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キャリアコンサルタント養成講座 12日間受講体験記 4 

投稿日:2024年7月7日 更新日:

Aさんの「キャリコンサルタント養成講座」受講奮闘記をお伝えしています。
Aさんは中小企業に勤めている小学生と4歳半の子供をもつ女性ですが、ある事をきっかけに「キャリコンサルタント」という資格を知りました。厚生労働省の国家資格であること、企業の中で人間関係の相談に乗ってあげられる力を付けられることなどを知り、どこかの「キャリコンサルタント養成講座」を受けたいとNetで多くの「キャリコンサルタント養成講座」を調べました。
その結果テクノファの「キャリコンサルタント養成講座」が自分に合うのではないかと思い、3か月にわたる12日間「キャリコンサルタント養成講座」講座を受講することに決めました。決めた理由は16年の「キャリコンサルタント養成講座」の歴史と「組織と個人の共生」ということにありました。

Aさんの受講も7日目になりました。

【7日目 キャリアコンサルティング演習①(アサーション)】
7日目はテクノファのキャリコンサルタント養成講座の特徴の一つである、アサーションを学ぶ日です。アサーションとは何か、一言で言えば、「自他尊重の自己表現」となります。アサーションという言葉を英語にすると“assertion”で、辞書を引くと「主張」「断言すること」の意味であるということが分かりました。
しかし、ここで学ぶアサーションは単なる自己主張とは違いますので、その意味することを理解すると共に、トレーニングが必要になります。講師からは、残念ながら1日だけではトレーニングを積むところまでは行きつきませんので、この日は、アサーションとはいったいどのようなものなのか、そして自己表現の3つの態様である、ノン・アサーティブ、アグレッシブ、アサーティブについて学習すると言われました。

ノン・アサーティブとは文字通り「主張しないこと」です。人によっては、自分の言いたいことを言えず後から後悔するということの経験を持っている方がいると思います。キャリアカウンセリングでは、自分の思っていることは素直に表現することを勧めます。そうでないと対話している相手の方が勘違いをして最後には対話している両者に良くないことになりがちです。
アグレッシブはノン・アサーティブの反対で、自分のことを強く言い張ることを言います。これも対話している両者に良くないことは多くの人が経験済みの事であろうと思います。になりがちです。最後の、アサーティブが対話している両者に推奨できる思いを伝える方法です。自分の言いたいことをしっかりと言う、と同時に相手の言うこともしっかりと聞くというコミュニケーションの方法を理解していただきます。

ある程度の基礎学習を終えると、各種の事例、例題を用いた演習に進みました。アサーティブ権についての理解を深める演習から、各種演習でアサーションへの学びを深めていきました。グループワークが中心になり、そこでは自分と他の人ではものごとの捉え方、考え方が違う、少し違う程度から場合によっては全く違うということを体感することができました。このような体験によって、キャリコンサルタントとしてクライエントに向き合う際に、まずは様々な面で自分とクライエントの違いを認識できるようになっていただけることを期待しての基礎トレーニングになっていくことを実感しました。

アサーションは、「自他尊重の自己表現」と先ほど説明しました。アサーショントレーニングは、自分の思いを他者を尊重しながら表現するやり方ですので、クライエントの話を聴くキャリコンサルタントには必要ないスキルである、と思う方もいるかもしれません。キャリコンサルタントは自分のことは話すのではなく、クライエントの話を聞き、理解することがまず求められることなのだから、アサーションについて学ぶ必要などないのではないか、という誤解です。ここは、誤解を招きやすい部分ですが、アサーティブな人ほど、人の話をきちんと聴こうとする人なのです。アサーションは単なる自己表現ではなく、「自他尊重」の自己表現ですから、キャリコンサルタントを目指す方には是非とも理解を深めておいていただきたい事項になります。そしてアサーティブな対応が取れるようになると、キャリアコンサルティング以外のお仕事をされている方でも、上司や同僚とのコミュニケーション能力は確実に向上します。その技法のひとつになる“DESC”を講座の中で紹介がされました。これが使えるようになると、あなたのコミュニケーションの質が一段上がることは間違いありません。是非とも講座内でアサーションスキルに触れていただきたいと思います。

