタントの方からの近況や情報、及び実践の様子などをお伝えします。今回はM.Iさんです。 私が大学で講義を担当するようになって3年目になりました。先週、前期の講義が終わり、講義15回目の学生たちとの時間を振り返っているところです。私の担当は【ビジネス実務】【コミュニケーション力育成】です。この講義はキャリアデザイン科目としての位置づけで、共通の内容としては、社会人基礎力、自己理解、コミュニケーション理論などについて講義をします。 キャリアコンサルタントとして自分を表現することや人との関係性 …

労働紛争解決 | キャリコン実践の要領267テクノファ

キャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。 ■労働紛争解決 (最低賃金制度について) 日本では労働者の生活の安定や労働力の質的向上、事業の公正な競争の確保に資することなどを目的として最低賃金制度を設けている。最低賃金制度は、国が法的強制力をもって賃金の最低額を定め、使用者はその金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないこととするものである。最低賃金には、各都道府県内の全ての使用者及び労働者に適用される地域別最低賃金(適用労働者数約5,112万人、平成28年経済センサス-活動調査等により算出)と、特定の産業の使用者及び労働者に適用される特定最低賃金(2022(令和4)年4月1 …

キャリアコンサルタント実践の要領 31 | テクノファ

キャリアコンサルタントとしての活躍している方からの近況や情報などをお伝えします。 「今後求められるキャリアコンサルタントとしてのスキル」 業務で企業や大学、支援機関等を訪問し、お話をお聞きする中で、変化の兆しが確実に広がっていることを実感する場面が増えています。これまで、私がキャリアコンサルタントとして関わってきた分野としては、学生、離職者、若年者などの就職活動や自立に向けての相談、講座等が主なところでしたが、3年ほど前から、企業や組織内でのキャリア開発に関する事案が、少しずつですが確実に増加しております。 企業の側から管理者・リーダーの能力向上、従業員のキャリア開発、人材育成・人材管理などに …

医師の人材確保の取組み|キャリコン実践の要領236テクノファ

厚労省の白書からキャリアコンサルタントに有用な情報をお伝えします。 ●医師の人材確保の取組み 医療・福祉分野の就業者数(事務職を含む。)は2021(令和3)年現在で891万人となっており、就業者の約8人に1人が医療・福祉分野で働いていることとなる。日本の医療・福祉サービスは国家資格制度があるものだけでも以下表のとおり、非常に多くの人材により支えられている。医療・介護現場でのタスク・シフト/シェアも含めたチーム医療やチームケアの推進、地域包括ケアシステム及び地域医療構想による地域での医療・介護の連携の推進や子どもを産み育てやすい環境づくりに当たっては、こうした国家資格を有する方だけでなく、地方自 …

キャリアコンサルタント養成講座9 I テクノファ

昨年世間を騒がせた「年金以外に2千万円必要」という話題から、高齢者の就業について考えてみたいと思います。日々の相談を受ける中で、高齢者の就業相談が以前と比べて増加してきました。そうした方の中で、「年金だけでは生活が厳しいから、何か出来ることがあるかと思って来ました」また「年金満額受給まで仕事をしないと困るから」と年金受給額と生活費のギャップを口にする方もいます。 最近シルバー人材センターのTVコマーシャルを目にした時、皆さん、現在の時代背景を読んでいるなあと驚きました。相談ではシルバー人材センターの案内もさせていただく中で、お仲間が既に入会しているような方や、活動を見て請け負っている仕事に関心 …