キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

国家試験

2020年前後に従業員の働き方が一気に見直しされた5

投稿日:2025年9月11日 更新日:

今回は、キャリアコンサルタントのキャリアコンサルティングにかかわりのある法整備、2021年4月1日に施行される改正「高年齢者雇用安定法」(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)について説明します。

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に関連して改正施行された法律では前回までに説明したように、下記の見直しが行われました。

1.労働時間法制の見直し(長時間労働の解消など)
2.雇用形態に関わらない公正な待遇を確保する法制の見直し(正規と非正規の格差の是正など)

この見直しにより、定年退職後などの高年齢者の非正規就労時の賃金格差是正、多様な就労形態が可能になることなどにより、働き方改革が目指すうちのひとつ、労働力不足の解消を推進していますが、少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的として、高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)が2021年4月1日から改正施行されましたので、キャリアコンサルタントの方はよく知っておく必要があります。

高年齢者雇用安定法の改正の概要は次のようなものです。
<改正前>   ~65歳までの雇用確保(義務)~
○60歳未満の定年禁止
事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければならない。
○65歳までの雇用確保措置
定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければならない。
① 65歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入
継続雇用制度の適用者は原則として「希望者全員」

<改正後>   ~70歳までの就業機会の確保(努力義務)~
○ 65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設。(2021年4月1日施行)
① 70歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

法律の整備改正が行われ、高年齢者の雇用が推進される状況で、高年齢者は再雇用であればモチベーションの維持、新たな職であれば今後どうしていきたいのかのキャリアプランを考えるうえで、キャリアコンサルティングが今まで以上に求められていくと思われますのでキャリアコンサルタントの方は認識しておくと良いと思います。
参考:厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進、高年齢者等の再就職の促進、定年退職者その他の高年齢退職者に対する就業の機会の確保等の措置を総合的に講じ、もつて高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「高年齢者」とは、厚生労働省令で定める年齢以上の者をいう。

(基本的理念)
第三条 高年齢者等は、その職業生活の全期間を通じて、その意欲及び能力に応じ、雇用の機会その他の多様な就業の機会が確保され、職業生活の充実が図られるように配慮されるものとする。

(高年齢者等職業安定対策基本方針)
第六条 厚生労働大臣は、高年齢者等の職業の安定に関する施策の基本となるべき方針を策定するものとする。

(定年を定める場合の年齢)
第八条 事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。ただし、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、この限りでない。

(高年齢者雇用確保措置)
第九条 定年の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度の導入
三 当該定年の定めの廃止

(高年齢者雇用推進者)
第十一条 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、高年齢者雇用確保措置を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者を選任するように努めなければならない。

(再就職援助措置)
第十五条 事業主は、その雇用する高年齢者等が解雇その他これに類するものとして厚生労働省令で定める理由により離職する場合において、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該高年齢者等の再就職の援助に関し必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(定年退職等の場合の退職準備援助の措置)
第二十一条 事業主は、その雇用する高年齢者が定年その他これに準ずる理由により退職した後においてその希望に応じ職業生活から円滑に引退することができるようにするために必要な備えをすることを援助するため、当該高年齢者に対し、引退後の生活に関する必要な知識の取得の援助その他の措置を講ずるように努めなければならない。

(手当の支給)
第二十八条 国及び都道府県は、第二十六条第一項又は第二項の指示を受けて就職促進の措置を受ける者に対して、その就職活動を容易にし、かつ、生活の安定を図るため、手帳の有効期間中、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の規定に基づき、手当を支給することができる。

(業務等)
第三十八条 シルバー人材センターは、前条第一項の指定に係る区域において、次に掲げる業務を行うものとする。

(事業主等に対する援助等)
第四十九条 国は、高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るため、高年齢者等職業安定対策基本方針に従い、事業主、労働者その他の関係者に対し、次に掲げる措置その他の援助等の措置を講ずることができる。

(雇用状況の報告)
第五十二条 事業主は、毎年一回、厚生労働省令で定めるところにより、定年及び継続雇用制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況を厚生労働大臣に報告しなければならない。

キャリコンサルタントの方およびこれから国家試験を受けようとする方は2021年4月から施行になった「高年齢者雇用安定法」を勉強しましょう。

(つづく)Y.H

-国家試験

執筆者:

関連記事

2020年前後に従業員の働き方が一気に見直しされた4

キャリアコンサルタント国家試験に役立つ法整備について勉強しましょう。今回はキャリアコンサルタントのキャリアコンサルティング業務に係りがある、働き方改革を実行するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)の説明をします。 働き方改革関連法は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等を目的とした法律で、「労働基準法」、「労働安全衛生法」、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」、「じん肺法」、「雇用対策法」、「労働契約法」、「短時間労働者の …

キャリアコンサルタント養成講座 12日間受講体験談2

12日間受講経験談に入る前にキャリアコンサルタントの活動の環境についてお話しします。 現在の日本の働く環境について、報告書は、職業人生の長期化や働き方の多様化、日本型の雇用慣行の変化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用の不透明さの増加など、「働く」を取り巻く環境が大きく変化している、と指摘。これにより、労働者にとってはこれまで以上にキャリア自律に迫られることが見込まれ、企業にとっても労働者の自律的、主体的なキャリア形成の取り組みを支援し、働きがいやモチベーションの維持向上を図ることが重要になる、としている。 また、報告書は、こうした変化のな …

事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン2

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りがある、働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたを可能にする制度・施策を説明してきました。続いて前回は様々な事情を抱えて、多様で柔軟な働きかたを必要としている、これまで説明してきた制度・施策の対象者である働く人たち、その人たちを具体的に支援する立場にある支援者やキャリアコンサルタントなどに対して必要な情報を提供している厚生労働省のサイトのひとつ「治療と仕事の両立支援ナビ」の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」 000492961.pdfについて説明します。 ● 両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項) …

キャリアコンサルタント国家資格合格 熟練レベル

キャリアコンサルティング技能検定2級試験は、「熟練レベルのキャリアコンサルタント」に求める能力判定の試験です。 「標準レベル」に該当するキャリアコンサルタントの場合には、キャリアコンサルティングの実務経験は問われません。国家資格試験に合格し登録した人はキャリアコンサルタントを名乗ることができます。しかし、この場合は国家資格試験に合格したというだけであり、実態としてはキャリアコンサルティングの実務経験がある人もいれば、実務経験がまったくない人もいます。それではキャリアコンサルティングの質を確保することが難しいので、 厚生労働省は「事実上の標準レベル」として熟練レベルを設定しています。 「熟練レベ …

労働環境の整備について

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 労働環境とは、会社で働く従業員を取り巻く環境のことです。事業者には、従業員の健康や安全を守るため、労働環境を整える義務があります。「労働安全衛生法第3条の1」に、以下のように記されています。「快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」労働環境の整備は、従業員の定着や生産性の向上など企業の利益アップにつながるため非常に重要です。今回は、労働環境の整備について、お話しします。 ◆非正規雇用労働者の待遇改善、長時間労働の是正等 ■非正規雇用の現状と対策 ●非正規雇用 …