DESC法は、アサーションスキルを体系的にまとめ4つのステップに分解したものです。「Describe(描写する)」「Express(説明する)」「Suggest(提案する)」「Choose(選択する)」の4つのステップで会話を進めることで、有効な意思伝達を行い相手を納得させていきます。次に、この4つのステップについて解説していきます。

Describe(描写する)では、解決しようとしている課題に対して、現状の状態や相手の行動を客観的に描写した上で事実のみを相手に伝えます。あくまで、事実のみを伝えることが大切なため、自分の感情を入れたり推測で話を進めることがないように意識しておく必要があります。推測などが入れば、正しい情報を相手には伝えきれないというデメリットを生じさせるため注意が必要です。

Express(説明する)では、Describe(描写する)した内容に対する自分の意見や感じていることを伝えます。Express(説明する)の代わりに、Empathize(共感する)やExpose(見せる)、Explain(説明する)と表現することもあります。ここで伝えることは、あくあまで自分の気持ちや感情を素直に表現していくことが大切です。ただし、感情を押し付けすぎることで、事実と論点がずれてしまったり攻撃的にならないことに注意が必要です。

Choose(選択する)では、相手がこちらの提案を受け入れた場合と受け入れなかった場合、それぞれに対して結果や選択肢を示します。Consequences(結果を伝える)と表されることもあります。提案が全て受け入れられるとは限らないことに注意が必要な場面になります。また、そうした場合でも、より良い提案ができるように再度、Suggest(提案する)を実施することも必要です。

DESC法を用いることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。DESC法によるメリットについて理解することで、自社においてもその概念を定着させる効果を想定し、人材育成に役立てていきましょう。それぞれのメリットを確認していきましょう。

コミュニケーション力の向上

相手に自分の考えを正しく理解してもらい、納得(説得する)させるDESC法を用いることで、より意見の交換が活発になり結果として、高いコミュニケーション力の構築を組織単位で実現することができます。個々人のコミュニケーション力だけではなく、組織全体の向上ができれば、業務の円滑な運営や情報共有の活性化による新サービスの構築などにも期待できる結果を生んでいきます。

信頼関係の構築

自分の考えを正しく相手に伝えることができることで、信頼関係の構築を実現していきます。信頼関係とは、正しい意思の疎通から成り立ちます。DESC法を用いることで、自分の考えを伝え、相手からの理解を受けることができる関係性の構築は、信頼関係を構築し業務の円滑な運営を実現していく効果を発揮していきます。

提案力の強化

自らの考えを正しく伝えることは、提案力の向上・強化にもつながります。提案力の強化には、自分の考えを簡潔に分かり易く伝えることが必要です。自分の考えを相手に伝え、説得する、納得させるDESC法は提案そのものといえます。そのため、顧客への提案にも大きな効果を発揮する際の訓練になるといえます。

生産性の向上

DESC法を用いて、社内や部署の人材の間でDESC法が活用されると、意思の疎通がスムーズとなり結果的に、生産性の向上につながります。生産性の向上は、業務を円滑に行うだけではなく、精度や品質の向上にも大きく影響していきます。生産性が継続的に向上することで、業績だけでなく、結果的には顧客満足度の向上にもつながることが期待できるでしょう。

企業成長の促進

顧客満足度の向上にも影響するDESC法を促進することで、品質の向上、新たなサービス創出が期待できます。こうした一連の活動を通して、顧客からの信頼度の向上にも期待でき、結果として企業成長の促進にもつながる効果を期待できます。継続した企業経営には、顧客からの信頼度が無くてはならないものであり、経営課題としても最大のテーマになるため、その効果が期待できるDESC法の有効性は高いといえます。

出典 DESC法とは?4つのステップと注意点について解説する | オンライン研修・人材育成 – Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

(つづく)T.A

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