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実践編・応用編

日本における高齢社会対策の推進 4

投稿日:2025年10月21日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に引き続き高齢社会対策の推進についてお話します。我が国は、既に超高齢社会に突入しており、高齢者の割合が大きくなっていく中で、高齢者が暮らしやすい社会をつくることは、他の世代の人々にとっても暮らしやすい社会の実現につながります。すべての世代の人々が超高齢社会をを構成する一員として、今何をすべきかを考え、互いに支え合いながら希望が持てる未来を切りひらいていく必要があります。

〇 社会保障教育及び金融経済教育の推進
年齢に関わりなく、全ての国民がその能力に応じて負担し、支え合うことによって、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障がバランスよく提供される「全世代型社会保障」の構築に当たっては、国民一人一人が、社会保障における給付と負担は表裏一体のものであるとの認識の下、当事者意識を持つことが重要である。また、社会保障制度に関する知識を得てあらかじめ備えを行うことにより、高齢期における病気や資金不足といった様々なリスクを回避することができる。こうしたことから、早い段階からの社会保障教育やライフステージに応じた啓発の充実を図る。特に、学校教育段階においては、小・中・高等学校学習指導要領に基づく社会保障の意義や役割等に関する教育について、教育委員会等への周知とともに、 教職員向けの研修会の実施や、教員にとって使いやすい資料の提供等を通じて、社会保障教育の十分な機会の確保を図る。

マイナンバー制度については、より公平・公正な社会保障制度や税制の基盤であるとともに、情報社会のインフラとして、国民の利便性向上や行政効率化に資するものであることから、一般国民向け広報と、民間事業者向け広報を総合的に展開し、理解促進を図る。また、自立的で持続可能な経済生活の実現に向けて、一人一人の金融リテラシーを高めることができるよう、金融経済教育の充実を図る。

具体的には、金融経済教育推進機構(J-FLEC)と連携し、金融の仕組みや働き、投資リスクや金融トラブルへの対応方法等に関する正しい知識を提供するため、学校や企業、地域におけるライフステージに応じた学習の機会及び内容の充実を図る。また、老後資産の確保の観点から、家計の金融リテラシーを高め、金融商品の適切な選択等を促すため、顧客の立場に立った認定アドバイザーの普及・支援、企業における雇用者向け教育の拡大促進等を図る。加えて、国民が安定的な資産形成を図る上で、社会保障 制度の活用は重要であることから、社会保障教育と必要な連携を行いつつ、効果的な教材の作成、周知等を進める。さらに、社会貢献活動に役立てることを目的として財産を公益的な活動を行う団体等に譲与する遺贈寄附等について、金融経済教育の中で普及啓発を図る。

〇 消費者教育の推進
「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(令和5年3月28日閣議決定)を踏まえ、消費者教育コーディネーターの配置・育成の支援やそれを通じた啓発活動等を推進することにより、地域、家庭等の様々な場を活用した効果的な消費者教育を行う。また、年齢、個人差、生活状況の違い、デジタルの活用状況等を考慮し、多様な高齢者の実態や社会のデジタル化を踏まえつつ、消費者及び福祉関係者等の見守り活動の担い手への消費者教育、啓発の取組を促進する。

〇 身近な場やオンラインでの学習機会の充実
地域における学びの場の充実を図る観点から、公民館等の社会教育施設におけるオンラインの活用も含めた多様な学習機会の提供を図るとともに、老人福祉センターや老人クラブを始めとした地域の身近な施設やコミュニティにおける自主的な取組を奨励する。博物館・美術館等における文化活動の推進、スポーツの振興、国立公園等における自然と触れ合う機会の提供等により、ICTも活用しつつ、生涯にわたる多様な学習機会の提供を図る。さらに、学校において、余裕教室を活用した社会教育の実施等学校の教育機能や施設の開放を促進する。

〇地域における社会参加活動の促進
○○多世代による社会参加活動の促進
高齢期における体力的な若返りや長寿化を踏まえ、長くなった人生を豊かに過ごすことができるよう、高齢期においても社会や他者との積極的な関わりを持ち続けられるようにすることが重要である。仕事の中でしか社会とのつながりがない場合には、定年退職とともに望まない孤独や社会的孤立に陥る場合もあり、高齢期を見据えて、高齢期に入る前から地域とのつながりや居場所を持つ機会を増やす取組も求められる。

また、地域社会の観点から見ても、地域を支える人材の高齢化や人手不足が進み、高齢世代から若年世代への役割の継承も課題となっている中で、地域でのつながりや支え合いを促進し、地域社会を将来にわたって持続可能なものとしていくためには、地域の社会課題に関する学びの機会の確保や担い手の育成を図ることが必要である。

