労働法関係について「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目6」には次のとおり書かれています。
6 労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識
次に掲げる労働者の雇用や福祉を取り巻く各種の法律・制度に関し、キャリア形成との関連において、その目的、概念、内容、動向、課題、関係機関等について一般的な知識を有すること。
① 労働関係法規及びこれらに基づく労働政策
ア 労働基準関係
労働基準法、労働契約法、労働時間等設定改善法、労働安全衛生法
イ 女性関係
男女雇用機会均等法、女性活躍推進法、パートタイム労働法(パートタイム・
有期雇用労働法)
ウ 育児・介護休業関係
育児・介護休業法
エ 職業安定関係
労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)、職業安定法、若者雇用促進法、労働
者派遣法、高年齢者雇用安定法、障害者雇用促進法
オ 職業能力開発関係
職業能力開発促進法
カ その他の労働関係法令
② 年金、社会保険等に関する社会保障制度等
・厚生年金
・国民年金
・労災保険
・雇用保険
・健康保険
・介護保険 等
多くの【問】では、次の法令に関する名称は略語を使用しています。
・個人情報の保護に関する法律 : 個人情報保護法
・高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 : 高年齢者雇用安定法
・個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律:個別労働関係紛争解決促進法
・障害者の雇用の促進等に関する法律:障害者雇用促進法
・雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 : 男女雇用機会均等法
・労働者災害補償保険法:労災保険法
・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 : 労働者派遣法
・青少年の雇用の促進等に関する法律 : 若者雇用促進法
【問 し】
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2006、厚生労働省)に関する次の記述のうち、誤りはどれか。
1. 労働者の健康保持は、労働者自らが自主的・自発的に取り組むのが基本であるが、職場には、労働者自身の力だけでは取り除くことができない健康障害やストレス要因が存在している。したがって、労働者自身の自助努力に加えて、事業者も積極的に健康管理を行う必要がある。
2. トータル・ヘルス・プロモーション・プラン(THP : 健康保持増進措置)とは、事業者に課せられた作業環境管理、作業管理、健康管理(労働衛生の3管理)のことである。
3. THPでは、事業者は産業医の下で健康測定を行い、ヘルスケア・トレーナーやヘルスケア・リーダーによる運動指導、産業保健指導者等による保健指導、専門の心理相談担当者による心理相談、産業栄養指導者による栄養指導などを行うこととされている。
4. 従来の健康づくりは身体の健康に偏りがちであったため、心のケア(メンタルヘルス)を加えたのが特徴である。
【正解】2
【解説】
1.正しい 指針にはメンタルヘルスケアの基本的考え方として出題文章1.のように記述されている。
2.誤り THPとは厚生労働省が働く人の「心とからだの健康づくり」をスローガンに進めている健康保持増進措置のことで、労働安全衛生法はその第69条で労働者の健康保持増進を図るために必要な措置を継続的かつ計画的に実施することが事業者の努力義務として定められ、第2項では、労働者は、事業者が講ずる措置を利用して、健康保持増進に努めることと規定されている。
3. 正しい THPの内容は次のようなものである。
・健康測定
各労働者に対して、産業医が中心になって健康測定を行い、その結果を評価し、指導票を作成する。なお、健康測定の一部に定期健康診断結果を活用することもできる。
・運動指導
運動指導担当者が、労働者個人について、運動指導プログラムを作成し、運動指導担当者及び運動実践担当者が運動実践の指導援助を行う。
・メンタルヘルスケア
メンタルヘルスケアが必要とされた場合等に、心理相談担当者が産業医の指示のもとに、ストレスに対する気付きへの援助やリラクセーションの指導などを行う。
・栄養指導
食生活上問題が認められた労働者に産業栄養指導担当者が食習慣や食生活の評価と改善の指導を行う。
・保健指導
産業保健指導担当者が、睡眠、喫煙、飲酒、口腔保健などの指導及び教育を行う。
4.正しい この指針の趣旨にあるとおり、心の健康問題が労働者、その家族、事業場及び社会に与える影響が大きくなっていること対応するための指針を示している。
【労働者の心の健康の保持増進のための指針】(前回のつづき)
5 4つのメンタルヘルスケアの推進
メンタルヘルスケアは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減するあるいはこれに対処する「セルフケア」、労働者と日常的に接する管理監督者が、心の健康に関して職場環境等の改善や労働者に対する相談対応を行う「ラインによるケア」、事業場内の産業医等事業場内産業保健スタッフ等が、事業場の心の健康づくり対策の提言を行うとともに、その推進を担い、また、労働者及び管理監督者を支援する「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び事業場外の機関及び専門家を活用し、その支援を受ける「事業場外資源によるケア」の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要である。
(1)セルフケア
心の健康づくりを推進するためには、労働者自身がストレスに気づき、これに対処するための知識、方法を身につけ、それを実施することが重要である。ストレスに気づくためには、労働者がストレス要因に対するストレス反応や心の健康について理解するとともに、自らのストレスや心の健康状態について正しく認識できるようにする必要がある。
6 メンタルヘルスケアの具体的進め方
メンタルヘルスケアは、5に掲げる4つのケアを継続的かつ計画的に実施することが基本であるが、具体的な推進に当たっては、事業場内の関係者が相互に連携し、以下の取組を積極的に推進することが効果的である。
(1)メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供
(2)職場環境等の把握と改善
(3)メンタルヘルス不調への気付きと対応
メンタルヘルスケアにおいては、ストレス要因の除去又は軽減や労働者のストレス対処などの予防策が重要であるが、これらの措置を実施したにもかかわらず、万一、
メンタルヘルス不調に陥る労働者が発生した場合は、その早期発見と適切な対応を図る必要がある。
事業場内産業保健スタッフ等は、管理監督者と協力し、労働者の気付きを促して、保健指導、健康相談等を行うとともに、相談等により把握した情報を基に、必要に
応じて事業場外の医療機関への相談や受診を促すものとする。
なお、心身両面にわたる健康保持増進対策(THP)を推進している事業場においては、心理相談を通じて、心の健康に対する労働者の気づきと対処を支援することが重要である。また、運動指導、保健指導等のTHPにおけるその他の指導においても、積極的にストレスや心の健康問題を取り上げることが効果的である。
(4)職場復帰における支援
メンタルヘルス不調により休業した労働者が円滑に職場復帰し、就業を継続できるようにするため、事業者は、その労働者に対する支援として、次に掲げる事項を適切
に行うものとする。
8 心の健康に関する情報を理由とした不利益な取扱いの防止
(1)事業者による労働者に対する不利益取扱いの防止
(2)派遣先事業者による派遣労働者に対する不利益取扱いの防止
9 小規模事業場におけるメンタルヘルスケアの取組の留意事項
常時使用する労働者が 50 人未満の小規模事業場では、メンタルヘルスケアを推進するに当たって、必要な事業場内産業保健スタッフが確保できない場合が多い。このような事業場では、事業者は、衛生推進者又は安全衛生推進者を事業場内メンタルヘルス推進担当者として選任するとともに、地域産業保健センター等の事業場外資源の提供する支援等を積極的に活用し取り組むことが望ましい。
(つづく)