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実践編・応用編

海外進出日本企業で働く人々_ベトナム_技能検定、雇用の状態

投稿日:2024年5月4日 更新日:

昨今は海外進出している企業で働く日本人も多数います。彼らを取り巻く状況を知っていることもキャリアコンサルタントには有用なことです。私の友人は、6年間ほどベトナムの日本企業に派遣され、2年ほど前に帰国しました。彼の話しによると、ベトナムは人口に占める若年層の割合が大きいせいか、その企業にも多くの現地の若者が働いていたそうです。その中で、優秀な人材が他の企業に転職する例もあったようで、そのため、賃金上昇によるコスト増で、経営者は頭を抱えていたと語っていました。

私も2024年4月25,26日の両日ハノイのハイフォン市にある日系企業を視察してきました。

■技能検定制度

教育総局が定める国家職業技能水準(National Occupational Skills Standard:NOSS)に基づき、業種ごとの技能検定の試験基準や等級等が設定される。技能検定は1級(初級)~5級(上級)の5段階の等級で区分されている。2011~2016年の合格者の累計は4,221名に留まっていたが、2017年には23,340人が受検し21,832人が合格した。これは、鉱山・トンネルの電気機械・探索職について検定の合格が政令により就労の要件とされ、これらの職種の受検者が急増したことによる。その後、2018年は16,983人が受検し15,999人が合格、2019年は10,215人が受検し9,080人が合格、と受検者が急減している。国家技能検定制度が導入され2022年末で12年になるが、専門家や企業の参加を促せずにいることや、評価認証された労働者数が少なく、限られた職種に限られているなどの問題を抱えている。

・日本式技能検定
厚生労働省は、日本式技能検定としてベトナムの工業化目標に合致し、進出日系企業のニーズも高い機械・電気系6職種を選定した上で、技能検定員の養成を支援している。試験基準は、日本の技能検定試験の基準を参考に、ベトナムの状況に合わせて修正して策定されている。

・日本への技能実習生の送出の適正化
「契約に基づいて外国で働くベトナム人労働者に関する法律」により、送出機関が仲介料を労働者本人に負担させることや、法律に適合しないサービス手数料を労働者から徴収することが禁止された。また、送出機関には、日本語能力があり、海外労働市場の開拓、開発の活動を実施する業務従事者を少なくとも1人配置すること等が求められる等、外国で働くベトナム人労働者の人権保護と、送出機関の質を担保する基準と責任が明確化された。また、仲介料やサービス料のほかにも、労働者が従来負担してきた実費について、受入企業側の負担となることが明記されている。例として、労働者のベトナムでの日本語等事前教育費用や、ベトナムと就労場所間の往復航空券料金、日本における通勤費用が挙げられている。

・日本における特定技能制度
日本における深刻な人手不足に対応するため、特定の分野において一定の専門性や技能を有し、即戦力となる外国人労働者を受け入れる制度ができ、ベトナムと日本の間で2019年5月に協力覚書が取り交わされた。特定技能の在留資格では、技能実習と異なり転職も可能である。1号の在留資格では介護、飲食料品製造、農業等の12分野で最長5年働くことができる。2号は建設および造船/船舶用工業に限られるが、在留期限の上限がなく、家族帯同も可能である。特定技能の資格を得るには日本語能力や技能の試験がある。ただし、同じ分野で技能実習を良好に終えれば、試験免除で特定技能1号の資格を得られる。特定技能1号資格を持つ外国人労働者は87,471人いますが、うち52,748人(全体の60.3%)がベトナム人である(2022年6月末現在)。

・日本の国家資格取得
経済連携協定により、病院や介護施設等で候補者が就労しながら日本の看護師・介護福祉士の国家資格取得を目指す取組が実施されている。看護師候補者・介護福祉士候補者は、ベトナム国内で1年間の日本語研修を受講し、日本語能力試験合格等の要件を満たした場合に訪日できる。候補者として2022年は153人、2014年からの累計では1,696人が訪日している。日本に在留可能な期間は、看護師候補者が最長3年、介護福祉士候補者が最長4年であり、この期間中に、日本の看護師又は介護福祉士の国家試験(年1回実施)に合格しなければならない。滞在期間中、看護師は試験を最大3回受験することがでるが、介護福祉士は受験に3年以上の実務経験が必要であるため、滞在4年目の1回のみ受験可能である。国家資格取得後は、日本で看護師・介護福祉士として就労し続けることができる。

(出典)厚生労働省 2022年 海外情勢報告

■雇用における平等
労働法において、ジェンダー平等、女性労働者の雇用促進を定めています。
1.女性の就労促進対策
国の政策として労働法では、女性労働者が、様々な形での訓練を展開し、健康状態、生理的特徴、母親としての役割を担うために適した雇用状況作りの支援をすることや、女性労働者の多い職場に、幼稚園、保育園の設置を計画することが定められています。また事業主が幼稚園、保育園の設立の補助や労働者が子を預ける際の費用を補助することも定められています。さらに、
①製造・建築・運送業で年間平均女性労働者数が10人以上100人未満、女性労働者の割合が50%以上
②年間平均女性労働者数が100人以上、女性労働者の割合が30%以上
のいずれかを満たす企業において、職業訓練費用・第1子及び第2子出産後に支給する追加手当・追加健康診断費用など、女性労働者に係る一定の費用について損金算入することが認められるなどの税優遇が実施されています。

2.男女の平等権の確保
事業主に対して、採用、雇用、賃金、昇進、各種保険制度、労働条件、勤務時間等に関する男女の平等を確保すること等が義務づけられています。

3 労働条件
(1)賃金、労働時間及び労働災害の動向
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年の月額賃金は前年比マイナスとなりました。
(2)賃金制度
①最低賃金
企業(外資系企業を含む)、協同組合、農業従事者、家族、個人及び機関・組織で働く労働者を対象として、政府の諮問機関である国家賃金評議会の提案により、地域別最低賃金38が定められています。2022年7月より2年半ぶりの改定が行われました。今回より時間単位の最低賃金額が示され、地域別最低賃金とは別に、基準賃金と呼ばれる公務員及び軍人の法定賃金が定められており、社会保険制度の保険料算定・給付基準として用いられています。新型コロナウイルス感染症の影響のため2019年7月から据え置かれていましたが、2022年11月国会決議により、2023年7月1日から、幹部、公務員、職員(国家予算から受給する部門)の基準賃金の月額は180万ドンに大幅に引き上げられました(2023年1月)。

(3)労働時間・休暇制度
①法定労働時間
労働時間は1日当たり8時間、1週間当たり48時間を超えてはなりません。事業主は、時間・日・週ベースで労働時間を規定することができますが、その場合、通常の労働時間は1日当たり10時間、1週間当たり48時間を超えないものとなっています。
②時間外労働
使用者は1日の労働時間の50%を超えない範囲で、月間40時間・年間200時間を上限として、労働者を時間外労働させることができます。使用者は、時間外労働時間、時間外労働の場所、時間外労働業務について、あらかじめ労働者の同意を得なければなりません。特定の産業部門や緊急で遅延できない作業に対処するその他の場合には、年間300時間まで労働者を時間外労働させることができます。
③深夜労働
深夜労働(22時から翌日6時)の場合、賃金の30%を割増分として支払わなければなりません。深夜労働が時間外労働に該当する場合には、上記に加え深夜以外の時間外労働に対して適用される賃金の20%を割増分として支払わなければならないことになっています。
(つづく)平林

-実践編・応用編

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