こうした観点から、多様で複合化した社会課題に対応していくため、幅広い世代の参画の下、地方公共団体、大学等、企業・団体、NPO、地域住民等の多様な主体の連携により、地域社会の課題解決に取り組むためのプラットフォームの構築や活用の促進を図る。その一環として、幅広い世代から地域社会の担い手を確保するため、地域の仕事や社会活動、学習機会等の情報を一元的に把握でき、それぞれの働き方のニーズや状況に応じて個々の業務・作業等を分担して行うモザイク型のジョブマッチングを含め、多様な活躍の機会が提供される仕組みの構築を図る。こうした仕組みの構築に当たっては、施策分野の壁を越えて分野横断的な活動を行うための中間支援組織の育成・支援を図るとともに、住民の生活圏・経済圏の状況等を踏まえつつ、行政区域を超えた広域的な連携が効果的に行われるよう留意する。

また、高齢期の社会参加・役割創出に資する活動等の立ち上げへの支援を行い、高齢者の社会参加活動を促進するとともに、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う地域学校協働活動等、地域社会における高齢者を含む地域住民が活躍できる機会の充実等を通じて、世代間交流を促進し、ボランティア活動を始めとする多世代による自主的な社会参加活動を支援する。高齢期の社会参加活動の促進に向けて、高齢者の利用に配慮した余暇施設の整備、既存施設の有効活用、利用情報の提供、字幕放送等の充実等により、高齢期においてもレクリエーション、観光、趣味、文化活動等で充実した時間を過ごせる環境を整備する。高齢期の社会参加活動に関する広報・啓発、情報提供・相談体制の整備等を図る。

〇 地域住民を支援する専門人材・団体の活動基盤の整備
地域住民を支援する専門職やNPO等、多様な社会参加活動の担い手が活動しやすいよう、環境の整備を図る。多様な主体と連携しながら地域の課題解決や学びの支援に取り組む社会教育士等の社会教育人材について、担い手の育成や好事例の周知、継続的な学びの機会の確保等を図る。

高齢者のボランティア活動やNPO活動等を通じた社会参加の機会につながるNPO等の活動環境を整備するため、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)の適切な運用を推進するとともに、NPO法人等の非営利団体の活動基盤強化を図る観点から、相続人等による相続財産等の認定NPO法人への寄附を含め、認定NPO法人に対する寄附に伴う各種税制上の優遇措置について、引き続き情報発信等を通じて周知し、寄附の促進を図る。

あわせて、公益法人の活動等に関する情報発信や新しい公益信託制度に関する普及啓発を図ることにより、遺贈等による公益法人への寄附や公益信託の活用を促進する。

◆ 生活環境
〇豊かで安定した住生活の確保
○○居住支援の充実
一人暮らしの高齢者が増加する中、高齢者がその特性に応じて適切な住宅を確保できるよう、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成19年法律第112号)に基づき、民間賃貸住宅等の空き室や空き家を活用した、高齢者等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅や、居住支援法人等が入居中の見守り等のサポートを行う賃貸住宅の供給を促進するとともに、公営住宅への入居に際して保証人を求めないよう地方公共団体に要請することも含めて、公的賃貸住宅の活用を進める。

加えて、地方公共団体、不動産関係団体、居住支援を行う団体等から構成される居住支援協議会について、市区町村による設置を促進する。あわせて、居住支援協議会や居住支援法人に対する支援を行うとともに、行政と民間事業者の間で、住宅だけでなく福祉、相続等の相談内容に応じて支援をコーディネートする体制を構築し、住まいに関する相談窓口から 入居前・入居中・退居時の支援まで、住宅、福祉等の関係者が連携した地域における総合的・包括的な居住支援体制の整備等を図る。

その際、住宅の確保と併せて、地域において居住支援を効果的に実施することができるよう、地域における居場所づくりまで含めた取組の推進を検討する。関係省庁や福祉・住宅分野等の関係者の間で、高齢者等の住宅に配慮を要する人々の住まいの確保や生活の安定、自立の促進に係るセーフティネット機能の強化に向けて情報共有や協議を行うなど、より一層の緊密な連携を図る。

〇 空き家対策の推進
管理が十分に行われていない空き家は周囲に悪影響を及ぼすおそれがあることから、住宅が管理の行き届かない空き家になる前に売却や賃貸等、流動性を高めることにより、その有効活用を図る。そのため、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)に基づく空家等活 用促進区域制度等の活用を促し、建築基準法(昭和25年法律第201号)等の規制の合理化等を図ることや、建築基準法に基づく特例認定制度により接道義務等に係る既存不適格建築物の大規模修繕等を円滑化すること等により、空き家の多様な活用を後押しする。

高齢者が安心して暮らせる住まいや地域における居場所づくり、福祉的用途等への空き家の活用を促進するため、相談体制づくりや空き家を活用 した創意工夫への支援を行うとともに、それによる取組の優良事例の共有等を行う。
(出典) 内閣府 令和6年 高齢社会対策大綱
(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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